Intel GMA X3500が、従来のIntel GMA X3100と決定的に異なるのが、DirectX 10(Direct3D 10)への対応だ。しかしながら、現在供給されているIntel GMA X3500のドライバはDirectX 10に対応できていない。マイクロソフトの開発者向けサイトMSDNで配布されている、DirectX SDKに収録されている「dxsdk_november2007.exe」をインストールすると、DirectX Sample Browserを実行できる。
dxsdk_november2007.exeには、DirectXの特徴を紹介するデモが多数用意されており、「show」メニューで、「Direct3D 9」を選ぶとDirectX 9対応のデモが、「Direct3D 10」を選ぶとDirectX 10対応のデモが実行される。P5E-VM HDMIでも、DirectX 9に対応したデモはスムーズに実行できたが、DirectX 10対応のデモは表示すらされなかった。もちろん、これはASUSの手落ちではなく、Intel GMA X3500を供給し、その対応ドライバを開発しているインテルの問題である。

DirectX SDKに収録されているDirectX 10、DirectX 9対応のデモをそれぞれ動かす。DirectX 10用のデモは左の画面のように何も表示できなかったのに対して、右の画面のDirectX 9用のデモはスムーズに表示された現在、DirectX 10を利用できるのはWindows Vistaのみであり、DirectX 10対応に対応したゲームタイトルの発売予定をみても、非常に重くて、そもそもIntel GMA X3500で太刀打ちできるとも思えない(グラフィックス関連のベンチマークテストの結果を見ても分かるように、旧式のバリュークラスGPUのRadeon X1300にもかなわないのだから)。そういう意味では、DirectX 10への対応が遅れても、実質的には影響はないと考えていいだろう。
それよりは、高品質のパーツを採用して動作の安定性を高め、HDMIをはじめとする多彩なインタフェースを実装した小ぶりなmicroATXマザーボードとしての使い勝手を高く評価すべきだ。もちろん、ユーザーには、世代が新しくなった統合グラフィックスコアであるIntel GMA X3500にたいする期待も大きいが、それは、3Dゲームが快適に動作させるためというよりは、Windows VistaのAero環境を快適にする機能として理解したほうがいい。
その一方で、実際には使えるはず機能がドライバの事情で封印されているのは、購入者の心理へマイナスに働いてしまうことがある。そういう「使う使わないには関係なく、完全動作でないと我慢ならない」ユーザーであるなら、DirectX 10対応のドライバがリリースされるまで待つのが気持ちの上でよいのかもしれない。
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