ベンチマークテスト(すべてA4) | |
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電源オンから印刷可能になるまで | 43.1秒 |
モノクロのファーストプリント | 11.7秒 |
カラーのファーストプリント | 12.5秒 |
モノクロ21部印刷FPO含めず(JEITA J1) | 58.8秒 |
モノクロ21部印刷(JEITA J1) | 67.8秒 |
モノクロ両面21部印刷(JEITA J1) | 77.7秒 |
カラー21部印刷FPO含めず(JEITA J9) | 58.9秒 |
カラー21部印刷(JEITA J9) | 72.1秒 |
カラーロ両面21部印刷(JEITA J9) | 79.5秒 |
テストに使用したPCのスペック CPU:Athlon 64 3200+(2.0GHz)、メインメモリ:512Mバイト、HDD:Seagate Barracuda 7200.7(ST3160021A/160Gバイト)、OS:Windows XP Professional(SP2) |
まずは本機のウリであるプリント速度を検証してみよう。出力速度で計測したのは「電源オンから印刷可能になるまで」「A4/モノクロのファーストプリント」「JEITA J1(A4/モノクロ21部印刷/FPO含めず)」「A4/カラーのファーストプリント」「JEITA J1(A4/モノクロ21部印刷)」「JEITA J1(A4/モノクロ両面21部印刷)」「JEITA J9(A4/カラー21部印刷/FPO含めず)」「JEITA J9(A4/カラー21部印刷)」「JEITA J9(A4/カラー21部両面印刷)」9項目の印刷にかかる時間である。
テストはストップウォッチによる手動計測で、Word 2003(JEITA J1/J9印刷)の印刷画面で「OK」をクリックした時点で計測を開始し、最後の用紙が排出された段階までを5回行った中間値を採用している。ドライバの設定はモノクロ/カラーともすべて標準設定だ(ただし両面印刷時は、それを指定)。なお、ファーストプリント(FPO)を含めない2項目に関しては、最初の用紙が排出されてから計測を開始している。
結果は上の表にある通りだ。電源オンから印刷可能になるまでの時間はカタログスペックでは約45秒となっているが実測では43秒弱となった。電源投入時にはウォームアップ以外に本体の自己診断を行っているのでこれだけ時間がかかってしまう。常時電源を入れたままでの利用が高速印刷の条件となるだろう(ちなみに、本機のスリープ時の消費電力は約12ワット、待機時は45ワット、動作平均では約430ワット、最大で約1010ワット以下となる)。
A4モノクロのFPOは11.7秒、A4カラーが12.5秒となっており、カタログスペックの約10.1秒には届かなかった。これはColorCAPTへのレンダリングとソフトウェアの印刷処理を含めた時間と見れば、なかなか好結果と言えるのだが、逆に言えば処理能力が低いCPUを備えたPCから出力したさいは、さらに印刷時間がかかってしまう可能性があると言い換えることができる。同様にFPOを含めた21部印刷ではモノクロ/カラーともカタログスペックの21ppmには及ばないのだが、これも印刷処理をPC側で行うためと見ることができる。
実際、FPOを含めない21部印刷ではモノクロ/カラーとも58秒台とカタログスペックを超える速度で出力されており、21ppmという高速エンジンを実証する結果となった。とはいえ、やはり実際の運用では印刷処理にかかる時間を加える必要がある。上位モデルのLBP5400は、CPU(400MHz動作のPowerPC 750CXR)を搭載しており、PCの性能に依存しない出力が可能なので出力速度に違いが出てくると思われる。
もっとも、常時電源オンで利用しているならウォームアップの必要がないという意味は大きい。たとえばPC側で印刷を実行してから席を立ちプリンタ前に移動するようなシーンはオフィスでよく見られるが、プリンタの前に来たときにまだウォームアップ中で、印刷が開始されずイライラしたのは誰しも経験したことがあると思う。これがLBP5300ならプリンタ前に移動したときには印刷が開始されており、そうしたストレスを感じずにすむわけだ。このウォームアップの待ち時間は積み重なればかなりの無駄であり、印刷が終了する時間を含めれば、さらに膨大な時間を費やすことになるわけだ。そうした無駄を大幅に削減できることを考えると大きなメリットになるのは間違いない。
また両面印刷も片面印刷時と比較して遜色のない速度である。とくにモノクロ/カラーで速度差がほとんどない点は魅力だ。両面印刷がこの速度で可能なら積極的に両面印刷を利用するシーンも増えるだろう。消費する用紙の枚数が半分になることを考えれば、この機能を利用しない手はない。
気になる印刷クオリティだが、文字(モノクロ)の印刷に関しては、かすれやポイント数の低いフォントでも潰れが少なく満足できる。一方で写真やグラフィックスなどをカラー印刷するさいドライバでは解像度を明示的(9600dpiなど)に指定して印刷することができず、ユーザー設定によって色調整やカラーマッチングを行う必要がある。また、「きれい」設定で出力用途を「写真」とした場合、液晶モニタで見た発色より暗くなる傾向があるようだ。もっとも、インクジェットプリンタのフォトクオリティには及ばないが、この品質ならば十分に実用に耐えると言えるだろう。
気になるランニングコストだがトナーカートリッジはBkが1万8900円、それ以外のC/M/Yの各色が1万9215円とっなており(A4/5%印刷時で6000ページ印刷可能)、計算するとモノクロでは1枚当たり3.15円、カラー時は1枚当たり12.81円と、納得できる範囲に収まっている。
以上のようにSatera LBP5300を見てきたが、確実に言えるのは「キヤノンのやる気」が感じられる製品だということだ。ただし、気になる点もないではない。例を挙げれば、フェイスアップ排紙に関してだ。筆者の個人的意見ではあるが、このクラスのプリンタは多人数の部署でも導入される可能性も高く、しかもネットワークでの運用となるはずだ。そうなると多人数による出力が頻繁に行われる。そのような場合にフェイスダウン排紙では自分が出力したのかを確認しにくく使い勝手が悪い。そこでネットワーク運用時は速度が遅くなってもフェイスアップによる出力が選択できるようにするなどの工夫も欲しい。また、ドラムカートリッジが全色とも同じ形で、貼ってあるシールで色の判別をするのだが、一見しただけではどの色のドラムカートリッジなのかを判断しにくい。統一部品を利用したコストダウンだとは思うが、メンテナンス性に関わってくる部分であり細かいところではあるが改善を望みたい。加えて、印刷時の音(動作時で53dB以下、待機時で35dB以下)も環境によっては耳に付く場合があるかもしれない。
ただ、本機はそういった部分を補っても有り余る魅力を持っている。実売10万円以下で、高速出力かつネットワークに標準対応、しかも両面印刷ユニットを装備というだけでも十分に購入意欲を刺激される。10万円以下の予算ならLBP5300を、さらに予算があるならば1ランク上のLBP5400を狙うのをおすすめしたい。
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