「Xperia」の中国SNSアカウント閉鎖、公式サイトも閲覧不可に 製品展開に新たな局面か

» 2025年11月22日 17時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
ソニー Xperia 中国 ソニー

 中国本土でXperia関連情報にある変化が起きている──。

 ソニーが中国本土で展開してきたXperia事業は、公式な撤退表明こそないものの、中国においてXperiaの情報にアクセスする手段が限られてきているのだ。最も顕著なのは、同社が自ら管理してきた中国向け公式SNSアカウントと、中国版サイトにおける変化だ。こうした動きは、新たな局面を示す静かな変化と考えられる。

 中国本土の一部SNS上では、Xperia関連の公式アカウントが閉鎖された。ソニーがWeChatにて運用していた「索尼 Xperia」というアカウントには「停止使用」などの文言が並び、既にアカウントの更新が行われていないことが示されている。ソニー公式のアカウント「索尼中国」は概要や投稿画像などを確認できたことから、こちらはアカウント停止にはなっていないと思われる。

 このことから、アカウントそのものを終了する措置であり、今後の発信活動を継続する姿勢は読み取れない。ユーザーから最も見えやすい情報発信拠点が運営終了となった事実は、現状の動向を示す象徴的な出来事となった。

ソニー Xperia 中国 中国本土の一部SNSでXperia公式アカウントが閉鎖された。WeChatの「索尼 Xperia」は「停止使用」とされ更新も停止。一方、ソニー公式の「索尼中国」は存続している。主要な発信拠点の終了は、今後の活動継続の意思がないことを示唆しており、現状を象徴する出来事となった

 Web上でも変化が起きている。ソニー中国版公式サイトでは、従来掲載されていた「スマートフォン/電話」のカテゴリーが静かに削除された。加えて、サイト内検索からもXperiaの製品ページを確認できない状態が続く。さらに、中国向けXperiaサイトのドメイン“sony-xperia.com.cn”にもすでにアクセスできなくなっており、中国におけるXperiaの主要な情報入口が機能していない。

ソニー Xperia 中国 Web上でも変化が見られる。ソニー中国公式サイトでは「スマートフォン」のカテゴリーが削除され、製品ページも検索不能だ。さらに中国向けドメイン“sony-xperia.com.cn”へのアクセスもできなくなっており、同国における主要な情報入口が機能不全に陥っている

 製品展開においても同様の傾向が見られる。中国本土では2023年発売の「Xperia 5 V」を最後に新モデルが投入されておらず、2024年以降に海外で発表された「Xperia 1 VI」「Xperia 10 VI」、2025モデルにあたる「Xperia 1 VII」「Xperia 10 VII」についても、中国向け発表は確認できていない。SNSやWebの更新停止と併せて考えると、積極的な展開が見られない状況が続いているように映る。

 ただ一方で、ソニーは中国市場からの撤退を明らかにしていない。中国市場が極めて大きな規模を持つことは変わらず、事業としての重要性は依然として高いだろう。

日本市場では今後もXperia継続の方針 CFOの陶 琳氏が示す

 興味深いのは、日本市場ではXperiaの継続方針がすでに示されている点だ。ソニーグループは8月7日の2025年度第1四半期 業績説明会において、スマートフォン事業を引き続き重要な領域として位置付けた。執行役 CFOの陶 琳氏は、通信分野で蓄積してきた技術資産がスマートフォンだけでなく幅広い製品・サービスに活用されていると説明し、今後も大切に育てていく姿勢を語った。

 その一方で、2025年夏商戦向けのフラグシップ「Xperia 1 VII」において、再起動を繰り返す、電源が入らないといった不具合が7月4日に公表された。ソニーは販売を一時停止し、回収および交換対応に追われた。この出来事を受け、SNS上では「今後も販売されるのか」といった声が寄せられているが、同社の姿勢からは事業継続の意向が読み取れる。

ソニー Xperia 中国 2025年夏モデル「Xperia 1 VII」で7月4日、再起動や電源不可の不具合が公表され、ソニーは販売停止と回収・交換に追われた。SNS上では今後の展開を危ぶむ声も聞かれたが、同社の姿勢からは事業継続の意向が読み取れる
ソニー Xperia 中国 Xperia 1 VIIのカラーはスレートブラック、モスグリーン、オーキッドパープルの3色

 フラグシップの1シリーズは例年通り更新が続き、販促やソフトウェア更新も維持されている。これに対して、コンパクトモデルとして支持されてきたXperia 5シリーズは、2023年10月発売のXperia 5 V以降、新モデルが登場していない。Xperia 5 Vは横幅約68mmのサイズを保ちながら、画質劣化を抑えた光学2倍相当のズーム性能を備えるなど、上位モデルに近い特徴を持つ。

ソニー Xperia 中国 1シリーズは例年通り更新や販促が続く一方、コンパクトな5シリーズは2023年10月の「Xperia 5 V」以降、新モデルが登場していない。5 Vは幅約68mmを維持し、画質劣化を抑えた光学2倍相当のズームを備えるなど、上位機に迫る性能を持つ

地域ごとに異なる事業判断 背景は市場競争の激化か

 日本ではブランドが継続されている一方で、中国本土では情報の更新が段階的に減っているようだ。この対照的な状況は、地域ごとに事業方針を調整している可能性を示唆する。

 背景には、中国本土におけるスマートフォン競争の激しさがあると思われる。XiaomiやOPPOなどが躍進を遂げたことも関係しているはずだ。ソニーはイメージセンサーやエンターテインメントなど他分野が堅調であるため、Xperiaブランドの展開対象国を見直し、事業の効率化を図っている可能性も十分にあり得る。

 ただ、現在確認できる変化は、いずれも公式の詳細説明を伴っていない。SNSの運営終了、製品ページの非表示、専用ドメインのアクセス不能といった各事象は、ユーザーが直接触れられるSNSやサイトで起きている。今後、この状況が正式な方針として表明されるのか、あるいは一定期間の縮小にとどまるのかは依然不透明だ。

 今回、明らかになった一連の変化は、Xperiaが中国本土で新たな局面に入っていることを示している。現時点で最も確かな情報源は、ソニー自身が残している、あるいは削除した痕跡そのものであり、公式発表の続報が待たれるところだ。

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