今回の提携のもう1つの柱である、三井住友カードとソフトバンクの連携においては、まずはソフトバンクがヘルスケアサービスをOlive向けに提供する。サービスを提供するのはソフトバンク子会社のヘルスケアテクノロジーで、OliveとVpass会員向けに「ヘルスケアポータル」をリリースする。
日常の健康管理のためのコンテンツ提供、24時間365日利用できる医療相談チャット、夜間でも休日でも最短5分で利用可能なオンライン診療などを提供する。ユーザーのデータを活用し、AIも利用してユーザーごとにカスタマイズした、パーソナルなサービスも提供していく予定。例えば、子育て世代には子どもの健康管理に関する情報や美容、メンタルヘルスなどニーズに応じたサービスを提供するという。
これに加えて、法人向けに健康経営の支援サービスとしてもパッケージ化して提供していく考えだ。
Oliveでは、非金融サービスとしてトラベルサービスのVトリップを投入しており、今回が第2弾の非金融サービスとなる。今回の提携ではさらに、デジタル保険やモビリティサービスも提供していく。保険はソフトバンク子会社のリードインクスが提供、三井住友カードの保険ポータルから利用できるようにする。
大西氏は、OliveはこれまでもSBI証券、ライフネット生命といったグループにこだわらずに「ベストなサービスのラインアップでやってきた」と説明。今回の提携でも、そうしたOliveのコンセプトにマッチしており、積極的に非金融サービスのラインアップを充実させていきたい考えだ。
ソフトバンクとはさらに、AI分野でも協業する。SMBCグループは既にさまざまな領域で生成AIなどを業務/サービスに活用しており、そこにさらにソフトバンクのAI技術も追加して、AI活用をさらに加速させたい考えだ。
まずは三井住友カードのコンタクトセンターにAIオペレーターを導入し、24時間365日、利用者の問い合わせに回答できるようにする。ソフトバンクの「Gen-AX」を活用して、AIエージェントが自律的に思考して問い合わせに対応する。「AIを使ったコールセンターはいくつかあるが、あくまで人の補助という立ち位置だった。AIが自ら判断して応答する能力を持つと、電気さえあれば24時間動く」と宮川氏は説明。
宮川氏は「恐らく三井住友カードのコンタクトセンターが、日本で最初にAIを投入したコンタクトセンターになるのではないか」と話し、先進的な取り組みであることを強調した。
さらに、大西氏が「AI活用を本丸」と紹介したのが、「AI-Olive」だ。
AIを活用した未来型のサービスとされ、Oliveの進化版という位置付けとなっている。Oliveは今後もサービスを拡充していくため、アプリの機能が多くなることから、その使いやすさが重要になってくる。AIを活用することで、ユーザーに合わせたパーソナライズを行い、必要な機能がスムーズに使えるようになる、というのがAI-Oliveだという。
現在、マネーフォワードとの提携でOliveから他社の口座/カードの履歴などを取得できるように開発が進められている。簡単に口座間の資金移動やローン返済などが可能になる見込みだが、こうしたデータも活用し、資産運用、ローン、旅行の提案、マネーライフのサポートなども、AIを活用することで提供していきたい考え。
「Oliveを未来型のスーパーアプリにしていきたい」と大西氏は言う。
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