いずれもソフトウェアで作り出した映像のマジックで、演出といえば演出なのだが、フォルダブルスマホを持つ人のワクワク感を高めることも事実だ。Appleらしい作り込みといえるが、こうした工夫は実にうまい。長くフォルダブルスマホを使ってきた筆者も、ここまで細部に渡って配慮されているソフトウェアには感心してしまった。
ただし、物事にはどうしてもトレードオフが出てくる。開いた時に5.2mmになる厚さは、その1つだ。「iPhone Air」を作ったAppleであれば、恐らく、この程度の面積があれば、もっと薄型化を進めることはできただろう。ただ、無段階で調整でき、開閉の度合いに応じてトルクが変わるヒンジを搭載しようとすると、部品が多くなり、厚みが出る。防塵(じん)の処理も入っているため、現時点ではこれ以上薄くするのは難しかったのかもしれない。
Appleも5.2mmという厚さをiPhone史上最薄とうたっているが、これは開いたときの話。持ち運びの際などに重要になる閉じたときの厚さは、その2倍以上の11.3mmになる。閉じても通常のスマホとほぼ同じ厚みまで薄型化したサムスンやOPPOのフォルダブルスマホを触った後だと、手に取ったときの感動は少ない。ポケットに入れたときのかさばりも気になるはずだ。
重量も254gで、大型ディスプレイを備えた「iPhone 18 Pro Max」の249gを上回っている。これも、軽量化を進めるサムスン電子がGalaxy Z Fold8で201gを達成していることもあり、比べてしまうと、やはり重い。ただ、筆者はフォルダブルスマホであればギリギリ許容範囲だとも感じた。初めてiPhone Duoに触った興奮と短時間だったことが重なった影響は否定できないが、iPhone 18 Pro Maxとは5gしか差がないため、サイズが大きい分、軽いと感じる人もいるだろう。
サムスン電子は、これまで載せてきた数々の機能を切り捨て、薄さや軽さで“普通のスマホ並み”を目指すことがフォルダブルスマホを普及させる鍵だと考えている節がある。これに対し、Appleは厚みや重量はある程度増すが、その分、フォルダブルスマホに必要な機能は何かを考え、ハードウェアとソフトウェアの両面でそれを実装してきた。どこを重視するかは戦略の違いだが、サムスン電子も当初はApple同様、フォルダブルならではの機能を充実させてきた経緯がある。
それでも通常のハイエンド並みの出荷台数にはならなかったため、サムスン電子は、フォルダブルスマホをより普通のスマホに近づけようとしたのだろう。逆に、Appleはソフトウェアの力で、フォルダブルスマホに必要な機能をより魅力的に見せようと再挑戦している印象を受けた。もっとも、フォルダブルスマホのシェアが小さいのは、サイズや機能だけではなく、その価格にも原因があるのだが……。
特に日本では、両社の戦略の違いもあり、iPhone Duoの価格は256GBで36万4800円まで跳ね上がってしまった。実は米国だと、Galaxy Z Fold8よりも約100ドル高く、上位モデルの「Galaxy Z Fold8 Ultra」よりはむしろ安いが、Appleが直近の為替レートをそのまま反映していたことで、日本ではGalaxy Z Fold8より約9万5000円も高くなってしまった。他社は戦略的に円安下でも価格を抑えているだけに、Appleの対抗策にも期待したい。
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