楽天の「Open RAN」「エコシステム」が世界で注目を集めるワケ 三木谷氏はMWCで「殺人的なアポ」とうれしい悲鳴(2/3 ページ)

» 2026年03月05日 11時12分 公開
[房野麻子,ITmedia]

ネットワークとエコシステムを売って「1粒で2度おいしい」

 講演修了後、三木谷氏は日本の報道陣からの質問に応えた。主なやりとりは以下の通りだ。

楽天モバイル 講演後、囲み取材に応じる三木谷氏

―― 世界のキャリアが(楽天グループのような)エコシステムを作るのはハードルが高いと思うが。

三木谷氏 でも興味はすごいですよ。大手キャリアも「このままだと難しい」という認識がありますね。

―― もっとポイントなどのエコシステムを入れていきたいと?

三木谷氏 そうですね。もともと、楽天ブランドじゃないリワードプログラムのプラットフォームがあります。アメリカだと大手銀行やコカ・コーラ、メジャーなエアラインとかに提供していて、結構大きいんですよ。今まであまりテレコムにそれを提供してこなかったんですけど、今は皆さん、非常に興味を持っていらっしゃる。

 単純なリワードプログラム、ポイントシステムの提供もやりますし、それ以外では、例えば「Rakuten TV」だと、(フランスの通信事業者)Orangeさんなどいくつかのテレコム会社は同じようなビデオストリーミングプラットフォームを提供しているので、「だったら集約しましょうよ」ということで持ってきていただいたり。電子書籍もそうですし、いろいろな形で広がっていっていると思います。

―― 楽天は、ヨーロッパはそういう面で強いのか。

三木谷氏 Rakuten TVはヨーロッパで非常に強いですね。

―― 講演でAST SpaceMobileのことに言及していた。直前にSpaceXが次世代の話(第一世代の5倍となる巨大なアンテナを搭載し帯域幅も拡大。より高品質なブロードバンド体験が可能になる)をしていて、楽天がアピールしているようなスペックをSpaceXも実現する模様。これについて、競争上どう対抗していくか。

三木谷氏 衛星通信はその国にとっても重要な施策。1社だけというわけにはいかないだろうなと。2社は必要だとは思っています。

―― 楽天モバイルの回線が1000万契約を超えたことで、世界的な受け止めが良くなった部分はあるか。

三木谷氏 そうですね。1000万契約もそうですけど、先日「自律型ネットワーク レベル4」認定を取得しました。Open RANだと、うちだけがレベル4ネットワークになった。Open RANによってオートメーションがしやすくなり、ベンダーロックインから逃れることができる。うちでも40以上のベンダーの製品を使っている。それでしっかりと動いているということに対して、非常に興味を持っていただいているのだと思います。

―― 今日の講演はAIについての内容が相対的に少なかったと思うが。

三木谷氏 今日のオーディエンスは通信会社の人たちだったので「楽天シンフォニーの技術を買ってください」ということがメインのトピックでした。ついでに「エコシステムのプラットフォームも売りますよ」という売り込みだったので。

―― 楽天シンフォニーのネットワークとセット販売的にエコシステムが売れることもあるのか。

三木谷氏 「エコシステムを作るのを手伝ってほしい」という話がほとんど。1粒で2度おいしい、みたいな感じですね。何らかの取引があると、そこから広げやすいじゃないですか。入り口としてはそれもありかなと。

Open RANと自動化を組み合わせることでコストを下げられる

―― 楽天シンフォニーの技術を買っているキャリアは、今何社くらいか。

三木谷氏 75社くらいですかね。すごく増えています。

―― 先進国もあるのか。

三木谷氏 提供しているのはRAN、OSS、クラウド、この3つですが、どれかを使っている会社は欧米にもいっぱいあります。最近は東南アジア、中央アジア、アフリカがかなり興味を持っていますね。アフリカが多いかな、中南米がちょっとまだ少ないかな。

 新興国系の方が、コストパフォーマンスのメリットは引き出しやすい。これからネットワークを強化するという局面なので、5Gもまだできていないところが多い。「5Gを使うなら、どうせだったら新しい方法でやろうか」という形が多いですね。

―― 競合はどこになるか。

三木谷氏 トラディショナルな会社もあります。Open RANで言うと、ほとんど楽天だけになってきているかもしれません。vRAN(仮想化RAN)だとサムスンさんとかもやっていますけど。Open RANという意味だと、「5Gだけやっています」とか「4Gだけやっています」という会社はありますけど、今、統合的にやっているのは楽天シンフォニーだけかもしれませんね。

―― そこが強みになのか。

三木谷氏 そうですね。強みは、Open RANとオートメーションを組み合わせることによってトータルコストが下げられることと、ネットワークの安定性が上がることかなと思います。

―― 楽天シンフォニーの収益はどこまで上がってきているか。

三木谷氏 決算で説明していますが、結構上がっていますね。ただ、ハードウェアの部分は、これからできるだけやらないようにしていこうと思っています。ハードウェアは買って売ると売上は上がるんですけど、利益率は低い。ソフトウェアの売り上げは順調に伸びています。

―― 今回のMWCで商談はどれくらい決まりそうか。

三木谷氏 分からないですが、殺人的な(笑)アポの数になっていますよ。「もう勘弁してくれ」みたいな。

―― ここ最近のMWCと比べて手応えはどうか。

三木谷氏 明らかに強くなっていますね。

―― Open RANをやっている側から見て、日本のベンダーの力量はどうか。

三木谷氏 素晴らしいと思います。頑張ってほしいなと、本当に。クオリティーは高いと思います。

―― 現在の楽天のネットワークで、日本ベンダーの比率はどれくらいか。

三木谷氏 5Gはほぼ日本(メーカー)です。4Gはほぼ海外ですね。日本ベンダーさんは、クオリティーが高いし、価格が適正であれば使いたいと思っています。

―― 経済安全保障的な発想も入っているか。

三木谷氏 ありますね。正直やっぱり中国製は使いにくい。

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