―― 改めてですが、店舗展開を進めている理由を教えてください。
鄭氏 Xiaomiはグローバルで店舗を展開しており、中国国内だけで1万6000店舗になります。これを拡大していくという大きな戦略があります。目的は、MWCでも紹介した「Human×Car×Home」という世界観を作っていくことで、そのためにはXiaomi Storeが必要になります。この背景があって、日本でもXiaomi Storeを展開しています。
もう1つは、実際に触れてみたいというお客さまの声があったことです。スマホについてはキャリアや家電量販店でも販売していますが、スマート家電はほとんどがオンライン販売です。それらをお試しできるのは大きいですね。テレビも色味などを確認してみたいという声がありました。展示をすることで、こうしたことを体験してもらえます。
また、Xiaomiにはスマホ以外にもスマート家電が多数あり、HyperOSを通じてそれらがつながることで、スマートライフの体験ができます。店舗に全カテゴリーを並べれば、それらを体感していただくこともできます。
―― スマホ以外の新製品を大量に発売したのも、そういう世界観を見せたかったからなのでしょうか。
鄭氏 はい。8月に発表した31製品を皮切りに商品数を増やしていき、Xiaomi Storeをオープンした際には200商品、スマート家電だけで160商品になりました。今年も、年末に向けてどんどん商品を増やしていくつもりです。
―― ジャンルも広いですが、どの分野を厚くしていくおつもりでしょうか。
鄭氏 一番増やしたいのは家電系ですね。Xiaomi Storeには、まだそれが少ない。空気清浄機、加湿器、キッチン系の家電がまだまだ足りないので重点的に増やしていきたい。ただし、日本の家庭に合う商品かどうかと認証周りは精査、整理していきながらになります。
安達氏 USB Type-Cで充電できるようなものは比較的入れやすいのですが、AC電源やモーターがあるものだと手間がかかりやすい。とはいえ、原則としては広げていきたいので、精査はしていきます。
―― 店舗も拝見しましたが、モール内ということもあり、そこまでの広さはないように見えました。商品数を増やして、置ききれるのでしょうか。
鄭氏 中国国内もそうですし、海外でも経験を積んでいます。中国だと約500商品、800SKUほどありますし、海外でも一番多いところは400SKUありますが、それでも入っています。
安達氏 今はまだストックを展示したりすることで、間を埋めている状態です。
鄭氏 浦和美園店ではスーツケースが結構場所を取っていたりします。そういうところを調整すれば、もっと入れることはできます。川口店でもマウスだけで3モデル並んでいましたが、全て並べる必要があるかどうかは要検討です。工夫すれば今の倍の400SKUになっても入ることは入ります。
―― そもそも、1号店が浦和美園だったのはなぜでしょうか。普通だと東京の繁華街というようなイメージがありますが。
鄭氏 出店場所についてはいろいろと検討しています。日本でのブランド認知だと路面店を出すにはまだ不安もあり、モールの中でやりたいという考えがありました。イオンさんは中国や東南アジアにもモールがあり、その中の26店舗にXiaomiが出店しています。そういったご縁もあり、Xiaomi Storeを出す話になった際に場所のご提案をいただきました。イオンモールは都内にはないので、その時点で東京はなくなります。
また、物件にはタイミングもあり、Xiaomi Storeに合う場所がいつでも空いているわけではありません。そうした点も考慮して、まずは埼玉の2店舗からとなりました。Xiaomiの商品は、スマホだけでなく、スマートホームやタブレット、家電のラインアップが充実しています。カテゴリーを考えると、ファミリー層と親和性が高いことが想定されます。(ファミリー層が多い)イオンモールがちょうどよかったということです。
実際、昨年渋谷PARCOのポップアップストアをやって、コストパフォーマンスへの評価をいただくなど、手応えがあった一方で、渋谷という場所とPARCOというスペースだと売れる商品が偏ってしまう課題がありました。商品を考え、今までアプローチできていなかったファミリー層にアプローチできるというのも、検討した要素でした。
―― 初日の話は話題になりましたが、それ以降はどうでしょうか。
鄭氏 まだ1カ月たっていませんが、それ以降も弊社の予想を超える数のお客さまに来店いただいています。2号店の川口店を出して少し下がるかなと思っていましたが、それほどでもありませんでした。ただ、浦和美園店はスマホの発売日と重なっていたこともあり、スマホ割合が高い。逆に川口店は家電系が高く、本来目指していたファミリー層にアプローチできています。
―― イオンといえば、MVNOのイオンモバイルがありますが、そういったコラボレーションは考えられそうでしょうか。
鄭氏 まだ店舗を出したばかりで日本での経験も少なく、オペレーション面など他にも優先度が高いことはあります。ただ、将来的なアイデアとしてこれから検討していきたいと考えています。イオンモールにはキャリアショップもあり、それぞれラインアップも違えばビジネスモデルも違いますが、家電量量販店でも興味を持たれているので、不可能ではないと思います。
―― Xiaomi 15 Ultraもそうですが、比較的高額な製品も多いと思います。分割払いはできないでしょうか。
安達氏 今、検討しているところです。イオンモールのいいところとして挙げておきたいのは、イオンカードで分割払いができ、かつ20日と30日は金利手数料をイオンさんが負担してくれることです。
鄭氏 ちなみに、Mi.comではペイディを使った分割払いができるようになりました。オフラインはイオンさんの決済を使っているので相談が必要ですが、割賦をやりたい思いはあります。ちなみに、まだペイディで分割払いにできる商品は限定しています。Xiaomiは利子を払うほど利益を取っていないので(笑)。
―― 商品数がかなりの数になると、知識もなかなか追い付かないのではないでしょうか。教育はどのようにしていく予定でしょうか。
鄭氏 正直にいうと、スタッフのレベルはまだ全然満足いくレベルに達していません。店舗オペレーションやトレーニングは、今後もしっかりやっていきます。ただし、現実的には、これだけの商品数があると、全てを熟知するまでトレーニングするのはなかなか難しい。新商品もたくさん出るので、知識が追い付きません。
ですから、個人の能力だけでなく、ツールも必要になってきます。そういったツールの作成も含めて、弊社の運営管理には社内システムがあります。スタッフの業務端末にインストールして、検索できるようなものは作らなければなりません。こういったことは、既に中国ではやっています。
2025年から、スマホのラインアップを一気に拡充しているXiaomiだが、その背景にはXiaomi Storeオープンにあたって選択肢を諸外国並みに増やしておく同社の戦略があった。確かに、スマート家電や雑貨なども置かれているXiaomi Storeだが、その中心に位置しているのはスマホやタブレット。ここが手薄だと、店舗自体の魅力がそがれてしまう心配はある。その意味では、華となるフラグシップもきちんとそろえておくことは重要だ。
一方で、Redmi Note 14 Pro 5Gをその中に含めてしまうべきなのかは、判断が分かれそうだ。日本市場では、シェアを取り、認知度を高めるにはキャリアモデルの投入が半ば必須の状況。フラグシップモデルより購入層の“ファン濃度”も低く、一通りの機能が入っていることが重視される傾向がある。店舗オープンで存在感を示せたXiaomiだが、スマホのシェアをどう維持していくかは今後課題になるかもしれない。
なお、インタビューはそれぞれの位置付けが異なるため、XiaomiとサブブランドのPOCOに分けて実施してした。後編では、XiaomiがPOCOの本格展開を始めた理由に迫っていきたい。
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