「ドラえもん」に登場する秘密道具「どこでもドア」。くぐるだけで、電車や飛行機を使わずに別世界へ行ける。一度は使ってみたいと思った人も多いだろう。そんな夢のような体験に近い技術を、NTTドコモと国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)が開発した。
両者が開発したのは、現実空間の扉を利用し、現実空間と仮想(バーチャル)空間を自然につなぐ技術。Appleのゴーグル型デバイスである「Apple Vision Pro」の装着者が、現実空間にある扉を開けると、その先にバーチャルな別世界が広がる――そんな体験が可能だ。
本技術は、Apple Vision Proから見える現実空間の任意の扉の隅を指先で2カ所選択して扉の存在を認識させ、その扉を開閉する手の動きだけを検知することで、現実空間の扉の開閉状態を把握する。同様に、バーチャル空間側から見た場合も、扉の開いている角度と視点に合わせて、扉の先にリアル空間を描画する。
これにより、観光業におけるバーチャルツアーや、不動産業におけるバーチャル内見、エンターテインメントなど、バーチャル空間を活用したさまざまなMRアプリケーションにおいて、ユーザー体験の向上が期待される。
今後、ドコモとNAISTは本技術を活用し、各分野のビジネスパートナーとともに、高度なユーザー体験を提供するサービス開発に取り組むとしている。また、先進技術とイノベーションを通じて、一人ひとりに寄り添った「パーソナライズドリアリティ」を実現し、個人が主役となることで、幸福と感動を得られる社会の創出を目指すとしている。
Apple Vision ProはAppleが2023年6月5日に発表した同社初のゴーグル型デバイス。日本での価格は59万9800円からと個人向けの製品としては高価だ。前面のカメラで撮影した外界の映像を目視しながら、映画コンテンツやWebブラウザなどを楽しめる。指でアイコンやウィンドウに視線を合わせて、それを人差し指でつまむようにしてタップしたり、ウィンドウを動かしたりして操作する。
左右にある2つのディスプレイは、計2300万ピクセルの表示が可能なマイクロ有機ELパネルを搭載。M2チップ(プロセッサ)、12個のカメラ、5つのセンサー、6つのマイクからの入力を即時処理できるR1チップの他、空間オーディオ対応のスピーカー、Digital Crownを備える。
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