ラインアップ全体の構成を変え、フルモデルチェンジを果たした「iPhone 17」シリーズと「iPhone Air」が、9月19日に発売される。2022年に登場した「iPhone 14 Plus」以降、3モデル連続で続いてきた“Plus”がなくなり、新たに5.6mmの超薄型モデルとなるiPhone Airが加わった格好だ。また、プロモデル2機種も冷間鍛造で作られたアルミのユニボディーを採用し、そのデザインを大きく変えている。
新しいカテゴリーといえる超薄型のiPhone Airや、“プロ路線”をより突き詰めた「iPhone 17 Pro/Pro Max」が登場したことで、これまでのiPhoneとは、やや選び方が異なってきているような印象も受ける。では、それぞれはどのようなスマートフォンなのか。発売前に試用した実機で、iPhone AirやiPhone 17シリーズの実力をチェックしていく。
あたかも、ディスプレイそのものを持っているような感覚になる。これは、iPhone Airを最初に手にしたときの印象だ。薄くなっただけといえばそれまでだが、薄くなることでそのルックスがSF映画に出てくるような近未来感にあふれるようになった。スペックうんぬんはどうでもよくなってしまう力が、そこにある。これまでプロモデルを使い続けてきた筆者も、今回はiPhone Airで即決だった。
薄すぎるといっても、そこまで持ちづらいわけではない。ディスプレイサイズは6.5型で、これまでのスタンダードモデルとPlusの中間的な位置付けだが、キーボードを左右に寄せるなどすれば、何とか片手でも操作は可能。他モデルのそれほどではないが、「アクションボタン」や「カメラコントロール」もきちんと操作できる。
6.5型とやや大きめのボディーだが、重量が165gとスタンダードモデルのiPhone 17よりも軽いため、持っていても楽だ。その名の通りAir(空気)のよう――とまでは言わないが、画面サイズに対する先入観があるためか、数字以上に軽く感じたのも事実だ。ポケットの中に入れたとき、いい意味で存在感がないのは、最近のiPhoneにはなかった特徴といえる。
デザイン的に優れているだけでなく、処理能力も十分だ。プロセッサはプロモデルと同じ名称の「A19 Pro」。GPUのコア数は1つ少ないものの、スタンダードモデルのiPhone 17よりもパワーがあるとされている。実際、負荷がかかりやすいApple Intelligenceの「Image Playground」で画像を生成してみたところ、明らかにスタンダードモデルよりAirの方が完成までの時間が短かった。
カメラは広角のみという潔い割り切りぶり。設計思想は、2月に発売された「iPhone 16e」に通じるところがある。ただし、画質は向上しており、センサーサイズはスタンダードモデルと同等。A19 Proでの処理能力も相まってか、画像の解像感が高く、発色もいい。超広角カメラや望遠カメラはないものの、4800万画素のセンサーから切り出した2倍ズームも可能なため、最小限の画角調整はできる。
ただし、これまで複数のカメラを搭載していたiPhoneやAndroidを使っていると、シングルカメラは撮影の柔軟性に欠け、少々撮りづらいと感じることもある。超広角のような広々とした写真は撮りようがないし、ズーム代わりに自ら被写体に寄っていくと、動物に逃げられてしまうこともある。昨今では、ミッドレンジモデルですらトリプルカメラが当たり前になっている中、この価格帯のハイエンドモデルでシングルカメラは相当な“クセ強”といえる。
一方で、スマホのカメラに多くを求めない人も多いのは、iPhone 16eの売れ行きのよさで証明されている感もある。iPhone 16eは、価格という売りもあるため、トレードオフとしてシングルカメラに目をつぶった人も含まれそうだが、その仕様が多くの人に許容されているのも事実。思った以上にネガティブな要素にはならないかもしれない。
本体がソリッドかつクリーンにまとめられており、カメラの仕様もシンプル。さすがに出っ張りはあるものの、この潔さは初期のころのiPhoneをほうふつとさせる。あえてネットミームを引用すると、「最近のiPhoneにはスティーブの息吹が感じられない」と思っている人にこそ、手に取ってほしいiPhoneといえる。
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