NTTドコモとマネックス証券は1月29日、全国のドコモショップにおいてマネックス証券の証券総合取引口座開設などを対面で支援する各種設定サポートを開始する。この取り組みは、ドコモショップを運営する代理店が金融サービス仲介業のライセンスを取得して実施するものであり、通信キャリアの店舗スタッフが証券口座の開設案内を行う試みは業界で初めてだという。まずは先行して35店舗でスタートし、早期に100店舗規模、将来的には約1000店舗へと順次拡大していく計画だ。
サービス提供の背景には、インフレや将来資金への関心が高まる一方で、資産形成の具体的な始め方が分からないという生活者の課題がある。両社が実施した共同アンケートでは、NISAの認知率は約8割と高いものの、実際の利用者は約4割にどどまっている実態が明らかになった。さらに、利用していない層の8割が相談できる相手がいないと回答しており、知識はあるが最初の一歩を踏み出せないという大きなギャップが存在していた。この課題を解決するため、日常的な接点であるドコモショップでの対面サポートという手法が選ばれた。
ドコモショップで提供される「各種設定サポート」は、証券外務員資格を保有するスタッフが対応にあたる。サポート範囲は「証券総合取引口座」や「NISA」の開設から、投資信託の積立設定、アプリの操作方法まで多岐にわたる。具体的には、スマートフォンの画面を一緒に見ながら手続きを進める形式をとっており、手続きに不慣れな層でも無料で支援を受けることが可能である。ただし、具体的な投資信託の銘柄や株式の売買といった個別の金融商品に関する勧誘や助言は対象外となり、それらはマネックス証券のカスタマーサポートが引き継ぐ体制を構築している。
NTTドコモのコンシューマサービスカンパニーウォレットサービス部長である田原務氏は、今後の金融戦略について次のように述べた。ドコモは1億人以上の会員基盤を持ち、決済を起点に事業を拡大してきたとした上で、「通信キャリアの枠を超え、日常の接点を生かしてお客さまの暮らしを支える金融サービスをシームレスに提供する必要がある」と語った。また、銀行、融資、保険、証券の各機能を統合し、「暮らしと金融の境目のない未来」を目指すと宣言した。マネックス証券との資本業務提携は、その戦略の要であり、専門性と日常の利便性を掛け合わせることで、誰でも手軽に始められる資産形成を実現したいという。
マネックス証券の取締役社長執行役員である清明祐子氏は、1999年の創業以来「金融の民主化、投資の民主化」を掲げてきた同社の歩みを振り返った。同社は2017年にシステムを内製化し、APIを通じて他社サービスに金融機能を組み込むエンベデッド・ファイナンスを推進してきた。今回のドコモとの提携もこの技術基盤が可能にしたものだ。清明氏は「ネットの利便性と対面の安心感という、これまで両立が難しかった価値が今回の取り組みで1つになる」と強調した。店舗を持たないネット証券が、ドコモショップというリアルの場を持つパートナーと組むことで、日本の投資家層の拡大に寄与する姿勢を示している。
具体的なサポート内容の2点目として、清明氏は「投資設定のサポート」を挙げた。これは単に口座を作るだけでなく、利用者に最適な始め方を提案するものだ。例えば「dカード」での積立投資や、保有残高に応じてポイントが付与される「dアカウント」連携、日常の決済アプリから投資ができる「かんたん資産運用」の設定などを案内する。利用者が「お得」を逃さずに資産形成を継続できる環境を整えることが目的だ。さらに、多要素認証の設定といったセキュリティ面や、アプリの基本的な見方などの「基本操作サポート」も徹底し、利用者が自分自身で資産を守り管理できる状態を目指す。
NTTドコモはサポート提供店舗も公表した。まずは札幌光星店や盛岡バイパス店、赤坂店、渋谷宮益坂店、中目黒店、府中店、水戸西店、長久手店、神戸長田店、松山空港通店、ひびきの店などコネクシオが運営する35店舗で実施し、対象店舗は順次拡大していく。利用には事前予約が必要で、スマートフォンやマイナンバーカードを持参することでスムーズな手続きが可能となる。
清明氏は、2月13日の「NISAの日」を前にこの発表ができる喜びを語り、「ドコモショップを訪れる人々が、個人の資産形成を本気で支えてきたマネックス証券を紹介されるからこそ、安心して始められる」と自信を見せた。
両社は今後、一人一人のライフステージに合わせた金融サービスを提案し、シームレスな資産形成を支援していく方針だ。田原氏は、ドコモショップというリアルの場が持つ価値を再定義し、「対面でのサポートにより、お客さまが気軽に、安心して資産形成の一歩を踏み出せる環境を提供していきたい」との意気込みを述べた。通信と金融が融合した新しい形のサポート体制が、日本の個人の資産運用をどう変えていくのか、その成果が期待される。
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