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新生「AEON Pay」はWAONと統合して何が変わったのか? スマホ決済市場での戦い方を聞くモバイル決済の裏側を聞く(2/2 ページ)

» 2025年08月19日 10時05分 公開
[綿谷禎子ITmedia]
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イオンの決済ブランドを統一してスマホ決済にシフトしていく

 AEON Payのコード払いとWAONの残高移行が可能になり、ご当地WAONをAEON Payチャージ払いでも利用できるようになるなど、進化を遂げた新AEON Pay。この背景には、これまで展開してきたさまざまな決済サービスを統一して、スマホ決済にシフトしていくという目的がある。

 「コード決済市場が伸びている中、われわれもそこに参入したいと思っています。スマホアプリだといろいろなご案内ができるので、お客さまにとってお得な情報を発信することができます。さまざまなサービスを統一して、ブランド強化を図りたい」(橋本氏)

 WAONの累計発行枚数は約1億624万枚(2025年2月末時点)。WAONカードの利用者がAEON Payにシフトしてもらうことで、816万人(2025年2月末時点)の会員数を引き上げたい考えだ。

 AEON Payは「イオンカード」のクレカ支払いに加え、銀行口座をひも付けてのチャージ払い、イオン銀行ATMなどからの現金チャージにも対応。AEON Payで支払うと「WAON POINT」がたまり、たまったポイントはAEON Payに充当して、決済に利用することができる。また、AEON Payの利用者同士なら、残高を1円から手数料無料で送金できる。

AEON Pay イオン銀行ATMでは「AEON Pay現金チャージ」メニューから操作する

 AEON Payのコード決済でもWAONでも、決済時にたまるポイントは200円ごとに1ポイントと同じ。7月より、毎月10日にイオングループ店舗でAEON Payでスマホ決済(イオンカード払い、チャージ払い、WAONタッチ)すると、WAON POINTが基本の10倍たまる新特典も始まった。

 なお、WAON POINT加盟店で買い物をするとWAON POINTがたまるが、WAON一体型のイオンカードやWAONカードを使ってWAON POINT加盟店以外で決済した場合は、電子マネー「WAON ポイント」がたまる。WAON POINTとWAON ポイントは別のポイントになるが、将来的には統合していく予定だ。

AEON Pay WAON POINTとWAON ポイントはロゴマークの違いでも判別できる

QRコードのインバウンド対応や手ぶら決済にも対応予定

 2025年度中には、AEON PayのQRコードをインバウンド対応させる予定。訪日外国人客が自国のコード決済アプリで、AEON Pay加盟店で決済ができるようにする。その逆として、AEON Pay会員が海外に行った時に、AEON Payで決済できるアウトバウンド対応も考えている。

 「イオンフィナンシャルサービスは香港やタイ、中国など、アジア10ヵ国で事業を展開しています。まずは今年度、インバウンドの実証実験から始めていきたいと思っています。また、2026年2月までに手のひら決済サービスの実証実験を予定しています」(橋本氏)

 2025年3月3日〜6日まで開催された「リテールテックJAPAN 2025」で、手のひら認証技術を用いた決済サービスのデモを実施。AEON Payと手のひらの生体認証データをひも付け、リーダーに手のひらをかざすだけで決済できるようにする。

AEON Pay 「リテールテックJAPAN 2025」に展示された手のひら決済リーダー

 AEON Payを核としたブランド統一の戦略において、今回の新AEON Payはどれほどの影響力を果たすのだろうか。今後の実証実験など、拡大するサービスにも注目したい。

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