カメラに関しては、4モデル共通でインカメラに新しい仕組みを導入している。それが、「センターフレーム」だ。内側カメラに正方形のセンサーを備え、縦長、横長の両方に切り出せるようにすることで、縦に持ったまま横の写真や動画を撮れるという機能になる。画角も、広角と超広角を切り替え可能。AIで、これを自動にすることもできる。
セルフィー撮影時に端末を持ち替えると、そのはずみでポロっと落としてしまうリスクが高まるが、センターフレームを使えばそうした心配が不要になるのがうれしい。2人での撮影だと横位置にはならなかったが、この場合も、画面内のボタンをタッチするだけ。撮影を手早く済ませられる。
このインカメラとアウトカメラの両方を使い、1つの動画に被写体と撮影者を同時に収められる「デュアルキャプチャ」も、4機種共通の新機能だ。使いどころはやや限られそうだが、子どもと自分を一緒に撮っておくといったシーンでは活躍する。長年、こうした動画を撮りためてくると、自分が映っていないことが悲しくなることもあるが、そのような時にはデュアルキャプチャで撮影しておくのがいいだろう。
新しいiPhoneに限った話ではないが、iOS 26では「フォトグラフスタイル」に「ブライト」という新しい設定が加わっている。より肌を透き通った感じに見せるモードで、いわゆる美白に近い印象。日本を含む、アジア圏で好まれそうなスキントーンの表現だ。これまでのiPhoneは、どちらかというと、肌の色がこってりしていたきらいがあり、日本でのトレンドとは少し乖離(かいり)していた(ということもあり、アプリでの加工が一般的になったのだろう)。
肌の色をどのように表現するかは、文化的な側面もあり、国や地域によって傾向が異なってくる。何が正解というわけではないのが難しいところだが、実際、アジア圏のスマホメーカーが開発した端末では、より白く透き通ったような肌色になるような調整が施されていたりする。対応がやや遅かった印象もあるが、iPhoneのデフォルトカメラに多様性が増したことは歓迎したいことだ。
薄さが命のiPhone Airに対し、その真逆を行くiPhone 17 Pro/Pro Maxだが、このように1台1台の特徴づけは以前よりも明確になっており、ユーザーとしては選びやすくなった印象だ。方向性は異なるが、どちらもとがった部分にさらに磨きをかけてきた感がある。一方で、とがるというのはユーザーを選ぶことにもつながってしまう。
もう少し厚くていいから、せめて超広角カメラが欲しいと思ったり、以前のようなエレガントなデザインにして欲しいと思ったりする人も出てくるだろう。一方で、2025年のiPhone 17シリーズは、スタンダードモデルともいえるiPhone 17のスペックが大きく進化しており、これまでプロモデル限定だった最大120HzのProMotionや常時表示ディスプレイにも対応している。
望遠カメラこそないが、ど真ん中のiPhoneを使い続けたい人には、これがはまるはずだ。実際、iPhone 17を試用していると、これで十分では……と思うことが多かった。Airのデザインに引かれていなければ、毎年プロモデルを選択してきた筆者も、こちらを選んでいた可能性がある。
AirとProを両極端に振りつつ、スタンダードなiPhone 17を最大公約数的なハイスペックモデルに仕立ててきたというわけだ。多くの人が選ぶスタンダードモデルを強力にした上で、何かに特化した端末を両端に置くというラインアップ作りこそが、これまでのiPhoneとの大きな違いといえる。
(製品協力:アップルジャパン)
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