ワンプランでシンプルだった楽天モバイルの料金プランだが、最近ではエコシステムとの連携も強化している。料金と直結する取り組みとして、7月1日から、「楽天カードプレミアムプログラム」に楽天モバイル契約時の特典が加わる。新設されるのは、「ギガ割引クーポン」だ。
ギガ割引クーポンは、直接的な値引きではなく、使ったデータ容量を引いて料金に反映させる仕組みを取る。楽天プレミアムカードなら毎月5GB、「楽天ブラックカード」なら毎月10GBのクーポンが配布される。例えば、Rakuten最強プランで24GB使った場合、最も高い3278円が適用されるが、ギガ割引クーポンで5GBを引くと19GBになり、料金は2段階目の2178円まで下がる。
見方を変えると、これはRakuten最強プランの各段階に設定されたしきい値を上げることになる。楽天プレミアムカードの場合、1078円で使えるのが8GBまでになり、2178円のデータ使用量も8GB超25GBまで上がるというわけだ。逆に、もともと25GBを超えていた人や、8GBから20GBの範囲に収まっている人の恩恵は少ない。特典であることは確かだが、ARPUの押し下げ効果を限定的にしようとしていることがうかがえる。
楽天カードプレミアムプログラムは、楽天プレミアムカードや楽天ブラックカードの契約を促進するための特典。これだけのためにカードを新たに作る人は少ないかもしれないが、プライオリティ・パスなど、他のサービスとの合わせ技では効果を発揮するかもしれない。仮に楽天モバイルユーザーが毎月、1段階、データ容量を落とせれば1カ月で1100円の割引に相当し、楽天プレミアムカードの年会費の“元”は取れる。
逆に、もともと楽天プレミアムカードや楽天ブラックカードを持っていた人を、楽天モバイルに送客する効果もありそうだ。楽天プレミアムカードの場合、8GBで1078円、楽天ブラックカードなら13GBで1078円になり、その料金はMVNOと比べても安い。楽天モバイルにとっては、エコシステムARPUを上げるのと同時に、契約者獲得につながる取り組みといえそうだ。
Rakuten最強U-NEXTのような他社のサブスクリプションサービスをセットにした料金プランや、楽天カードプレミアムプログラムのようなクレジットカードと料金プランを連動させる取り組みは、他社では一般的。契約数が900万に迫り、楽天モバイルもその土俵に上がってきた格好だ。料金の安さを売りにしていた楽天モバイルだが、黒字化を機に、そのステージが次に移りつつあることがうかがえる。
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