松田氏は改定の背景として「世界・社会全体であらゆる価格の見直しが進んでいる」と説明した。特に電力料金の高騰は電波を扱う通信事業者にとって大きな負担増となっている。
日本の電力料金は燃料価格や為替変動の影響を受け、大手通信会社の電気代は過去数年間で大幅に上昇。通信設備を24時間稼働させるKDDIにとって、基地局や大規模データセンターの電力コストは事業運営の大きな部分を占めている。
さらに通信インフラ整備や維持に関わる建設費や人件費も高騰傾向にある。松田社長は「建設会社や販売代理店などのパートナー企業へのコスト上昇」に言及。人手不足や資材価格の上昇により、基地局建設・保守のコストが増加している実情を示唆した。
こうした環境下で「私どもとしては価値をお客さまに提供し、その対価をいただいて、パートナー様に還元し、さらに投資をしていく好循環を実現したい」と強調。単純な値上げではなく、新たな付加価値サービスとセットでの改定としている点が特徴だ。
「通信そのものが持つ力を信じ、それを価値として作り上げてきた。お客さまにとって価値あるサービスを作り続ける。お届けし続ける。そしてその価値に見合った対価をいただく」という基本姿勢も重ねて説明した。
竹澤氏はプラン設計における方針として「お客さまのニーズが多様化する中で、基盤する価値を高めながらも、シンプルで自由に選べる形をご提供することが私たちの方針」とし、「通信の基本的な価値」と「選択できる付加価値」を明確に分けたプラン構成となっていると説明した。
新料金プランの発表により、auでは10種類の料金プランがそろう。新たな付加価値を含めたauバリューリンクプランと、それに金融サービスを連携させたauマネ活バリューリンクプラン、これらからPontaパスを省いたプラン、さらに、NetflixやYouTube Premium、DAZNなどをバンドルしたプランもそろえる。複雑に見える面は否めないが、多様なユーザーをカバーする選択肢がそろったといえる。
今回のサービス改定の大きなテーマは「好循環」だ。松田氏のプレゼンテーションでも「お客さまの今とこれからにつながる好循環」というスライドが示され、「成長→提供→共創→還元」というサイクルが説明された。
「高品質・高信頼ネットワーク、新たなサービス」を提供し、「価値に見合った対価」をいただき、「パートナー様への還元」を行い、「次世代への投資、ネットワーク高度化・AI等」につなげるという好循環モデルを目指すとのことだ。
松田氏は「現在、こうした価値ができているのは、過去に投資したこと、種をまいたことが今実を結んでいるから。これを継続していかねばならない」と強調。「通信の高度化やAI、エネルギーなどの新技術にもしっかり投資をして、この好循環を実現していきたい」と語った。
松田社長は最後に「通信そのものの価値をお付けしたい」とまとめ、「今後もお客さまに高い価値をお届けし続けるためにも、未来に向けた好循環を実現する取り組みとして、何とぞご理解を賜りたい」と理解を求めた。
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