Xiaomi Storeの開設でオンラインに加え、オフラインの直販を強化しているXiaomiだが、Xiaomi 15やXiaomi 15 Ultraをより強力に販売するのも、こうした戦略の一環といえる。スマート家電を豊富に取りそろえ、事業の多角化は進んでいるものの、Xiaomiの売り上げはスマホの占める割合は半数程度と高い。Xiaomi Storeの展開には、Xiaomi自身がコントロールできるオープンマーケットモデルが必要だ。それも、その他の家電に負けないバリエーションが必要になる。
こうした戦略のためか、3月13日のイベントではフラグシップモデルとなるXiaomi 15やXiaomi 15 Ultraだけでなく、ミッドレンジモデルの「Redmi Note 14 Pro 5G」も合わせて発表している。2億画素のメインカメラを備えたモデルで、プロセッサにはMediaTekの「Dimensity 7300-Ultra」を採用。これは、1月に発売された「POCO X7」と同じプロセッサで、処理能力は比較的高めの端末になる。
オープンマーケットモデルを一気に拡充しているXiaomiだが、キャリア経由の販路は諦めてしまったのか。この疑問に対し、先の鄭氏は、「日本では、キャリアと量販、弊社自身のチャネルのバランスを取りながらやっていく」とコメント。「スマホはキャリアやMVNO、量販店が強いので、そこは一緒にビジネスをやっていく」とした。豊富なラインアップの中から、一部はキャリア向けにカスタマイズを施しつつ、そうでないものは自社で展開していく方針と捉えていいだろう。
安達氏も、「販路によって期待できる数量は大きく異なる」としており、キャリア経由で数を稼ぎつつ、オープンマーケットではよりバリエーションを出していく方針であることを示唆した。事実、発表会にはキャリア関係者も招待されていたという。今回発表されたスマホやタブレットは、いずれもオープンマーケットモデルで、これらがキャリアでも販売されるというわけではないが、今後、何らかの形でキャリアの必須仕様に沿った端末が追加される可能性はある。
もっとも、ミッドレンジモデルで販売数が稼げそうなRedmi Note 14 Pro 5Gまで、FeliCaなどの日本仕様が省かれていた点には疑問も覚えた。同クラスの端末は、数が出ることでコストを抑えている。また、フラグシップモデルほどとがったユーザーが使う端末ではないため、今までの端末でできていたことが求められる傾向も強い。翻って日本市場全体を見渡すと、5万円前後の端末でおサイフケータイなどに全対応しているモデルは多い。
実際、Redmi Note 14 Pro 5Gの先代にあたる2024年モデルの「Redmi Note 13 Pro 5G」は、同じく2億画素カメラに比較的高性能なプロセッサを搭載しながら、おサイフケータイに対応していた。オープンマーケットモデルはなく、auやUQ mobileが同モデルを取り扱っていた。その上位版にあたる「Redmi Note 13 Pro+ 5G」はオープンマーケットモデルながら、ベース機と同様おサイフケータイに対応している。
コストパフォーマンスの高いミッドレンジモデルは、Xiaomiのシェアを支えているだけに、この仕様の割り切りによって販売数を落としてしまう恐れもある。2024年とは異なり、上位モデルが発表されていないため、“隠し玉”がある可能性もあるが、現状では、Xiaomiが軸足をよりオープンマーケットに移しているようにも見える。少なくともXiaomi Storeの展開開始に伴い、ラインアップ戦略を転換し始めていることがうかがえた。
Xiaomi「ガンガン行こうぜ」モードで製品ラインアップ拡充、FeliCaなしも“グローバルとほぼ同時”のスピード重視
国内初の常設店「Xiaomi Store」をイオンモールにオープン 最大32%オフセールも
「Xiaomi 15 Ultra」3月18日発売 望遠カメラが2億画素に進化して暗所での性能が向上、17万9800円から
「Xiaomi 15」日本で4月1日発売 ライカカメラ搭載の小型フラグシップ、12万3000円から
「Redmi Note 14 Pro」3月22日発売、耐久性重視のミッドレンジスマホ 4万5980円からCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.