既報の通り、2025年12月、韓国Samsung Electronics(以下、サムスン電子)が、3つ折り構造を採用したスマートフォン「Galaxy Z TriFold(ギャラクシートライフォルド)」の詳細を正式に発表した。韓国では12月12日に販売を開始し、その後は中国、台湾、シンガポール、UAE(アラブ首長国連邦)、米国など、多くの地域へも順次展開する予定だ。サムスン電子ジャパン広報によると、日本での展開については「未定」という。
Galaxy Z TriFoldは、サムスン電子が折りたたみカテゴリーで積み重ねてきた10年の知見を凝縮したモデルだ。閉じた状態では通常のスマートフォンと同じようにアプリを使え、2段階の展開によって「11型のiPad」に近い10型の大画面を利用できる点が最大の特徴となる。1時間という短時間ではあるが、その実機に触れる機会を得たため、2つ折りの「Galaxy Z Fold7」ユーザーの視点から感じたことをお伝えしたい。
まずは、開いた状態で利用可能なインナーディスプレイから見ていこう。Galaxy Z Fold7のインナーディスプレイは8.0型と、「iPad mini」に近いサイズ感のディスプレイを利用できる。開けばすぐに小型タブレットに変身することを考えれば、それだけで十分な利便性があると実感するが、画面サイズだけを見ても、より大きいGalaxy Z TriFoldの10型には憧れを抱く。
インナーディスプレイの折り目はどちらも目立たないが、完全にないわけではない。蛍光灯や太陽光が反射して折り目がゆがんで見えるときはあるものの、真正面から見ている限り、シビアに気になるほどのものではない。
全く折り目のないインナーディスプレイとは言い切れない。Galaxy Z Fold7(写真=左上)もGalaxy Z TriFold(写真=右下)も折り目が目立つ場面がある。屋外での利用時には反射して気になるかもしれないディスプレイの見やすさは、折り目だけでは評価しづらい。試しにGoogle マップをGalaxy Z Fold7とGalaxy Z TriFoldで同時に起動し、並べて比較してみたところ、Galaxy Z Fold7を上回るレベルでGalaxy Z TriFoldの画面は見やすい。Galaxy Z TriFoldは一度により多くのエリアを表示できた。Galaxy Z Fold7でも十分ではあるが、画面は大きいほど見やすい。
Google マップをGalaxy Z Fold7(写真=上)とGalaxy Z TriFold(写真=下)で同時に起動した様子。Galaxy Z Fold7でも十分ではあるが、画面は大きいほど見やすい両製品ともに分割表示にも対応している。見え方に違いはあるのだろうか? 2画面分割ではやはり先のGoogle マップと同様にGalaxy Z TriFoldがより多くの情報量を一度に確認できる。左側はAmazon、右側はヨドバシ・ドット・コムで、例えば2つのサイトで同じ商品の価格を比較するときに、Galaxy Z TriFoldはより快適だろう。
2画面分割でAmazonとヨドバシを表示したGalaxy Z TriFold(写真=下)。一度に確認できる情報量が非常に多く、同一商品の価格比較も、この圧倒的な表示領域によってストレスなく快適に行えることが分かる3画面分割にも違いがある。どちらも3つのアプリを同時に起動して、1つは縦長に、残り2つは横向きの長方形に近い比率で配置できる。この場合においても画面の大きいGalaxy Z TriFoldの方がGalaxy Z Fold7よりも見やすい。
同じ3画面分割でも、Galaxy Z TriFoldはスマホ画面を横に3つ並べたようなレイアウトが可能だ。これはGalaxy Z Fold7では実現できない。このレイアウトは、3つのサイトで同じ商品の価格を比較する際などに重宝するだろう。ただ、それ以外のどのような場面でメリットを享受できるか、未知の部分も残る。その真価については、より長期的に使用しないと評価が難しいと感じた。
Galaxy Z TriFold(写真=下)独自の3画面分割がある。スマホ画面を横に3枚並べたようなレイアウトはFold7(写真=上)では不可能だ。3サイトでの価格比較には便利だが、他の場面でどう生きるか、その真価は長期試用で判断したいGalaxy Z TriFoldとGalaxy Z Fold7のインナーディスプレイにおける決定的な違いは、「Samsung DeX(サムスンデックス)」の運用にある。Samsung DeXは、Galaxyスマートフォンやタブレットを外部ディスプレイ(モニターやグラス型ディスプレイ)に接続し、PCのようなデスクトップ環境で利用できるようにする機能だ。
Galaxy Z Fold7は外部ディスプレイ接続時にしかこのSamsung DeXを使えないのに対し、Galaxy Z TriFoldは外部ディスプレイに接続せずとも、本体のインナーディスプレイ上でそのまま利用できる。起動方法は簡単で、「履歴ボタン」をタップし、「デスクトップ1」のエリア(やや色が薄くなっている範囲)を選択するだけだ。デスクトップは複数作成できるため、仕事用はデスクトップ1、プライベート用はデスクトップ2というように、用途に応じた使い分けが可能となっている。
右下のタスクバーから直前の作業環境をすぐに復元できる点は、両製品ともに共通している。電話応対などの後でも、中断した作業を滑らかに再開できるのは強みだ。
Galaxy Z Fold7ユーザーとして、Galaxy Z TriFoldにも実装を希望したいと感じた機能があった。それが「フレックスモード」だ。サムスン電子ジャパンのFAQページによると、「フレックスモードとはFlipシリーズやFoldシリーズのような折りたたみ端末において、画面を一定の角度に折り曲げた状態で、三脚を使わずに端末を固定して利用できるモード」を指す。
同ページには、「フレックスモードにすると一部のアプリのレイアウトが自動的に変更され、下半分がコントロール画面、上半分が表示領域に変わる。対応アプリの利用時、端末の折り曲げ角度を変えるとセンサーが動作し、開いた角度に応じて自動的にフレックスモードの画面に切り替わる」とも記載されている。
サムスン電子ジャパンのFAQページによると、「フレックスモードとはFlipシリーズやFoldシリーズのような折りたたみ端末において、画面を一定の角度に折り曲げた状態で、三脚を使わずに端末を固定して利用できるモード」を指す(出典:「(Galaxy) 折りたたみ端末のフレックスモードについて教えてください。」)例えばYouTubeを視聴する際、端末を「くの字」に曲げて置くと、画面上半分に映像を、下半分に操作用のタッチパッドなどを表示し、ノートPCのようなスタイルで操作できる。スタンドを用意せずとも、好きな角度でコンテンツを楽しめるのがこのモードの大きなメリットだ。
サムスン電子ジャパン広報によると、「このフレックスモードはGalaxy Z Fold7には搭載されているが、Galaxy Z TriFoldにはない」という。実際に両製品の設定画面を確認したところ、確かにGalaxy Z TriFoldにはフレックスモードの項目が存在しなかった。構造上、1画面分の面積を接地面とし、残り2画面分を支えるのはバランスを取るのが難しいようだ。実際にそのようなスタイルで机上に置いてみたが、すぐに倒れてしまい、危うく落下させるところだった。Fold7ユーザーとしてはTriFoldでも使いたい機能だが、物理的な制約を考えると実現は容易ではないのだろう。
ノートPC風に操作できるフレックスモードはGalaxy Z Fold7(写真=右)のみの機能。Galaxy Z TriFold(写真=左)は構造上の不安定さから自立が難しく、非搭載となっている。実際に試すと転倒の危険があり、3つ折り構造ゆえの物理的制約が確認できた
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