ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルのキャリア4社は、4月1日に「JAPANローミング」を開始する。大規模災害時に特定のキャリアの基地局が倒壊したり、バッテリー切れで通信ができなくなったりした場合に、残ったキャリアがローミングを引き受けるという取り組みを指す。事業者間ローミングの導入は、KDDIの大規模通信障害を機に議論が進められており、ついにその制度や運用方法が固まった格好だ。
提供されるローミングの方式は2つに分かれており、状況に応じて使い分けがされる。一方で、端末の設定や発動条件の周知方法には、まだ課題も残る。MVNOへの対応にも、不透明な部分がある。ここでは、JAPANローミングの概要や想定される利用シーンなどを紹介するとともに、残された課題についても解説していく。
大規模な災害や通信障害が発生した際に、ユーザーの通信が継続できるよう、キャリア同士が相互に協力する枠組みがついに始動する。事業者間ローミングと呼ばれていたものがそれで、正式名称はJAPANローミングに決まった。サービス開始は4月1日からだが、実際に運用されるのは災害発生時などに限定される。
事業者間ローミングの検討は、2022年に起こったKDDIの大規模通信障害を受け始まったものだ。通信障害だけでなく、災害時にも特定のキャリアのみ、通信ができなくなってしまうケースは多い。一方で、こうした事態が起きたときほど、連絡や情報収集を行うための通信が重要になる。これを解決するのが、JAPANローミングだ。
生き残っているキャリアが、他社のローミングを一時的に受け入れ、通信できるようにするというのがその概要。具体的には、「フルローミング方式」と「緊急通報のみ方式」の2つに分かれる。電波を発する基地局やその通信を中継する伝送路のみが損害を受けるには、前者のフルローミング方式が中心になる。
フルローミング方式とは、通常のローミングに近い仕組みのこと。KDDIのネットワークをローミングで借りる楽天モバイルの事例を踏まえると、理解しやすいだろう。楽天モバイルの場合、ローミング時に接続する基地局はKDDIのものだが、通信の制御や課金などは楽天モバイル側のコアネットワーク設備で行っている。JAPANローミングのフルローミング方式も、これと同様のすみ分けになる。
例えばドコモの基地局が倒壊などで利用できなくなり、ソフトバンクがそれを受け入れたとすると、ドコモのユーザーはソフトバンクの基地局に接続できるようになる。ただし、その認証や制御を行うのはドコモのコアネットワーク側。これによって、通常通りに電話番号が利用できるようになり、音声通話やデータ通信も可能になる。
ただし、それぞれの基地局が普段受け入れているキャパシティーを大きく超えてしまう恐れもあるため、ローミング利用側のデータ通信速度は送受信で最大300Kbpsに制限される。動画やアプリのダウンロードなどまでは難しいが、Webサイトを見たり、メールやメッセージのやりとりをしたりといった最低限の通信をするためのものと考えておいた方がいいだろう。
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