解像度の設定は、左クリックボタンの下にレイアウトされた+/−ボタンで切り替える。この解像度はあらかじめ設定したプロファイルに従って、最大5段階で増減することができる。それぞれの段階にどの解像度を割り当てるかは専用ソフトウェア「SetPoint Version 5.0」で指定するが、本体にメモリを内蔵することにより、このプロファイルを5つまでマウス自身が保持できるようになった。これによって、SetPointがインストールされていないPCに接続したときでも、自分好みの設定でG-9を利用できる。
ただし、SetPointで設定できる項目のすべてがマウス内に記憶されるわけではない。保持できるのは、プロファイル選択時のインジケータの色や、ボタンの割り当て、解像度、レポート頻度など、マウス単体で制御可能なものに限られる。OSのドライバで処理される加速などの設定は、SetPointのインストールが必要だ。
プロファイルの切り替えは「オンボードメモリ」、あるいは「アプリケーション検出」のいずれかを選択する。オンボードメモリはマウス底面のボタンを押すことでマウスに記録した最大5つのプロファイルから選択する。アプリケーション検出は登録しておいたアプリケーションがアクティブになると、関連付けられたプロファイルに自動的に切り替わる。
この場合はSetPointがプロファイルを制御するため、マウス内にプロファイルを記録しておく必要はなく、最大30までのプロファイルを設定しておくことができる。一方、オンボードメモリによるプロファイルの切り替えは、ただボタンを押すだけとはいえ、マウスをひっくり返す必要があるので少し面倒だ。SetPointがインストールされている自分の環境ではアプリケーション検出を使用し、外に持ち出すときはオンボードメモリを利用する、というのが一般的な使い方になるだろう。なお、SetPointがインストールされていない場合は、プロファイルの切り替えは自動的にオンボードメモリが選択される。
G-9の特徴を簡単にまとめれば、ゲーミングに特化した「とんがった」性能追及と、豊富なカスタマイズ機能の2点ということになる。特にドライグリップを装着したときの操作感は、レーシングマシンのステアリングを思わせる。わずかな操作で大きな動きをもたらすコンパクトなインタフェースは、まさにプロフェッショナル向けと言えるだろう。長時間の使用でもストレスの少ない幅広グリップや、オフィス系ソフトと相性のよいプレシジョンスクロールホイールの採用など、快適さを演出する“オブラート”に包まれてはいるものの、G-9の真骨頂がアグレッシブなゲーム用途にあるのは間違いない。
一方、より幅を広げたカスタマイズ機能については、一人のユーザーが目的に応じてその都度カスタマイズするというよりは、多くのユーザーの嗜好にフィットさせるための柔軟性といったニュアンスが強い(実際、Logitechによれば、より手の大きい人のためのグリップも来年発売される予定だという)。自分にあったセッティングを突き詰め、そしてそれを固定して使う、そんな印象がある。
それを示しているのが、オンボードメモリによるプロファイルの保存だ。自分好みのマウスを作りあげ、そしてそれを自分の「道具」として別のマシンでも使う。そういった意味でG-9を見ると、これは完成されたマウスというよりは、究極の“マウスキット”と言うべきではないかという気さえしてくるのだ。
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