F1マシンを連想させる操作感――最高峰のゲーミングマウス「G-9」を試す究極の“マウスキット”(2/3 ページ)

» 2007年08月31日 06時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

用途で使い分けられる2つのグリップ

中央がグリップ未装着の本体、左が幅広グリップ、右がドライグリップ

 G-9で新しく採用された機能は多い。本体にかぶせるグリップが2種類付属していることも大きな特徴の1つだ。いわゆる“着せ替えマウス”はいままでにも存在したが、明確な使用感の違いのために複数のグリップを用意した例は初めてではないだろうか。

 付属するグリップの1つは、サテン仕上げのすべすべの素材で作られた「幅広(Wide-Load)グリップ」。同社のほかのモデルにも見られる、サムレストが張り出した形状だ。このサムレストの下にはフィート(ソール)が貼られており、幅広グリップ使用時は、マウス本体にある前後2つのフィートと合わせて3カ所で支えられる。このグリップは比較的肉厚になっており、マウスを手のひら全体でホールドして長時間使う場合に向いている。ロールプレイングゲームやシミュレーションゲームだけでなく、ドット単位で操作するクリエイティブ用途にも最適と言えそうだ。

 もう1つは「ドライ(Precision)グリップ」。幅広グリップとは表面の仕上げが異なり、ざらざらとした感触が特徴的だ。これには汗ばんだ手でも滑らないようにする効果がある。また、左側面の形状はサムレストが省かれ、側面ボタンへのガイド程度の「えぐれ」しかない。

 下の比較写真を見れば分かるが、G-5に比べてボディの高さが抑えられており、ドライグリップ装着時は手のひらで本体を包み込むというよりも、手のひらを浮かせて親指と薬指でホールドする形だ。G-5ユーザーがG-9に乗り替える場合はやや面食らうかもしれないが、指先の細かい動きで正確な操作がしやすい形状であることが分かる。その意味では、(FPSゲームなどに特化した)より“ピーキー”なデザインになった言える。

中央が幅広グリップ装着時のG-9で、手前がG-5、奧がマイクロソフトの最新ゲーミングマウス「Microsoft Habu Laser Game Mouse」(写真=左)。ドライグリップを装着したG-9と、G-5のボディサイズ比較(写真=中央/右)

 なお、グリップを装着しないという選択肢もあるが、側面のボタンがほぼフラットで非常に押しづらいうえに、当然ながらホールド感もよいとは言えない。軽量でコンパクトな点を重視するなら、素直にモバイル用の小型マウスを検討したほうがいい。

チルトホイールに最新技術を導入

 ホイールもG-5Tから変更された部分だ。G-9ではプレシジョンスクロールホイールが採用されているが、G-5登場時には存在していなかった技術なので、ある意味正当進化と言っていい(関連記事:“革命”という名のマウス)。なお、クリック感のあるクリック・トゥ・クリックモードと、摩擦のないハイパーファストスクロールの切り替えは、自動切り替えには対応しておらず、底面ボタンから手動で操作する必要がある。ただし、これはコスト削減というよりはゲームという目的に特化した結果だろう。

 MX Revolutionの場合、ホイール押下や一定速度以上の回転によって自動的にハイパーファストスクロールに切り替えることができるが、一般的なアプリケーションの場合は便利なものの、ゲームのプレイ中だと切り替わるタイミングを正確に予測できないため、操作ミスを誘発しかねない。例えるならこれは“動く歩道”に乗るとき、一瞬バランスを崩しそうになる感覚に似ている。“動く歩道”は利用者が歩いているときは便利だが、短距離走のトラック上にあったらデメリットのほうが大きい(というよりかなり危険だ)。手動の切り替えボタンを誤操作しにくい底面にレイアウトしたのは、ゲーミングマウスとして当然の帰結と言える。

豊富なカスタマイズ能力は健在

 G-5が登場したときに最も斬新だったのは、ウェイトコントロール機構だろう。G-5では1.7グラムと4.5グラムのおもりを最大8個までカートリッジに装着し、最大36グラムまでの範囲で本体の重量を調整できた。

 一方、G-9でもウェイトコントロール機構は健在だが、付属するおもりは4グラムと7グラムの2種類で、カートリッジに装着できるのは最大4個まで、つまり最大28グラムの範囲で調整を行う仕様に変更されている。単純に考えれば調整ステップは粗くなり、レンジも狭くなったことになるが、これはむしろ、実用上G-5のときのような細かさは必要なかったということかもしれない。

 ちなみに、G-5の本体は150グラムだったが、G-9は幅広グリップ装着時で110グラム、ドライグリップ装着時は109グラムとなっており、仮に最重量セッティングにしてもG-5よりは軽量になる。

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