シャープの「AQUOS R10」「AQUOS wish5」で“進化の方向性”が違う理由 iPhoneからのユーザー獲得にも意欲石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2025年06月07日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

スペック向上ではなく中身を磨いたAQUOS R10、チャレンジはproで

 性能を底上げし、耐久性も強化したAQUOS wish5に対し、AQUOS R10は、AQUOS R9のマイナーアップデートにも見える。プロセッサを「Snapdragon 7+ Gen 3」に据え置いたことは、こうした見方をする一因といえる。一方で、これは「お客さまがそんなに意識していない」(中江氏)からだという。特に10万円前後のミッドハイにカテゴライズされる端末では、「そこが勝負ではなくなっている」(同)という。

 ユーザーが端末を購入する際、「今までAQUOSを使っていたユーザーは、まずAQUOSが選択肢になる」(同)。次に重視されるのは、「今だとカメラ」(同)だ。一定程度の性能になると、「100%の性能を使い続けられるシーンはほぼなく、プロセッサは抑え気味にしているほど」(同)になる。

 そのため、AQUOS R10では、冷却を担う「ベイパーチャンバーに力を入れ、プロセッサを変えなくても性能が上がるようにした」(同)。マーケティング的な観点でプロセッサを刷新するのではなく、その性能を引き出せるようなアップデートを図ったというわけだ。

AQUOS R10 プロセッサではなく、ベイパーチャンバーを強化し、より性能を引き出せるようにした

 また、カメラもサイズこそ1/1.55型と変わっていないが、センサー自体は一新。AQUOS R9 proに搭載していた、周囲の光を測定する14chスペクトルセンサーを備え、より肉眼に近い色合いで撮れるようになった。また、このモデルも引き続きカメラはライカが監修しており、ミッドハイモデルながら、高い画質を実現している。

AQUOS R10 センサーの刷新と14chスペクトルセンサーの搭載で、より見た目に忠実な色合いで写真が撮れるようになっている

 逆に、プロセッサだけでなく、あえて本体もAQUOS R9とサイズをそろえた。中江氏によると、「カメラ周りのサイズもそのままで、過去のカラーバリエーション用に出したケースを合わせて使えるようにして、(組み合わせを)より楽しめるようにした」という。

 シャープ自身も海外進出はしているものの、上位のグローバルメーカーと比べると販売数は少ないため、ケースのバリエーションも乏しくなる。iPhoneと比べ、どうしても見劣りする部分だ。Androidでも、海外も含めた母数が多いと、海外にある豊富なケースを輸入すれば済むため、品ぞろえは有利になる。こうした弱点を補うため、シャープは2機種のサイズをそろえて母数を増やす手を打ったといえる。

AQUOS R10
AQUOS R10 ボディーだけでなく、カメラ周りのサイズもAQUOS R9にそろえた。ケースを流用できるようにするためだ

 先に挙げたように、AQUOS R9でのリニューアルは成功し、売れ行きも上向いた。この成功事例を踏襲するため、「社内外で評判がいい」(同)デザインをあえて残した側面もある。「デザインは一緒で、中身を進化させ、完成度を上げる方向にした」(同)というわけだ。

 やや保守的な姿勢にも感じるが、こうした戦術を取れるのは、「社内的にワクワク枠と呼んでいる」(同)という「pro」モデルがあるからだろう。AQUOS R9 proではカメラに特化した端末に仕上げたが、カメラに限らず、「チャレンジ枠としてお客さまを驚かせるように作る」(同)ことをコンセプトにしているという。ラインアップの構成を見直したことで、冒険する端末と、堅実に進化さて確実に売る端末のメリハリがより強くなった。リニューアル2年目に登場するAQUOS R10は、その試金石になりうる1台といえそうだ。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月11日 更新
  1. スマホの“ミニ”外付けディスプレイが流行の兆し? 若者がインカメラではなく「アウトカメラ」で自撮りする理由 (2026年06月10日)
  2. IIJmioのスマホ大特価セール 中古「iPhone SE(第3世代)」が4980円、「OPPO Reno11 A」が9980円など (2026年06月09日)
  3. ドコモの通信障害に“AIエージェント”が先手 「SNSの投稿」も常時監視するオペレーションセンターの裏側 (2026年06月10日)
  4. 「それ、家じゃダメなの?」──スタバ長時間滞在に冷ややかな目 “スマホ操作”に“PCで仕事”も (2026年06月07日)
  5. JR東日本が2027年春から「二次元コード乗車券」を導入 近距離券売機での磁気券は順次廃止へ (2026年06月09日)
  6. あのシャープが「ウェアラブル」に参戦? スマホ「AQUOS」新製品予告 詳細は16日に発表 (2026年06月10日)
  7. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  8. 「Pokemon GO Fest 2026:東京」のモバイル通信は快適だった? 初対策の楽天モバイルがピーク時に“最速”も記録 (2026年06月10日)
  9. iOS 27は「iPhone 11」以降で利用可能 iOS 26から据え置きで過去最大のiPhoneに対応 (2026年06月09日)
  10. あなたの街の「スマホ決済」キャンペーンまとめ【6月版】〜PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイ (2026年06月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー