「手に届くハイエンドスマホ」にも“値上げ”圧力――FCNTは「arrows Alpha2」の価格をいかに抑えようとしたのか?(2/4 ページ)

» 2026年08月19日 16時30分 公開
[井上翔,ITmedia]
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ヒントにしたのが「ユーザーの声」

 arrows Alpha2を企画する際に、FCNTが参考にしたのが自社で実施したアンケート調査だ。

 まず、スマホの購入価格が高かった人ほど、スマホ価格の高騰を実感していたという。「高いスマホ=ハイエンドモデル」と考えると、ハイエンドモデルの購入者ほど、スマホ価格の値上がりを意識せざるを得ない状況なのだ。

値上がり 高いスマホを使っている人ほど、スマホ価格の値上がりを意識しているという

 先にFCNTが示した通り、スマホの価格を抑える上で「スペックを抑える」「機能を削る」という選択肢は一定の効果を持つ。しかし、アンケート調査を見てみると、高価格帯(=ハイエンド)スマホを使っている人はもちろん、低〜中価格帯(=エントリー〜ミドルレンジ)スマホを使っている人でも「多少高くなっても今と同程度以上のスペックの機種に買い換えたい」という意向を示したという。

 加えて、スマホの購入時に「妥協できない項目」を聞いてみたところ、複数回答はもちろん、単一回答(特に妥協できないものの選択)でも「CPUの性能」がトップに立った。意外かもしれないが、スマホの“頭脳”を重視する人は多いのだ。

 要するに、価格が上がっている中で、スペック面での妥協をしないスマホという、ある種の“無理難題”を乗り越えたスマホが求められるということだ。

少し高くても…… FCNTが実施したアンケートによると、少し価格が上がってもより高いスペックのスマホに買い換えたいという状況が見える
何を求めるのか? 「では何を求めるのか?」という観点だと、意外なことにCPUの性能を重視している人が多いようだ

 先述の「スペックを下げる」という選択肢にもある通り、FCNTではarrows Alpha2に搭載するSoCのスペックを“下げる”検討もある程度進めていたそうだ。しかし先のアンケート調査の結果を受けてSoCの性能は“下げない”という判断をし、先代と同じMediaTek製の「Dimensity 8350 Extreme」を採用することになった。

 Dimensity 8350 Extremeは、4年前のQualcomm製ハイエンドSoC「Snapdragon 8 Gen 1」と比較してパフォーマンスが30%高い。少なくとも、4年前のハイエンドスマホからの買い換えなら確実な快適性向上を見込める。オンデバイスAIをある程度処理できるパフォーマンスを確保していることも、同SoCの“続投”の決め手となったようだ。

CPU重視ユーザー多い結果 CPUを重視する人が多いことから、arrows Alphaで採用したSoC「Dimensity 8350 Extreme」の続投を決めた。据え置きとはいえ、それでも4年前のハイエンドSoCよりは高性能である
原神 arrows Alphaの発表時と同様に、スマホゲームも十分に楽しめることをアピールする展示もあった(今回は「原神」が使われていた)

メモリ価格の高騰で「メモリとストレージを減らした構成」も

 SoCを“変えない”という選択をしたarrows Alpha2は、その前提のもと市場価格10万円前後を目指すことになった。SNSや「arrowsポータル」の声も収集した上で、以下の取り組みをすることになった。

  • メモリとストレージを減らしたモデルの用意
    • 仮想メモリ機能の強化で、メモリを減らした分の快適性低下をカバー
  • 先代のユーザーからの意見で、特に優先度の高い課題に対処
  • コスト削減の徹底
    • メモリ価格高騰の影響を、できるだけ他要素のコスト削減でカバー
    • 部材のサプライヤーなど、パートナー企業の協力も得る
方針 arrows Alpha2の方針。1にある「絶対にCPU(SoC)性能は下げない」を前提に、10万円前後の市場売価をターゲットに開発が進んだ

 メモリとストレージは先代におけるこだわりポイントの1つで、「手の届くハイエンド」というコンセプトのもと、12GBのLPDDR5Xメモリと、512GBのUFS 4.0ストレージを搭載していた。

 しかし、昨今のメモリ価格の高騰を受けて、先代と同じ構成では10万円前後という価格を実現できないのも事実だ。そこで、arrows Alpha2ではメモリとストレージの容量を減らした構成を用意した。

 具体的には先代と同じ「12GBメモリ+512GBストレージ」の構成を用意する一方で、価格を少しでも抑えたいユーザーのためにメモリを12GBから8GBに、ストレージを512GBから256GBとした構成もそろえた。

 ストレージの減少はさておき、メモリの減少は端末の操作感に影響を与えうる。そこで「8GBメモリ+256GBストレージ」の構成では、仮想メモリの設定上限値を12GBから16GBに引き上げた。これにより、アプリを多く開いた際の操作性の改善が見込める。ある意味で「タダではメモリを減らさない」という意地を感じる。

 なお、どちらの構成もmicroSDXCメモリーカードスロットを用意しているので、ストレージが足りないという場合はmicroSDを購入すれば補える。

メモリ arrows Alpha2では、先代と同じ「12GBメモリ+512GBストレージ」の構成と、価格重視の「8GBメモリ+256GBストレージ」の2種類を用意した。後者については、メモリの減少分を仮想メモリの増で補っている

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