MVNO as a Serviceは、従来のMVNO参入モデルと何が決定的に違うのか。小林氏は、ミークがこれまでに提供してきた「Self-Operated MVNO」(事業者が自ら運営するモデル)との比較を挙げて、その優位性を強調した。
実は最大の障壁が「モバイルシステム開発」にあった。例えば、Self-Operated MVNOを選択した場合、事業者が自ら申し込みページ、本人確認(eKYC)の仕組み、顧客管理システム、月額課金システム、そして MVNE(ミーク)とオーダーをやりとりする API 連携などを開発する必要があった。これには 2000万〜3000万円程度の初期構築費用と、6カ月以上の開発期間を要するのが一般的だったそうだ。
さらに、サービス開始後の「運営体制」の構築も課題となる。24時間365日の顧客サポートを整備するだけでも、内製・外注を問わず人員が必要であり、課金管理やサービス企画なども含めると、10人以上の専門知識を持った体制が必要だった。
一方、今回のMVNO as a Serviceでは、これらのモバイルシステム開発は一切不要となる。ミークモバイルが提供する共通基盤を利用するため、開発期間は最短3カ月程度に短縮される。モバイルサービスの運営体制も不要だ。非通信事業者が唯一対応するのは、自社の既存システム(顧客IDなど)と連携し、ポイント還元などを実現するための接続開発のみとなる。
もちろん、トレードオフも存在する。ミークが提供しているMVNEサービス「Self-Operated MVNO」はオーダーメイドで柔軟性が高く、売上や利益も高くなる可能性がある。対してMVNO as a Serviceはパッケージ型で柔軟性は低く、収益は販売手数料がベースとなる。
ミークの「Self-Operated MVNO」はオーダーメイドで柔軟性が高く、高収益の可能性がある。一方、「MVNO as a Service」はパッケージ型で柔軟性は低く、収益は販売手数料がベースとなる小林氏は、自社で開発を行い、高い売上と利益を狙う事業者は引き続き Self-Operated MVNOが適しているとし、今回の新サービスは「非通信事業者が、もっとライトにモバイルサービスを始めたい」というニーズに応えるものだと明確に位置付けた。
ミークモバイルは、この新サービスを通じて3つの具体的な価値を提供する。1点目は、ミークが 10年以上にわたり培ってきた MVNE としての実績と、現在80万回線以上が利用する「実績のあるネットワーク運営能力」。
2点目は、消費者が現在の利用環境から移行しやすいよう、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIの3キャリアのネットワークに全て対応し、どのキャリアを選んでも同一プラン・同一料金で提供する「3キャリア対応のネットワーク」だ。
最後の3点目は、プラットフォーム型でサービスを構築することで、販売手数料を支払いながらも市場で遜色のない「納得の料金プラン」だ。
発表会で示された料金プランは、スタート時点では小・中・大の3カテゴリーで提供される。小容量プランは、一般的な利用者の平均利用量から 4GBで1000円を切る価格帯を設定するなど、利用者が移行しやすい設定を意識したという。具体的には、小容量(10GB以下)が4GBが980円、中容量(10〜30GB)の12GBが1780円、22GBが1980円、37GBが2580円、大容量(30GB以降)の57GBが3980円となっている。
これらは音声通話、SMS、データ通信を含む料金で、3キャリア共通という。今後、楽天モバイルも選択肢に加わるそうだが、詳細は明かされなかった。
ミークモバイルは、この仕組みを共通基盤として、A社向けには「A社モバイル」専用の申し込みページやマイページを用意し、B社向けには「B社モバイル」として提供する。今後はミークと協力し、AIチャットbotの導入などによって業務効率を上げ、コスト効率を高めていく方針だ。
具体的なユースケースとしては、自社アプリやポイントサービスと連携する「小売業」、チケットやグッズ購入にポイントを活用できる「ファンクラブ」(スポーツクラブなど)、ガス・水道・電気といった「インフラ」、新たな旅行体験につなげる「旅行業界」などを想定している。
小林氏は、「MVNO as a Serviceで、全ての“ブランド”にモバイルサービスを」という目標を強調し、「消費者がお気に入りの経済圏でモバイルサービスを利用できるようにし、事業者がブランド戦略を一層進められるよう、多くの企業にこのサービスを提案していきたい」としている。
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