“コンピュータをもう1度我が手に”――HPのデザイン展望青山祐介のデザインなしでは語れない(1/2 ページ)

» 2007年04月06日 11時11分 公開
[青山祐介,ITmedia]

一からデザインした「Compaq Tablet PC TC1000」

HP パーソナルシステムズグループ ノートブックデザイン ディレクターのステイシー・ウルフ氏

 2006年9月に登場した「HP Pavilion Notebook PC dv6100/CT」をはじめ、同社のコンシューマー向けノートPC「HP Pavilion」シリーズは、「HP Imprint」という技術によって描かれた繊細な波紋が美しい「ZEN-design」をまとう。この独創的なデザインを手がけたのが、ヒューレット・パッカード パーソナルシステムズグループ ノートブックデザイン ディレクターのステイシー・ウルフ氏だ。

 ウルフ氏は現在、「HP Pavilion Notebook PC」「Compaq Presario Consumer Notebook PC」「HP Compaq Commercial Notebook PC」の工業デザイン、パッケージング・エンジニアリング、およびエンドユーザー・ドキュメンテーション・サポートの責任者である。HPとコンパックコンピュータが合併するまでは、コンパックのコンシューマ・プロダクツ・グループのデザイン担当ディレクターを務めており、1995年の入社以来、コンシューマー向けノートPCを中心にデザインワークを行ってきた。また、その間にはコンシューマー向けデスクトップPCや、PDAのiPAQ Pocket PCも手がけたことがある。コンパック入社以前も含めるとウルフ氏のデザイン経歴は20年にもおよび、ミシガン州立大学で工業デザインの芸術学士号を取得している。

ウルフ わたしの一番のお気に入りは、「Compaq Tablet PC TC1000」ですね。わたしとわたしのチームでゼロから手がけただけに、思い出に残っています。まったく新しいカテゴリー作りからはじめましたから。TC1000は当時(2002年)、非常にユニークでベストなタブレットPCの1つだったと思います。

HP Imprintを初めて採用した「HP Pavilion Notebook PC dv6100/CT」(写真=左)。最新のiPAQシリーズもウルフ氏がデザインを手がけている(写真=中央/HP iPAQ rx4240 Mobile Media Companion)。ウルフ氏が最も気に入っているというHP初のタブレットPC「Compaq Tablet PC TC1000」(写真=右)

ユーザーに主眼を置きつつ、トレンドを将来のデザインに反映する

天面だけでなく、パームレスト部分も光沢感にあふれたHP Pavilion Notebook PCシリーズ

 最新作のPavilionシリーズも含め、ウルフ氏がデザインをするうえで心がけていることは、何よりも第1にユーザーに主眼を置くということだ。ユーザー側に立ってデザインを考えることで、ユーザーが持っているライフスタイルやニーズをくみ取ることができ、それによってデザインコンセプトがより確固たるものになるのだという。一方、造形的な意味でのデザインでは、常にトレンドをとらえてそれを将来のデザインに反映していくようにしているとのことだ。

ウルフ 最近のコンシューマー向けノートPCを見ると、柔らかな造形が多いですね。しかし、今後はもっとシャープな、直線的なデザインが出てくると思いますし、これまでの有機的なものよりも、もっとシンプルなデザインに移っていくと思います。また造形美だけでなく素材感を豊かにしていきたいですね。金属表現では、もちろん金属だけという使い方もありますし、いろいろなものを組み合わせることで、デザインを強く打ち出すことができると思います。例えばアルミをはじめとする金属の削り出し表現やアノダイズ処理、クロームメッキやポリッシュ処理のような輝く表現、さらにはHP Pavilion Notebook PCシリーズのような、塗装にも見える豊かな光沢感を持つ表面など、より本物感のある豊かな素材を求めていきたいと考えています。

レイヤー=重ね着から生まれたHP Imprintの発想

HPが目指すコンシューマー向けPCのデザイン

 ウルフ氏らによるデザインワークによって生み出されたのが、昨年9月から日本に投入された新HP Pavilionシリーズだ。HP Imprint技術を生かしたZEN-Designがデザイン上の特徴となっている。枯山水をイメージさせる日本の様式美を表現する波形模様のシートを、ボディ外装成型時に一体成型することで、キズや色がハゲない艶やかな光沢を実現している。

ウルフ このような反射形の仕上げを採用したのは、ユーザーの注目を集めるだけでなく、精密な品質感を出しつつ、形にはソフトで人間的な感じを表現したかったからです。クルマでも高級車が持つフォルムやハイグロスな仕上げには、誰でも触りたくなる衝動に駆られるでしょう。それと同じ印象を与えたかったからです。

 インスピレーションを受けたもう1つのキーワードは「レイヤー」だ。現在、ファッションの世界では“重ね着”がトレンドの1つとなっているという。ウルフ氏によると、例えばレースの下に色地が透けて見えるように重ねて着ることで、色や素材、表現の変化を楽しめるというものだ。PavilionシリーズではHP Imprint技術を使うことで、光沢表面の中に、模様という別の表現を重ねるという“レイヤー”デザインを表現している。

ウルフ さらにPavilionシリーズではLEDランプによって質感を出しました。HP Pavilion Notebook PCシリーズでは状態表示や充電ランプに青色LEDを採用していますが、これらは今までのようなただ機能を表示するためだけの単なるLEDランプとしてではなくて、青い光によってPCという箱に命を吹き込むことができたと思っています。

波状の模様が全面にわたって採用されている(写真=左)。HP Pavilion Notebook PCシリーズでは静電式のワンタッチボタンに加え、随所で青色のLEDランプを内蔵している(写真=右)

 では、なぜ波型の模様がHP Imprintに採用されたのであろうか?

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