最新Mac OS「Leopard」に正式対応した仮想化ソフトウェア「VMware Fusion」(Version 1.1 Build 62573)の日本語版パッケージが本日12月7日にアクト・ツーより発売される。価格は1万3800円(すでに販売が始まっているダウンロード版は1万2800円)。VMwareシニアプロダクトマネージャーのパット・リー氏(Pat Lee)が日本語版パッケージの販売プロモーションのために来日し、最新VMware Fusionの特徴を語ってくれた。
VMware Fusionは、Intel CPUを採用したMacのMac OS X上で、Windowsをはじめ、Linux、NetWare、Solarisなど、複数のOSを仮想マシンとして動作させる仮想化ソフトウェアだ。Leopardで標準搭載されたBoot Campとは異なり、Mac OS XとWindowsを再起動することなく同時に利用できる。競合製品では「Paralles Desktop」が先行しているが、VMware Fusionではマルチコアに最適化された高いパフォーマンスや、64ビットOSへの対応(と8Gバイトのメモリを割り当てた仮想マシンの構築)などが特徴になる。さらに“実験的”ではあるものの、DirectX 9.0をサポートしているのも目を引く(ただしShaderを利用できない、Mac miniやMacBookではDirectX 9.0に対応しないなど現状では制約が多い)。
また、1998年に設立された長い歴史を持つ同社は、膨大な仮想マシンの資産を保有しており、このVMware Fusionの対応OSも実に60以上と非常に幅広い。なお、VMwareのラインアップには、エンタープライズ向け製品のほかに、「VMware Workstation」や「VMware Player」などもあるが、これらはどちらかといえばデベロッパー向けであり、VMware Fusionが同社初のコンシューマー向け製品という位置付けになる。このため、開発者向けの機能を省く一方で、一般ユーザーが使いやすいように、ユーザーインタフェースのブラッシュアップやBoot Campとの連携などに重点を置いて開発されている。
リー氏は「FusionでWindowsの仮想マシンを構築するのは、PCにOSをインストールするときよりも簡単です」と、通常よりも少ない手順でインストールが行えることをメリットに挙げる。実際、最初に必要な情報を入力し、Windowsのインストールディスクを挿入すれば、後はほぼ自動的にOSの起動まで到達できる。また、すでに使用しているBoot Camp領域のWindowsを仮想マシンとして実行することもできるので、ゲームをするときはBootCampで、通常利用はVMware Fusionで、といった使い分けが可能だ。このほか、既存のWindowsを仮想マシンとして利用できるようにコンバートしたり、Paralles Desktopの仮想マシンをVMware Fusion上に移し替えることもできる(ただし、Boot Camp領域のWindowsがWindows Vistaであれば、ライセンス上の問題でVista Businessか同Ultimateエディションに限られる)。
※記事初出時、Boot Camp領域と仮想マシン上のWindowsで複数のライセンスが必要になるという記述がありましたが、複数のライセンスは必要ありません。お詫びして訂正いたします。
VMware Fusionで動作する仮想マシンのデスクトップ表示は、3種類のモードから選択できる。1つはMacのデスクトップ上に開かれたウィンドウ内で仮想マシンを操作するシングルウインドウモード。2つ目が仮想マシンをフルスクリーンで表示するフルスクリーンモード。そして3つ目が、仮想マシンのアプリケーションウィンドウをそのままMac OS上に表示するユニティモードだ。
シングルウインドウモードでは、いかにも「仮想マシンです」というUIだが、フルスクリーンモードをMac OS X 10.5のSpacesと組み合わせれば、Controlキーと矢印キーを押すだけでOSごとにデスクトップを切り替えることができるし、ユニティモードを使えばあたかもMacでWindowsアプリケーションが動いているような操作感になる。今回のVersion 1.1では「Leopard正式対応」もトピックの1つになっているが、Spacesの簡単なキー操作で、Mac OS X、Windows、Linuxと切り替わっていく利用法はちょっと面白い。これは下の動画を見ていただけば一目瞭然(りょうぜん)だろう。
このムービーをご利用いただくためにはFLASHプラグイン(バージョン8以上)が必要です。
上の動画はMac OS X 10.5、Windows XP、Ubuntuを同時に立ち上げ、Spacesで切り替える様子をSnapz Pro Xでキャプチャした。なお、Ubuntu(7.10 Desktop Edition)は、VMwareのVirtual Appliance Marketplaceに用意されている仮想アプライアンスを利用している。Virtual Appliance Marketplaceには仮想マシンにOSと各種アプリをパッケージ化したアプライアンスが多数用意されているので、「あのOSをちょっと試したい」という時に便利だ。
リー氏は「CrossOver for Macのような(仮想マシン以外の)アプローチは考えていないが、見かけのユーザーインタフェースは、使用者がMacとWindowsを意識しないものへ改良を進め、さらにシームレスな体験を提供していきたい」と今後の抱負を語る。もっとも、すでにホストOS/ゲストOS間のデータ連携は共有フォルダ以外に、ドラッグ&ドロップやコピー&ペーストもサポートされており、OSの違いを意識する場面は少ない。また、内蔵iShightや光学ドライブ、USB 2.0接続の周辺機器も利用でき、仮想化ソフトとしてはすでに十分な完成度だ。
「VMware Fusionを使うことで、MacとWindowsのどちらを選ぶのか、という問題に悩むことはなくなります。また、仮想環境上のWindowsのほうがクラッシュする心配も少なく、スナップショット機能によって復旧も簡単に行えます。Macユーザーはもちろん、これからMacにスイッチしようと思っているWindowsユーザーのみなさんも、ぜひVMware Fusionを検討してください」(リー氏)。
なお、VMwareのサイトでは30日間の無料評価版の配布が行われているので、パフォーマンスが気になる人は試すことができる。また、VMware Fusion日本語版の国内販売代理店であるアクト・ツーでは、現在ダウンロード版が特別価格の1万920円で提供されている。
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