なぜ店員によって勧めるルーターが変わる? 自宅回線から逆算する、新生活に役立つWi-Fiルーター選びの超基本(1/3 ページ)

» 2026年04月16日 06時00分 公開
[井上晃ITmedia]

 新生活シーズンを迎え、Wi-Fiルーターの新規購入や買い替えを検討している方は多いだろうが、初心者にとってWi-Fiルーター選びは難しいものだ。以前、家電量販店の店員にアドバイスを求めたら、人によっておすすめする商品が違った──なんて話もSNSで話題になっていた。

 正直、買う側と売る側双方の事情はよく理解できる。Wi-Fiルーター選びが難しいのは、ルーター自体の仕様が複雑であることはもちろん、自宅や用途の条件によっても最適解が変わる。

 「通信」という目に見えない技術だからこそ、ユーザー側が能動的に勉強しないと、本質的に理解できないのが厄介だ。

 そして商品を選ぶ側の視点に立つと、「どれが良いの?」と気軽に聞かれたときに、相手に前提として共有すべき知識が多すぎるからでもある。

 本記事では、筆者なりにWi-Fiルーターの選び方についてのポイントをなるべく枝葉を省きつつ、ミニマルにまとめてみたい。店頭に買いに行く前の予備知識として役立ててほしい。

「家までの通信」と「家の中の通信」がある

 そもそも、自宅にインターネット回線を引く場合には、2種類の通信があることを頭に入れておかなくてはならない。厳密な表現ではないが、なるべく単純化してかみ砕くならば、「家の外の通信」と「家の中の通信」だ。

家の外の通信

 家の外の通信、すなわち「インターネットを家の中に招き入れるための通信」を導入する手段としては、外にある電柱から住宅までケーブルを引いてつなげる「光回線」(すごく速い)や、携帯電話向けのネット回線を活用する「モバイル通信」(速い)などがある。

 マンションなどの集合住宅では、あらかじめ光回線が建物に導入されており、住民は光回線のマンション向けプランを契約すればスムーズに使えるというケースも多い。

 しかし、「マンションまでは光回線が通じているが、各部屋までは電話線(メタル線)を使用しており、100Mbps程度までしか出ない『VDSL方式』が採用されているなんてケースも少なくない。特に古い集合住宅などではありがちだ。

家の中の通信

 一方で「家の中の通信」はスマートフォンやPC、スマートTV、ゲーム機などをインターネットに接続する手段を指す。家の外からやってきたインターネット回線をWi-Fiルーターに接続し、飛ばしたWi-Fiによる無線接続を行ったり、LANケーブルを接続して有線接続したりできる。

photo ネットワークから家までの通信速度(青枠)と、家庭用Wi-Fiルーターからの通信速度(赤枠)の2つを意識しておこう(図解は筆者作成)

 例えるならば、水道管(家の外の配管)と蛇口(家の中の配管)のようなものだ。いくら蛇口(Wi-Fiルーターの性能)を大きくしても、水道管の太さや水を送るためのポンプ(インターネット回線の速さ)が十分でなければ、水は勢いよく出ない(デバイス上でネット接続速度が出ない)。いくら蛇口を枝分かれさせようと、勢いの良いシャワーヘッドを付けようが同じことだ。

photo 水道管と蛇口に置き換えて大ざっぱにイメージしてみる(図解は筆者作成)

 要するに「高性能なWi-Fiルーターを買う」というのは「太い蛇口を設置する」ようなものだ。

 もし筆者が親族から「どのWi-Fiルーターが良い?」と聞かれても、まずは「ご自宅の“水道管”はどうなっていますか?(戸建てで10Gbpsの光回線を引いていますか? それとも集合住宅で100Mbps程度のVDSL方式ですか?)」と聞かなければ、的確なアドバイスはできない。

 おそらく、Wi-Fiルーター選びに悩んでしまう方、詳しい人にアドバイスを頼んでもよく分からない方は、個別の通信規格がどうこうという話をする前に、こうした全体像を俯瞰した方がいいだろう(ただし、それを自力でリサーチするのが難しいことも分かっている……)。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年05月31日 更新
  1. Switch 2の「箱の中にHDMIケーブルが入っていなかった」との問い合わせ、任天堂に寄せられる (2026年05月29日)
  2. 「Rakuten Linkで着信拒否できない件」を楽天モバイルはどう考えているのか 置き去りにされた基本機能の行方 (2026年05月29日)
  3. Xiaomiが異例の早さでハイエンドスマホを投入する理由 今秋に「ワクワクする」機種投入も? (2026年05月30日)
  4. スマホでどこでもTV番組を視聴できる「バッファロー nasne HDDレコーダー NS-N100」がセールで3万3120円に (2026年05月29日)
  5. 陸マイラーの筆者が「ANAモバイル」を契約 20%マイル付与だけじゃない、“メイン回線昇格”の理由 (2026年05月27日)
  6. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  7. LINEで「最終学歴」や「子供の有無」が筒抜け? 広告設定で物議も「トークや個人情報は参照していない」 (2026年05月30日)
  8. サンコー、電動うちわを発売 10年ぶりの第3世代モデル、土台強化で“自走しちゃう問題”も克服 (2026年05月29日)
  9. ダイソーで770円の「超速USB充電器」が外出先で意外と便利 USB PD+QuickCharge 3.0ポート搭載で古めの急速充電デバイスもOK (2026年05月30日)
  10. 「Xiaomi 17T」シリーズの価格は「非常に頑張った」 海外より激安 価格変動を抑えられた理由 (2026年05月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年