発売から約4カ月がたった10月現在も入手困難な「Nintendo Switch 2」。発売直後にはフリマサイトやアプリには高額転売品がずらりと並んだ。特に批判の矢がいまだに飛んでいるのがメルカリだ。
そのメルカリが10月9日、「発売時に出品禁止にすべきだった」と、まさかの「反省コメント」を発表したのだ。巨大プラットフォーマーの苦悩をにじませた発表内容だが、SNS上での反応は賛辞ばかりではなかった。
なぜメルカリは、すぐに出品禁止という強いカードを切らなかったのだろうか。その裏には、「誰でも自由にモノを売り買いできる場所でありたい」という、同社が大切にしてきた「マーケットプレースの基本原則」があった。具体的な内容については、既に詳報を掲載しているため、ここでは割愛したい。
Switch 2自体は違法な品ではないため、この「自由な市場」という理念に基づけば、出品を一方的に禁止する判断には至らなかったのだ。しかし、この対応こそが批判の的となったのだ。定価を無視した高額出品は当然のこと、詐欺まがいの出品やコメント欄での誹謗中傷が横行し、プラットフォームの秩序は大きく乱れた。個別対応では追い付かない状況に、メルカリ自身もついに方針転換を決意する。
外部の専門家も交えた議論の末、多くのユーザーが不安を感じる状況は、メルカリが目指す「安心・安全な場所」とはいえないと判断。「Nintendo Switch 2は発売時においては、出品禁止すべきだった」という苦渋の結論に至ったのである。メルカリが10月9日に開催した記者会見では、禁止予定の具体的な発表はなく、現時点で出品禁止の予定はないとした。
メルカリはSwitch 2の転売対応について、「状況は変わり得る」としつつ、現時点で出品禁止の予定はないと説明した。高額出品への価格規制も予定しておらず、価格が急騰している場合は商品ページや検索結果にアラートを表示して注意を促すなどの対策を行っているという。続きはITmedia Mobileの詳報にて解説しているこの「反省」に対し、世間の反応は驚くほど冷ややかであった。SNSには「今さら言われても、もう遅い」「さんざん転売で儲けた後で言うなんて」といった声が溢れかえった。「何周も遅いな。十分、上前を跳ねた後という印象だ」という意見も上がった。
これらは、メルカリの対応が後手に回ったことへの強い怒りといえ、転売ヤーが利益を得た後での反省表明は、もはや「後出しジャンケン」のように写ってしまうのだ。「世間一般じゃ、メルカリは『手数料旨けりゃなんでもOK』という無法地帯転売ヤー天国という認識だよ」という厳しい指摘もあり、メルカリによる説明不足とも見て取れる。
転売ヤーが「悪」とされる一方で、「ちょっと待って」と声を上げる人々もいる。実業家の堀江貴文氏は6月7日に自身のXアカウントで、「どうしても欲しい時に転売ヤーからでも多少高くても買いたいと思っている派です」と堂々と宣言。「感情論で邪魔すんなって感じです」と転売批判を一蹴し、「ちなみにゲーム機本体の転売は合法です」と付け加えていた。
メルカリが見せた反省の姿勢と、それに対するSNS上での厳しい視線。そして、転売そのものを肯定する意見。Nintendo Switch 2を巡る一連の騒動は、「まだ解決できていない課題が多い」ことを意味するようだ。
転売問題は、プラットフォーマー単体だけでは片付けられず、一般消費者のモラルや考え方、そして自由な売買――という複数の意見をてんびんに載せているようで、簡単には正解を導き出せないのが現状といえる。結局のところ、転売はアリなのかナシなのか。このモヤモヤした問いの答えは、まだ誰も見つけられていないのかもしれない。
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