フルローミングの提供時には、端末側が自動でそれをつかみ、ネットワークが切り替わる仕様だ。そのため、ユーザー側では特に設定などの手順を踏む必要がない。この点は、JAPANローミング開始にあたって検討に検討を重ねていた。具体的には、以下のような仕様に基づいてローミングが行われる。
まず、それぞれの基地局側はJAPANローミング用のキャリア名やキャリアを識別するためのPLMN IDを出す。ドコモなら通常のものとは別に「JPN-ROAM D」という名称で基地局から電波を出す。端末側がこれをつかむと、ローミングが開始される。
フルローミング時には、基地局から、JAPANローミング専用のキャリア名を送信する。画像はソフトバンクのサイトのものになるため、ソフトバンクのものは省かれているが、同社のものは「JPN-ROAM S」「JpnRoamS」や「44093」になるただし、状況によっては自動接続しない場合もある。伝送路は切断されつつも、基地局は電波を吹き続けており、端末側からはネットワークが生きているように見えるケースがこれに当たる。このようなケースでは手動でネットワークサーチをかけた後、「JPN-ROAM D」などに接続する必要がある。“D”の部分は、実際に通信する基地局のキャリア名を指し、KDDIは「K」、ソフトバンクは「S」、楽天モバイルは「R」といった形になる。
また、形式上はローミングになるため、Androidでデータ通信を利用したい場合には設定でデータローミングをオンにしておく必要がある。iPhoneや2026年春以降に発売されるAndroidはデータローミングがオフのままでも機能するが、Androidスマホのユーザーは原則として設定を見直しておくようにしたい。
もう1つの緊急通報のみ方式は、ユーザーが契約しているキャリアのコアネットワークへの接続を省き、警察や消防、海上保安庁への発信のみ通す仕組みだ。とはいえ、災害時に発生する通信障害の多くは、基地局や基地局とネットワークをつなぐ伝送路が原因になる。東日本大震災や能登半島地震といった大規模災害時でも、コアネットワークは生きていた。
では、緊急通報のみ方式はどのような場面で適用されるのか。ドコモの災害対策室長 尾崎康征氏によると、「自社のネットワークを経由しての通信の提供が困難な場合、もしくは大規模災害などで全てのお客さまをフルローミング方式で救済することが困難である場合」になるという。
前者は、基地局や伝送路ではなく、コアネットワーク自体が落ちているようなケースを指す。具体的には、大規模な通信障害が該当する。後者は、災害時に対象となるユーザーが多すぎるようなケースが想定されるという。普段のキャパシティーを超えてしまうと、救済側も含めて“共倒れ”になる恐れがあるため、フルローミング方式が見送られる場合もある。このようなときに登場するのが、緊急通報のみ方式だ。
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