寺尾氏は「混雑しているエリアでは、そこまで差が出ない」と語っていたが、スクランブル交差点に人がひしめき合う渋谷の駅前でも、Fast Accessの効果はきちんと発揮された。対応回線は平均で131.3Mbps、3回の計測いずれも100Mbpsを超えていたが、非対応端末は72.2Mbpsにとどまった。特に遅かったときは、40Mbpsまで速度が低下していたが、これとFast Accessの最高速度だった151Mbpsでは、3倍以上の差がついている。ここまでの開きがあると、速度を計測していなくても、体感で違いが分かるかもしれない。
そのままソフトバンクから、差が出やすいと聞いていた原宿にも足を延ばし、2つの回線で速度を計測してみた。原宿は2か所、出入口があるが、人が多そうな竹下通り側で実施した。ここも通信品質は非常によく、非対応の回線でも3回中2回は300Mbpsを超えており、Fast Accessがなくても十分満足できる。
一方で、Fast Access対応の回線は、それをさらに上回り、2回目の計測では537Mbpsまで速度が上がった。もう1回も400Mbpsを超えており、速度差という観点では非常に大きな違いがあったといえる。平均値は、対応回線が463.3Mbps、非対応回線が271Mbps。正直なところ、ここまで速度が高いと一般的なユースケースで体感できる差はほとんどなさそうだが、リソースを多く割り振った結果が如実に出た格好だ。
今回のテストでは、目黒駅以外では全てFast Access対応回線の方が速いという結果になった。しかも平均値だけでなく、1回1回の計測もほぼ全て、Fast Accessが優位だった。ここまではっきり違いが出るとは想定していなかったので、この結果には少々驚かされたというのが率直な感想だ。特に渋谷駅前のケースでは、Fast Accessのあり、なしで体感まで変わる可能性がある。データ通信の利用が多く、品質にこだわるユーザーであれば、この違いでメインブランドを選ぶ価値もありそうだ。
Fast Accessとは直接の関係はないが、5G SAのエリアの広さにも感心した。今回、比較のための通信方式を5G SAで統一したのは、NSAだと差が出にくいからではなく、テストしたエリアの全てが5G SAになっていたからだ。さらに、移動中もほぼ常時、5G SAに接続したままだった。人口カバー率などの数値は明かしていないソフトバンクだが、日々同社の回線を利用する中でも、5G SAが相当な範囲まで広がっていることがうかがえる。
もっとも、5G SAにしても、Fast Accessにしても、それをユーザーが認知する手段がほとんどない。アンテナピクトのアイコンはNSAとSAを区別しておらず、どちらで接続しても「5G」か「5G+」としか表示されない。通信方式の違いは専用のアプリをインストールすれば識別できるが、Fast Accessに至っては、通信しているタイミングで優先制御されていることが全く分からない。ユーザーが認識するための“証拠”がないというわけだ。
せっかくこれだけの差が出ているにもかかわらず、ユーザーがそれに気付けないのはもったいない。アンテナピクトの文字を変えるのはメーカー側やプラットフォーマー、さらには他キャリアとの合意も必要になってくるため簡単ではないが、Androidでは接続状態が分かるウィジェットをキャリア側で用意するなど、取れる手はある。これは、KDDIのau 5G Fast Laneにも共通した課題。電波は目に見えないものだけに、認知をどう広げていくかの手腕が問われるといえそうだ。
(製品協力:ソフトバンク)
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