株式会社ニューズドテック 代表取締役社長の粟津浜一です。弊社は、「温故知創でサステナブルな社会をつくる」を使命として掲げており、中古端末を新品同様の品質に再生した「ニューズドフォン」を提供しています。
近年、中古スマホ市場は急速に拡大しており、市場シェアは約10%に達し、年間15%の成長を続けています。本連載では、この成長著しいマーケットの最新動向をお届けします。
さて、iPhoneの新モデル「iPhone 16e」が2月28日に発表されました。今回のモデルでは生体認証のTouch IDが廃止されるため、iPhone 8やSEシリーズといったホームボタン付きのiPhoneが中古市場で再び人気を集めています。
新型iPhoneへの機種変更を考えている方にとって、旧端末のリセールバリュー(再販価値)も重要なポイントとなるでしょう。そこで今回は、「なぜiPhoneのリセールバリューは高いのか?」をテーマに、その理由を詳しく解説していきます。
まず、iPhoneの歴史をおさらいしましょう。2008年7月11日、日本国内で「iPhone 3G」が発売されました。発売直後から、当時独占販売していたソフトバンクショップには長蛇の列ができ、iPhone 3Gの登場はガラケー時代からスマートフォン時代への大きな転換点となりました。
タッチスクリーンと直感的な操作性、物理キーボードを排除した革新的なデザインで高い人気を得て、その後も進化を続けながら、現在に至るまで多くのユーザーに支持されています。
iPhoneは中古市場においても圧倒的な人気を誇っています。MM総研の2023年度の調査によると、日本国内の中古スマートフォン市場は過去最高の272.8万台に達し、前年比16.6%の成長を記録しました。そのうち、iPhoneのシェアは60%とも70%ともいわれています。
ニューズドテックの2025年2月度の中古スマホ販売ランキングによると、1位は「iPhone SE(第2世代、64GB)」、2位は「iPhone SE(第3世代、64GB)」、3位は「iPhone SE(第3世代、128GB)」で、SEがトップ3を独占しています。
ニューズドテックの買い取り価格データベースをもとに、iPhoneとGalaxy、Xperiaの値下がり率を比較しました。iPhone 16eの前世代機とされるiPhone SE(第3世代)と「iPhone 13」を対象にした調査の結果は以下の通りです。グラフをご覧ください。
iPhone SE(第3世代)の発売時価格から2024年12月までの値下がり率が28%なのに対して、Androidの「Galaxy A23 5G」と「Xperia 10 IV」は60%でした。iPhone 13も同様の結果を示し、値下がり率が41%なのに対して、Androidの「Galaxy S21」は66%、「Xperia 1 III」は74%でした。このデータからも、iPhoneのリセールバリューが圧倒的に高いことが分かります。
リセールバリューは単に国内市場だけで決まるのではなく、世界のサプライチェーン全体の動向によっても影響を受けます。具体的には、iPhoneの中古市場は世界的に需要があり、日本国内の価格もその影響を受けています。
例えば、東南アジアやアフリカでは新品のiPhoneが高価であるため、中古市場の需要が非常に高くなっています。そのため、日本国内で買い取られたiPhoneが海外市場でも取引されることで、国内の買い取り価格も安定しやすくなります。
日本国内のiPhoneが国内販売で売れ残ったとしても海外で売れるので、事業者側としては強気に買い取り価格を設定できるため、消費者にとっては高値で買い取ってもらえるというわけです。iPhoneはグローバル市場で価値を持つモデルであり、他のスマートフォンよりも高いリセールバリューを維持しやすいのです。
「iPhone 16e」発売後に「中古iPhone SE」の売れ行きが倍増したワケ SE人気はいつまで続くのか
「iPhone SE」シリーズが中古スマホ販売トップ3を独占、iPhone 16e発売の影響か ニューズドテック集計
iPhone 16e発表で中古iPhone SEの販売台数が前月比400%に ニューズドテックが発表
iPhone有利? スマホ購入プログラムの「買い取り価格」はどのように算出しているのか 中古業界団体のRMJに聞く
「中古iPhone」はどこで買うのがお得? キャリア、中古店、MVNO、メーカーそれぞれのメリットを整理するCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.