講演修了後、三木谷氏は日本の報道陣からの質問に応えた。主なやりとりは以下の通りだ。
―― 世界のキャリアが(楽天グループのような)エコシステムを作るのはハードルが高いと思うが。
三木谷氏 でも興味はすごいですよ。大手キャリアも「このままだと難しい」という認識がありますね。
―― もっとポイントなどのエコシステムを入れていきたいと?
三木谷氏 そうですね。もともと、楽天ブランドじゃないリワードプログラムのプラットフォームがあります。アメリカだと大手銀行やコカ・コーラ、メジャーなエアラインとかに提供していて、結構大きいんですよ。今まであまりテレコムにそれを提供してこなかったんですけど、今は皆さん、非常に興味を持っていらっしゃる。
単純なリワードプログラム、ポイントシステムの提供もやりますし、それ以外では、例えば「Rakuten TV」だと、(フランスの通信事業者)Orangeさんなどいくつかのテレコム会社は同じようなビデオストリーミングプラットフォームを提供しているので、「だったら集約しましょうよ」ということで持ってきていただいたり。電子書籍もそうですし、いろいろな形で広がっていっていると思います。
―― 楽天は、ヨーロッパはそういう面で強いのか。
三木谷氏 Rakuten TVはヨーロッパで非常に強いですね。
―― 講演でAST SpaceMobileのことに言及していた。直前にSpaceXが次世代の話(第一世代の5倍となる巨大なアンテナを搭載し帯域幅も拡大。より高品質なブロードバンド体験が可能になる)をしていて、楽天がアピールしているようなスペックをSpaceXも実現する模様。これについて、競争上どう対抗していくか。
三木谷氏 衛星通信はその国にとっても重要な施策。1社だけというわけにはいかないだろうなと。2社は必要だとは思っています。
―― 楽天モバイルの回線が1000万契約を超えたことで、世界的な受け止めが良くなった部分はあるか。
三木谷氏 そうですね。1000万契約もそうですけど、先日「自律型ネットワーク レベル4」認定を取得しました。Open RANだと、うちだけがレベル4ネットワークになった。Open RANによってオートメーションがしやすくなり、ベンダーロックインから逃れることができる。うちでも40以上のベンダーの製品を使っている。それでしっかりと動いているということに対して、非常に興味を持っていただいているのだと思います。
―― 今日の講演はAIについての内容が相対的に少なかったと思うが。
三木谷氏 今日のオーディエンスは通信会社の人たちだったので「楽天シンフォニーの技術を買ってください」ということがメインのトピックでした。ついでに「エコシステムのプラットフォームも売りますよ」という売り込みだったので。
―― 楽天シンフォニーのネットワークとセット販売的にエコシステムが売れることもあるのか。
三木谷氏 「エコシステムを作るのを手伝ってほしい」という話がほとんど。1粒で2度おいしい、みたいな感じですね。何らかの取引があると、そこから広げやすいじゃないですか。入り口としてはそれもありかなと。
―― 楽天シンフォニーの技術を買っているキャリアは、今何社くらいか。
三木谷氏 75社くらいですかね。すごく増えています。
―― 先進国もあるのか。
三木谷氏 提供しているのはRAN、OSS、クラウド、この3つですが、どれかを使っている会社は欧米にもいっぱいあります。最近は東南アジア、中央アジア、アフリカがかなり興味を持っていますね。アフリカが多いかな、中南米がちょっとまだ少ないかな。
新興国系の方が、コストパフォーマンスのメリットは引き出しやすい。これからネットワークを強化するという局面なので、5Gもまだできていないところが多い。「5Gを使うなら、どうせだったら新しい方法でやろうか」という形が多いですね。
―― 競合はどこになるか。
三木谷氏 トラディショナルな会社もあります。Open RANで言うと、ほとんど楽天だけになってきているかもしれません。vRAN(仮想化RAN)だとサムスンさんとかもやっていますけど。Open RANという意味だと、「5Gだけやっています」とか「4Gだけやっています」という会社はありますけど、今、統合的にやっているのは楽天シンフォニーだけかもしれませんね。
―― そこが強みになのか。
三木谷氏 そうですね。強みは、Open RANとオートメーションを組み合わせることによってトータルコストが下げられることと、ネットワークの安定性が上がることかなと思います。
―― 楽天シンフォニーの収益はどこまで上がってきているか。
三木谷氏 決算で説明していますが、結構上がっていますね。ただ、ハードウェアの部分は、これからできるだけやらないようにしていこうと思っています。ハードウェアは買って売ると売上は上がるんですけど、利益率は低い。ソフトウェアの売り上げは順調に伸びています。
―― 今回のMWCで商談はどれくらい決まりそうか。
三木谷氏 分からないですが、殺人的な(笑)アポの数になっていますよ。「もう勘弁してくれ」みたいな。
―― ここ最近のMWCと比べて手応えはどうか。
三木谷氏 明らかに強くなっていますね。
―― Open RANをやっている側から見て、日本のベンダーの力量はどうか。
三木谷氏 素晴らしいと思います。頑張ってほしいなと、本当に。クオリティーは高いと思います。
―― 現在の楽天のネットワークで、日本ベンダーの比率はどれくらいか。
三木谷氏 5Gはほぼ日本(メーカー)です。4Gはほぼ海外ですね。日本ベンダーさんは、クオリティーが高いし、価格が適正であれば使いたいと思っています。
―― 経済安全保障的な発想も入っているか。
三木谷氏 ありますね。正直やっぱり中国製は使いにくい。
楽天モバイル、2026年は「ネットワーク強化の年」に 2000億円超を投じ、都市部や地下鉄の“5G化・増強”を加速
KDDI、楽天モバイルとの「ローミング重複エリア」を順次終了 松田社長が言及
楽天モバイルのネットワーク改善戦略 都内地下鉄は7月に対策完了へ、「つながりやすさでもNo.1を目指す」と矢澤社長
「楽天モバイルは2000万回線を目指す」 三木谷氏が語る、楽天市場への送客効果と“最強の福利厚生”
楽天モバイルが「2025年内に1000万回線」の公約を果たせたワケ 次の目玉は「衛星通信」と三木谷氏Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.