これまでの歩みを振り返ると、2025年11月7日時点で950万回線だった契約数が、わずか1カ月半で50万回線を上積みしたことになる。この驚異的なラストスパートの背景には何があったのか。12月25日の会見後、三木谷氏は囲み取材に応じ、その要因について「大口の企業の契約などもあったので、ラッキーな部分もあったと思う」と語った。謙遜した表現ではあるが、法人契約の積み上げが数字を押し上げたことは間違いない。
しかし、要因はそれだけではないようだ。楽天モバイル広報によると、三木谷氏だけでなく、役員や従業員全員が法人顧客への商談や声がけを行うなど、全社一丸となった営業活動があったという。いわゆる「どぶ板営業」ともいえる地道な努力が、1000万回線という数字に響いているようだ。広報担当者は「三木谷が言及しているのはそうした『法人顧客からの契約獲得』の部分だが、それ以外にも2024年9月末に他社様が値上げを発表された際の反響も大きかったと考えている」と分析する。
競合他社が実質的な値上げやプラン改定に動く中、楽天モバイルはRakuten最強プランの価格を維持し続けている。この姿勢が、物価高に直面する消費者や企業の支持を集めた。「ずっと安く使えて安心なのは楽天だよね」という声や、経費削減を迫られる法人からの「料金が無制限で使えるのであれば、経費削減のために安い方がいい」という需要が急増したという。三木谷氏も取材に対し、「やはり円安になってきて、携帯電話だけでなく他の物価も上がっていく中、なかなか日本の経済も大変になっていってしまうのではないかと危惧している。いろいろな事情はあると思うが、私どもはできる範囲で頑張っていきたいと思っている」と、価格維持への強い意志をにじませた。
【訂正:12月25日22時55分】初出時、楽天モバイルがワンプランを維持していると記述していましたが、2025年10月以降はワンプランではなくなったため、当該記述を訂正しました。
また、「メディア報道やSNSでの拡散も追い風となった」と広報は話す。「U-NEXT」との連携プランなど、エンターテインメントサービスとの親和性の高さも、新規顧客の流入を促した要因の1つだ。「楽天モバイルなら安く見放題になる」という口コミや、家族間での紹介も活発に行われ、まさに「人とのつながり」による信頼関係が契約数増加を後押ししたといえる。
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