2005年の「中華IT」を振り返る山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/3 ページ)

» 2005年12月27日 19時50分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

外国企業を買収し外国企業と手を組んだ中国企業

 中国のPC企業による外国企業の買収といえば、レノボによるIBMのPC部門の買収が有名だが、2005年はもう1つ、「AOCによるフィリップスのモニター部門買収」というニュースがあった。インターネット業界では、B2Bショッピングサイトの「アリババ」(阿里巴巴)がヤフー中国を買収している。そして、携帯電話業界では「台湾BenQによるシーメンスのケータイ部門買収」があった。

 BenQといえば、中国のPC誌で「BenQがペンタックスとデジタルカメラを共同開発」という記事を一時期よく見かけた。ペンタックスからこれに関するニュースリリースがまったく出ていないので、いったいなんのことかと思ってみれば、BenQが作るデジカメのレンズにペンタックスレンズを採用した、というのが真相であった。

 こういうネタが記事になってしまう背景が「中国メーカーのデジカメに使われるレンズはノンブランド」という現実だ。消費者の信頼性が今ひとつ、の中国メーカーのデジカメは中国でもシェアをさほど確保していない。しかし、“中国人が作った中国人のためのデジカメ”を謳った愛国者の800万画素デジカメは中国PC雑誌を騒がせた。

 デジカメ関連で日本でも大騒ぎになったのが、先日発表された「中国浙江省当局の指示による一部のソニー製デジカメの回収騒ぎ」だ。

利用者が1億人を突破した中国インターネット

 2005年、中国でのインターネット利用者は1億人を突破した。そんな中国のインターネット業界において、今年最も話題になったのが、中国で最大の検索サイト「百度」のナスダック上場だ。上場後、同社の株価は記録的な高騰を見せた。

 その一方で、百度のmp3検索サービスが、中国のレーベル数社から訴えられ、中国の裁判所が違法判決を出したことも話題になった。ほかにも音楽ダウンロードをP2Pで提供する「KURO」を運営する台湾企業が訴えられるなど、中国大陸では「P2Pも駄目なのか」という雰囲気になっている。そういう状況の中で、EMIやSonyBMGなどのレーベルが協賛する、中国初の正規版音楽ダウンロードサービス「aigo music」が開始された。

 中国PC系メディアでは「WEB2.0先進国になろう」というような言葉が随所に見受けられた。いくつもの有名ポータルサイトがブログやSNSサービスを立ち上げている一方で、TypePadのサイトなどがアクセス不能となったり、マイクロソフトの提供するブログで「自由」などの特定の単語が入れられないという問題も明るみに出た。

 ネットアイドルは中国でも人気。「芙蓉姐姐」(フーロンジェジェ)と呼ばれる女子大生は、ネットに大量のセルフ写真を掲載。メディアの取材でも必ずと言っていいほど過剰なポーズをとるので、ネットユーザーの注目の的となった。

 話題になった女性といえば、視聴者によるアイドル発掘番組「超級女声」でグランプリになった「李宇春」は、素人から一躍スターとなり、PCメーカー「神舟電脳」が広告で彼女を起用したとたん、同社の売り上げはかなり伸びたそうだ。

これがネットアイドル「李宇春」だ。なんかワイルドなお嬢さんだなっ

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