トップ10
» 2006年03月14日 23時26分 公開

“Origami”というネーミングの妙Weekly Access Top10

先週のアクセストップはCeBITで盛り上がった「Origami」実機の速報。そのほかにも“Origami”関連記事がトップ10に名を連ねました。

[長浜和也,ITmedia]

 Origamiはプロジェクト名称でその正体は「Ultra-Mobile PC」という名前の小型Wintelマシンでありました。記事のアクセス数を見る限り「肩透かしを喰らった喰らわない」は別としましても、とにかく多大な注目を集めたことは間違いないようです。

 「Appleを超えるクールな端末」という期待が高かっただけに、Tablet PCをブラッシュアップした1キロ近いWintelマシン、という正体を知ったとき、“Clap Your Hands?”と問い掛けたあの記者は手を手をたたく代わりに“じだんだ”を踏んだのだろうか、「肩透かしを喰らった」と感想を洩らした弊社記者には今年こそ春は来るのだろうか、といろいろ思いを馳せましたが、読者の皆さんはいかがされましたでしょうか。

 ハードウェアとOS的にはいろいろと不満をもたれる方々もいると思いますが、そういった「まっとうなITmedia記者のセンス」からすでに脱落している私個人の感想といたしましては「Origami」というネーミングにたいそう心を刺激されたのでありました。

 Origamiとくれば日本人なら「折り紙」という単語に結びつくのであります。しかし、「折り紙の国」日本人でありながら、どうも私は幾何学的な把握能力に根本的な問題があるらしく、折鶴も満足に折れなかったりします。

 本題とまったく関係ない話ですが、そういうわけで、盲腸で入院した級友に千羽鶴を折りましょう!という善意の呼びかけは不謹慎ながら私にとって苦痛以外の何物でもありませんでした。蛇足ではありますが、ただの盲腸と思っていたのに、クラスメートから巨大な千羽鶴をいきなり贈りつけられた彼が“ボクの本当の病気はなんですか”と主治医に問いただした、という話があったようななかったような。

 もうひとつおまけによけいな話ですが、この折り紙というのは奥が深いようで、現代の折り紙は昔のように「一枚の紙を折ってたたんで裏返し」という次元ではなく、膨大な枚数を使った3次元立体折りっ!というのが主流だったりするそうです(小学校に通う子どもからの伝聞)。また、小ロットで短期間だけ出荷される製品が多い折り紙業界では「おおっ、金色でこのパラレルパターンはウルトラレアだぜ」とまるでトレーディングカードのような会話が交わされているとのことです(印刷業界に勤める奥さんからの伝聞)。

 ああ、思わず脱線しまくってしまいましたが、開発コード名というかプロジェクト名というか、とにかく正式の呼称ではない「Origami」というネーミングは、「手のひらであらゆるものが形となって出現する」折り紙の特質と小型情報端末が目指している世界とが見事に一致しているように思えるのです(アクセス9位の記事を読むとどうもそういう発想はなかったようです)。

 (マニアックなネタながら)「城郭」を思わせる戦艦にいにしえの国の名称を、駆逐艦には戦闘艦の名前とはとても思えないような自然現象の名称をつけていた、という例を挙げるまでもなく、日本人は昔から固有名詞をつけるのが上手でありました。

 しかし、最近はどうでしょうか。古くから残る地名や市や町、村の名前には「ほぅ、そうなんですか」と思わせる興味深い由来があったりします。昨今の自治体大合併にともなってそういった古い地名が軒並み消滅して新しい名称の市や町が登場しましたが、「口にするのになんだかちょっと勇気がいります」という名前が多いような気がするのは歳のせいでしょうか。

 カタカナや欧文が多いPC関連商品にも和名をつけた製品が多々ありますが、「親父ギャグ」や「威勢のいい漢字熟語」はあっても、製品のコンセプトをうまく表現したいい名称がないな、と思ってしまうのも私が時流に乗れていない証しなのでしょう。

 正式名称ではないために、これからはUltra-Mobile PCという呼びかたが残って“Origami”という名前は消えていくのかもしれません。欧米人にもちょっとは知られているこの粋な呼び名が消えてしまうのが、私にはなんとももったいないような気もいたします。

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