東日本旅客鉄道(JR東日本)は7月23日、国内の鉄道事業者としては初めて、生成AIを用いた電話自動音声アシスタント「どこトレダイヤル」(050-3355-6421)の提供を開始する。
これは、スマートフォンアプリの操作に不慣れな人でも、場所を選ばずに電話で列車の遅れや走行位置などの運行情報をスムーズかつ正確に知ることができるサービスだ。「どこトレ」全路線を対象とし、ガイダンスに従って利用路線や駅を音声入力すると、遅れや運転中止の状況、各駅の列車の発車時刻、遅れ、走行位置などが案内される。
音声入力の内容を生成AIが解釈し、「どこトレ」の情報を参照することで、スムーズで正確な情報提供を実現したという。これにより、駅係員やコールセンターのオペレーターに問い合わせずに、運行情報を取得できるようになる。対応言語は日本語のみとなる。
どこトレダイヤルの開発は、JR東日本のDigital & Data イノベーションセンター(DICe)の内製開発チームが推進している。
8月1日からは、「駅における案内情報をもっと理解しやすくしてほしい」という聴覚障害のある人や訪日外国人からの要望に応え、「みえるアナウンス」の試行導入を開始する。専用ボードにタッチするか、専用の二次元コードをスマートフォンなどで読み取ることで、駅案内放送の内容が画面に表示される。放送内容はスマートフォンの言語設定に応じて最大13言語で表示可能だが、今回の試行では日本語、英語、中国語、韓国語の4言語で表示される。
この技術は、ヤマハ株式会社が開発・提唱する「音のユニバーサルデザイン化」を実現するテクノロジー「SoundUD」の一環として開発されたものだ。
試行導入駅は浜松町駅、渋谷駅、赤羽駅、上野駅、秋葉原駅、鎌倉駅、平塚駅、国立駅、千葉駅、新木場駅、長野駅(新幹線改札内のみ)、東京駅(準備ができ次第)の計12駅で、デフリンピック会場の最寄り駅や訪日外国人利用の多い駅などが選定されている。試行期間は2026年3月末までを予定しており、試行導入時は事前に登録された定型の駅放送案内が使用される。
JR東日本グループは、今後も利用者の声やニーズを的確に捉え、情報提供の在り方をさらに磨いていく方針も示している。
どこトレダイヤルについては、サービス開始後の利用状況やニーズに応じて案内内容の拡充を検討し、同様の案内ニーズが想定されるグループ外の鉄道路線やバス路線へのサービス展開も目指す。みえるアナウンスについては、駅係員による肉声放送のリアルタイム文字化機能や、駅係員が放送文を自由にカスタマイズできる機能など、新たな機能の拡充をヤマハ株式会社と共同で進める。
今後も人を起点とした発想とクラウド、生成AIなどのデジタル技術、オープンイノベーションの活用により、利用者視点での新たな案内サービスの創出に取り組んでいくという。
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