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» 2006年03月17日 10時00分 公開

PCを“ワイヤレスTV&レコーダー”に──LAN接続型TVユニット「AVeL LinkTuner」を試すLAN接続型TVユニット(3/3 ページ)

[寺崎基生,ITmedia]
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無線LANで接続したノートPC、家中“どこでもTV”

 では、本機を導入したいと考えるユーザーの多くが考えるであろう、無線LAN+ノートPCの環境で試してみよう。本機はエンコード済みのMPEG-2データをそのまま流す仕様になっているため、理論的には設定ビットレート以上(2台のPCで別々に視聴するならその2倍)のネットワーク帯域が必要だ。

 使用したノートPCは、エプソンダイレクト「Endeavor NT550」。CPUには1.73GHz動作のPentium M 740を搭載し、インテル製無線LANモジュール「Intel PRO/Wireless 2915ABG」を内蔵する。無線LANは、筆者宅で使用しているIEEE802.11bの無線LANアクセスポイント(64ビットWEP/電波強度は100%)を利用した。

 実使用時にIEEE802.11b(転送速度は最大で11Mbps)環境で利用できれば、より高速なIEEE802.11a/gなら快適に利用できるはずであるという考えだ。視聴ソフトはmAgicTV5を使用した。

 まずはデフォルトの画質設定であるFull D1、平均4Mbps/VBR(最大6Mbps)を試す。当初は視聴に問題はなかったようにみえたが、動きが激しい映像が多発するスポーツ番組などでコマ落ちが発生した。この設定では帯域に十分な余裕があるとはいえない。

 次はビットレートを3Mbps/VBR(最大4.5Mbps)と低めに設定する。このくらいに落とせばコマ落ちはほぼなくなる。さらにこれ以下であれば、IEEE802.11b環境であっても快適に視聴できる。場面によりビットレート不足に起因するブロックノイズが発生することもあるため、高画質で視聴・録画を行いたい場合には、やはりIEEE 802.11a/gないし有線LANを用意するほうがよいだろう。

 ちなみにより高画質となる6Mbps/VBR(最大9Mbps)の設定では、(そもそも予想通りだが)コマ落ちだらけとなってしまい、使いものにならない。また、アクセスポイントから離れ、接続速度が低下してしまう場合は、Half D1の解像度設定にするときれいな画質に感じられることもあった。筆者宅の場合、電波強度100%の仕事部屋からベランダまで離れてみると、何とか接続は11Mbpsに保っているが電波強度は弱くなる。この場合には設定ビットレートを2Mbps程度に落とし、Half D1解像度にすると快適に視聴できた。

 無線LAN接続のノートPCでTVが見られるというのは相当便利だ。ベッドサイドに置いて、寝ながら見るのはもちろん、トイレに持ち込むことだって可能だ(下世話で恐縮だが、これからいい場面だというときに……ということは誰にもあるはず)。さらにmAgicTVを使用するならば、その場で録画を開始することもできる。ほかにも、ベランダにテーブルを置いてビールでも飲みながらというのも、この先のサッカーイベントや花火大会などのときに面白そうではないか。チューナーを2基搭載するため、私はベランダでサッカーを観戦しつつ、子どもは部屋で別の番組を見ることもできる。家族とのチャンネル争いの心配もいくぶん少なくなるだろう。

 なお、利用シチュエーションは狭めてしまうが100BASE-TX LAN(およびそれ以上)で接続すれば帯域不足による苦労や不都合はなくなる。ただしDiXiM Media Clientで視聴する場合には、最大ビットレート値である15Mbps/CBRに設定すると、ソフト上の仕様にて表示できなかった。こちらでは12Mbps程度にとどめておくのがいいようだ。

photo もともとPCに接続していたGV-MVP/GXと合わせ、3チューナー仕様となった。3番組の同時視聴/録画が行える

 LinkTunerは、既存の同社製TVキャプチャーユニットと組みあわて利用することもできる。例えば、すでに同社製TVキャプチャーカードを搭載しているPCがあるならば、同機はmAgicTV5上で「追加されたキャプチャーデバイス」として認識され、マルチチューナー環境を手軽に構築できる。もちろんLinkTunerを複数台設置することも可能だ。合計で6基ぶんのデバイスを認識できる。

 今回は手持ちのキャプチャーカード「GV-MVP/GX」搭載済みPC環境に、LinkTunerをLANに組み込んだ。GV-MVP/GX用の新たなバージョンとなるmAgicTVをインストールし直すと、LinkTunerの電源を入れただけでmAgicTVが同機を認識し、トリプルチューナーの環境ができあがった。これら認識された3つのデバイスは今まで同様に利用でき、3チャンネルの同時予約/録画が可能となる。

 さてもう1つ気になるのは、LAN接続であるがゆえ画質へどのくらい影響するのかという点だ。LinkTunerと、同じくエンコードチップにXCode IIを採用するGV-MVP/GXで録画した同じ番組での画質を比較してみたが、両者の差はほぼなかった。無線LANによる実使用時には、前述のように帯域不足によるブロックノイズ混入などが起こる可能性もありえるが、LAN接続機であるがゆえの画質へのデメリットは一般使用時においては感じないレベルだといえる。

ノートPCでの利用はかなりお薦め。ワイヤレスTV環境を簡単に実現できる

 LinkTunerの実売価格は4万2000円前後。同機に搭載するダブルチューナー搭載の「GV-MVP/GX2W」は実売価格で2万3000円前後であることを考えると、デスクトップPC“1台だけ”で使うならばコストメリットはやや低いかもしれない。しかし無線LAN搭載のノートPCで、かつ家族のPC何台かで共用すると考えると、LAN接続だけで利用できることは非常にメリットを感じられるだろう。

 オールワイヤレスでTV視聴・録画が可能になるのは、やはり便利だ。ベランダやアンテナケーブルがない部屋でTVを見ようとする場合、ほかの方法ではなかなか実現するのは難しい。ダイニングテーブルやベッドサイド、キッチンなど、自分のライフスタイルに合わせてノートPCを移動するだけで、どこでもTVが見られる環境を実現できる。

 また、家族で別々のPCを利用しており、どちらでもとくに苦労なくTV機能を実装したい場合にも便利だ。既存製品でも片方のPCにTVキャプチャーユニットを備え、映像配信が行える製品もあるが、配信元のPCは常に電源を入れておく必要がある。しかし、LinkTunerであればそれを意識することもない。家中“どこでもTV”の環境を実現したいユーザーであれば、かなり便利に活用できるチューナーユニットだ。

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