サムスン電子が8月7日に日本国内で発売した最新の折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold8」。新技術「Flex Titanium」で折り目を抑え耐久性を高めたとアピールするが、SNSでは「シワ」を巡る議論が絶えない。開封直後は真っ平らな画面が数日の使用で変化するという否定派と、点灯時は気にならないとする擁護派の間で賛否が分かれている。
Galaxy Z Fold8は、新品未開封のパッケージを開封した直後は、「iPadやテレビ」を連想させるほど圧倒的に真っ平らで美しい画面だった。実機を肉眼で見ても、写真で見ても分かる通り、板形状の物を持っている感があり、これがとても折りたたみスマートフォンだとは思えないほど美しい。
しかし残念なことに、数回(3〜5回)開閉を繰り返すだけで次第にくぼみが目立つようになった。さらに数週間使用して気付いたのは、何度も開閉を繰り返していくと、開封直後の真っ平らな状態には戻らないことだ。
数回(3〜5回)開閉を繰り返すだけでは、折り目を目視できるものの、手で触ってみたところで、はっきりと分かるほどくぼみがない。その後、1日10回以上、20回未満、開閉を繰り返して使ってみた。購入から約2週間後に再度肉眼で確認し撮影もしてみたが、数回開閉した直後と2週間経過後とで大きな変化は見られなかった
このように、思ったよりも折り目は目立たないことが分かった。誤解のないように繰り返し伝えたいのは、折り目は全くないというわけではなく、徐々に見えるようになってくるという点だ。
この折り目の挙動と「Flex Titanium」の真価を確かめるため、サムスン電子ジャパン広報に取材した。
まず、SNSでうわさされていた「オートヒーリング(自己修復技術)」のような素材の復元力について尋ねた。
サムスン電子ジャパン広報によれば、「今回初の技術『Flex Titanium』は長期的な変形を抑え、復元力を高めるための素材・手法を採用した初の技術」だという。公式はこれ以外の情報を非公開としているが、これはチタン合金フィルムなどの採用で「曲げた後に元に戻ろうとする力(復元力)」を高めていることを実質的に認めた回答だ。
筆者が実機で確認した「開きっぱなしで中央の筋が少し消えていく現象」は、この復元力を高める設計がもたらした効果の一端だ。
しかし、より核心に迫る技術的限界の質問に対し、サムスン電子ジャパン広報は具体的な回答を避けた。「数日間の通常使用で明確な折り目が現れる現象は仕様範囲内か」という問いや、「現在の技術では折り目を物理的に完全消去することは不可能と考えているか」という問いに対し、サムスン電子ジャパン広報は「本件、回答を控えさせていただきます」と言及を避けた。公式に「折り目を消せない」と認める表現は避けたいはずだ。
Flex Titaniumは、極薄のチタン合金フィルムと格子状プレートを合わせた技術だ。金属の高い強度を保ちつつ柔軟に曲がり、折りたたんだ後に元へ戻る強い復元力を発揮することで、ディスプレイの長期的な変形を抑えて折り目を目立ちにくくする(出典:サムスン電子ジャパンのニュースリリース)一方で、プロモーションにおける表現について、メーカーは極めて明確な姿勢を示した。筆者がプロモーションにおいて「折り目をゼロにした」と主張した事実の有無を問うと、サムスン電子ジャパン広報は「弊社では『折り目が目立ちにくい』『折り目の目立ちを低減』という表現を使用させていただいております」と回答した。
つまり、メーカーは最初から「折り目ゼロ」などと主張しておらず、あくまで従来の素材に比べて視認性を低減したと説明した。ユーザー側が「折り目が完全に消える」という過度な期待を抱いたことが、SNS上で議論を呼んだ一因ではないだろうか。
また、内側ディスプレイの具体的な「開閉耐久回数」については、サムスン電子ジャパン広報は「今回は具体的な回数は公開しておりませんが、ユーザーの実使用を想定し、しっかりと検証した上で設計しております」と回答し、具体的な数値の開示を避けた。さらに、Flex Titaniumの具体的なシワ抑制設計についても、サムスン電子ジャパン広報は「細かな設計については回答を控えさせていただきます」とした。
サムスン電子ジャパン広報の回答と筆者の実機検証から見えてきた結論はシンプルだ。Galaxy Z Fold8はFlex Titaniumという新技術により、画面の復元力を高めて折り目を低減する確かな進化を遂げた。しかし、素材が曲がる以上、物理的に折り目を完全に消し去ることは現代の技術でも不可能だ。ユーザーは「折り目がまったくない画面」という誤った認識を持つべきではない。多少折り目が目立つ程度であり、実使用に支障がないのであれば十分許容範囲といえる。
今回、SNS上で騒がれていることや、実際に使用した結果を踏まえると、折りたたみディスプレイが抱える「折り目問題という物理的な壁」はまだ完全に乗り越えられていないように思えるが、今後の進化にも期待できる。
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