最新のスマートフォンやモバイル関連技術などが所狭しと並ぶ見本市「MWC Barcelona 2025」で、スマホではなくフィーチャーフォンでありながら、「これはいいアイデアだ」と思った商品を見つけたので紹介したい。
アイルランドのesacoはフィーチャーフォンのラインアップとしてフリップタイプの「Flip 1」とストレートタイプの「Bar 1」をそろえている。
いずれも2.8型の液晶パネルを備え、4G LTEに対応している。また、フリップタイプは1.8型のサブディスプレイも備えている。100ユーロ前後で買えるということもあり、メーカーは子供や高齢者の利用、または2台目の通話用といった利用シーンを想定している。
この機種の最大の特徴は、数字キーを始めとしたキーパッドのカスタマイズができることだ。色はもちろん、通常のキーパッドに加えて、ワンダイヤル方式のボタンにカスタマイズもできる。カスタマイズはオンラインで注文し、費用は1つあたり29ユーロだという。
ユニークな形をしているワンダイヤルボタンは2パターンある。1つはボタンにつながる先の名前を入れるものだ。自宅はもちろん、「お父さん/お母さん」といった呼称、個人名を入れることも可能だ。記号や番号用表記よりも大きなボタンになるので、視認性が高く押し間違いを防げるという。
もう1つはボタンにある○×▲□という表記だ。一見するとゲームパッドにも見えるが、こちらもワンダイヤルボタンとなる。透明な部分には連絡先を書いたメモ用紙などを挟み込んで使用する。こちらは自由に書き込めるため、より柔軟な使い方ができるだろう。
上位モデルの「Pro」には、Apple Find MyやSamsung SmartThingsに対応するチップを備える。これはiPhoneやGalaxyで利用できるスマートタグと同様の機能を使えるというものであり、これらのスマートフォンから本機種の位置を特定できる。
この機能はiPhoneなどから携帯電話を探すことはもちろん、家族のスマートフォンから位置情報を確認することもできる。子供や高齢者が利用することを考えれば、位置情報の共有機能が欲しい方もいることだろう。ここでの位置情報共有をGPSではなくスマートタグとすることで、低価格で実装することができている。工夫でコストを抑えつつ利便性を確保したアイデアあふれる機能だ。
ここまで紹介したesacoのフィーチャーフォンだが、キーパッドをカスタマイズできたり、スマートタグを用いて位置情報を共有するなど、他社製品とはアイデアで差別化した商品だと感じた。
あくまで“2台目”の機種に特化した割り切りもあり、新興メーカーらしい独自性で勝負となっている。
esacoのフィーチャーフォンはストレートタイプが79ユーロ、フリップタイプが99ユーロからと決して安くはないものの、カスタマイズに富んだオリジナルの携帯電話を持てるなら妥当な価格と考える。特にキーパッドをカスタマイズできる機能は、日本で販売しても理解を得られそうな仕組みと感じる。MWCで見つけた製品の中では他社にはないアイデアで勝負する意欲的な商品だった。
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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