KDDIが4月23日、「au Starlink Direct」に関して複数のアップデートを発表した。本社で開催した説明会には、パーソナル事業を統括する門脇誠氏と、ビジネス領域をけん引する鶴田悟史氏が登壇。どのような取り組みにより「つながりやすさを維持できているのか」や、au Starlink Directのアップデートの全てを明らかにした。
KDDIの通信サービスは、つながりやすさにおいて圧倒的な高い評価を獲得し続けている。現在、KDDIの人口カバー率は既に99.9%を超えているものの、5Gエリアの拡大や、基地局の出力アップ、アンテナ角度の最適化、通信遅延の改善といった地道な品質向上を絶え間なく継続してきた。
門脇氏によれば、KDDIはこれまで通信品質の磨き上げに徹底してこだわってきたという。5Gの要であるSub6の基地局数でNo.1の実績を誇る他、サブブランドにおいて唯一、5G SAを申し込み不要で標準提供している。さらに、超高速通信を可能にするミリ波についても、世界初となるメッシュ化技術を導入し、実用的なネットワークへと進化させてきた。こうした通信品質を土台に、他社に先駆けて「au Starlink Direct」や「au 5G Fast Lane」といった新たな価値の提供にこだわり続けた。
結果として、Opensignalが実施するグローバル市場の通信体感分析において世界1位を獲得するなど、ベースとなる地上通信網そのものが高く評価されることになった。門脇氏によれば、KDDIは日本市場初となる「つながる体感No.1」の4連覇を達成した。門脇氏はこの評価について「日々のネットワーク構築と品質改善を愚直に積み重ねてきた結果」と分析しつつも、「まだまだであり、今後もこの取り組みを継続していく」と意気込みを語った。
高評価を獲得し続ける一方で、日本の特殊な地理的条件が立ちはだかる。国土の多くを険しい山地や森林が占める日本では、面積で見ると約40%がいまだに「圏外」として残されている。「面積カバー率60%」という大きな壁だ。費用対効果の観点から見過ごされがちなこの課題に対して、KDDIは決して目を背けなかった。これまでも、光回線を引きづらい山間部へのインフラ整備や、人が密集する野外イベントなどでの臨時通信対策を泥臭く実行してきた。
特にKDDIの通信サービスを語る上で欠かせないのが、SpaceXとともに磨き上げてきた「Starlink」を活用した取り組みだ。光回線の敷設が困難な山間部や離島でも都市部並みの通信環境を提供するため、現在1000局以上の基地局でStarlinkをバックホール回線として活用しているという。また、イベント会場やフェス、山小屋、フェリーといった非日常的な場所でも通信体験が途切れないよう、「Starlink Wi-Fi」の提供を進めてきた。
災害時における通信確保も重要なテーマだ。Starlinkの活用により、従来の衛星通信よりも短時間で移動基地局を設置できるようになり、持ち運びも容易になった。加えて、災害で光回線が切断された際に、基地局のバックホール回線を遠隔でStarlinkに切り替える機能も開発しており、2026年度中の展開を予定している。有事の際でも、確実に通信をつなぎ続けられる環境を整えていくという。
これらの世界的にもユニークな挑戦の先に実現したのが、アジア初となるスマートフォンと衛星の直接通信サービスau Starlink Directだ。提供当初はメッセージの送受信のみだったが、データ通信に対応したことでさまざまなアプリが利用可能になり、サービスエリアも海域24海里まで拡大した。海外ローミングなど、世界初の取り組みを立て続けに行っている。
対応機種についてもメーカー各社の協力を得て、89機種・1100万台超へと拡大している。同氏によれば、スマートウォッチの「Apple Watch」にまで対応しているのはauだけだという。
また、KDDIの各種サポートにより、圏外エリアにおいてau Starlink Directを介して利用できるアプリも44種類に増えた。4月21日からは、日常的に使われるメッセージアプリであるLINEも順次利用可能になっている。
さらに特筆すべきは、「つながる」だけではない付加価値があることだ。単にテキストが送受信できるだけでなく、2025年8月には世界初となる「データ通信(アプリ利用)対応」を果たした。
また、KDDIはカナダ、フィリピン、ニュージーランドへの海外ローミングの4カ国拡大や、UQ mobileユーザーへの無料開放についても発表した。圏外環境からテキストで送信されたSOS情報を24時間365日体制で受信し、警察や消防などの緊急通報受理機関へ通報を代行する「au Starlink Direct SOSセンター」の開設も発表。au Starlink Directは個人の安全を守る実用的なインフラとして着実に進化を遂げている。
ビジネス領域については「au Starlink Direct for IoT」を発表。鶴田氏によれば、、高度なセキュリティを担保する閉域網でのStarlink接続サービスだ。4月30日から国内で初めて提供する。
国内の通信市場では、2026年4月にソフトバンクやNTTドコモも相次いでスマートフォンとStarlink衛星の直接通信サービスの提供を開始し、各社が「圏外ゼロ」を掲げている。しかし、KDDIの競合優位性は、「先行性」と「社会実装への拡張力」にある。
他社がテキストメッセージや一部データ通信に対応し始めた段階にある中、KDDIは既に海外通信事業者と連携した国際ローミングを実用化し、第三者を介して救助機関へ直接つなぐSOSセンターの運用という独自の仕組みまで構築している。
さらに、個人向けにとどまらず、競合他社に先駆けてIoTデバイスの直接接続や完全閉域網といったビジネス領域への展開を果たし、日本の労働力不足や災害対策といった社会インフラの課題解決にまで踏み込んでいる。
つながりやすさに徹底的にこだわりつづけるKDDIが、通信ネットワークの提供を超え、あらゆる社会課題を解決する「基盤」へと昇華されていること――これこそが、KDDIが他を寄せ付けない高い評価を獲得し続ける最大の理由だ。
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