AMDからのクリスマスプレゼント──「Phenom 9600 Black Edition」で遊ぶイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2007年12月25日 09時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

「諸刃の剣」の倍率フリーPhenomがもう登場

救世主となるか死神となるか「Phenom 9600 Black Editon」 ノーマルのPhenom 9600のOPNは「HD9600WCJ4BGD」であったが、こちらは「HD960ZWCJ4BGD」と一文字違い

 というわけで、“公約”どおり2007年のうちに登場しそうな予感のPhenom 9600 Black Editionである。先日、AMDからもスペックに関する正式なリリースも登場して、あとは、25日といわれている製品出荷を待つばかりとなった。ユーザーには「おおお、AMD太っ腹!」、ショップには「よ、よけいなことををををっ」、AMDには「自分で自分の首をしめたんではないかい?」という感じで、2007年11月に行われたPhenomのローンチで「年内に倍率が変更できるPhenomが出荷されます」とアナウンスがあったため、Phenomの導入を控えていたAMDファンも、けっこうな人数におよんだと聞く。

 その、待望のBlack Editionが、日本では、クリスマスという「さすが外資系、心憎い演出だね」と思いきや、ショップもユーザーも「なんで3連休が終わった平日(学生はともかく社会人はまだ冬休みに入っていない)なんだ」とぼやく連休明けの火曜日に出荷を開始する。

 AMDのBlack Editionは、すでに2モデルが登場している。最初に登場したのは、Athlon 64 X2レギュラーラインアップを超えるハイエンドモデルとして登場した「Athlon 64 X2 6400+ Black Edition」で、こちらは「スペシャルなAthlon」という位置づけだったが、その次に登場した「Athlon 64 X2 5000+ Black Edition」は、スペックこそすでに存在していたAthlon 64 X2 5000+と同等だったが、Athlon 64 X2シリーズで初めて「倍率変更」を可能にしたことで、ミドルレンジクラスの価格ながら、FSBと倍率を上げることで、ハイエンドクラスに相当する性能を可能にした「お得なAthlon」として人気を集めた

 ただ、どちらのBlack Editionにしてもレギュラーラインアップがほぼ出尽くしたあとの「特別付録」であったのに対して、Phenom 9600 Black Editionは、Phenomそのものが出荷されてからわずか1カ月、しかも、予告されている上位モデルは2008年にならないと出荷できないという段階で店頭に姿をあらわすという、これまでのBlack Editionとはだいぶ異なる扱いだ。

 Phenom 9600 Black Editonは、Athlon 64 X2 5000+ Black Editionと同じように、既存のPhenom 9600と同じスペック(動作クロック2300MHz、コア駆動電圧1.2ボルト、TDP95ワット)を有しながら、クロック倍率を変更きるようにしたモデルで、その意味では「お得なPhenom」という位置づけになるはずだ。しかし、本当にお得かどうかは、「購入したBlack Editionが設定変更でどこまで速く動かせるか」にかかっている。

 そういうわけで、早々と登場したPhenomのBlack Editionのお得度を知るために、“世間がクリスマス準備で浮かれるこの3連休に”評価用のサンプルであわただしくも遊んでみることになった。

今までは、CPUだけが入っていたBlack Editionのパッケージだが、Phenom世代になってようやくリテールのCPUクーラーユニットが同梱される。Phenom 9600 Black Editionの実売価格はおおよそ3万4000円前後と予告されている

 なお、これまで登場したBlack Editionは、2モデルとも“格好いい黒のパッケージ”にCPUだけが入っていたが、Phenom 9600 Black Editionは、Black Editionでは初めてリテールと同じクーラーユニットが同梱されている。そういう意味で今回の検証はリテールクーラーユニットを使うのが「礼儀」だが、入手したサンプルにはセットになっているはずのクーラーユニットが付いていなかったため、手持ちの評価機材にストックされていたサードパーティ製クーラーユニットを使用している。

FSBも倍率変更も駆動電圧もこれ1つの「AMD OverDrive」

 Phenom 9600 BlackEditionの評価システムにはASUSのAMD 790FX搭載マザーボード「M3A32-MVP Deluxe」を用いた。先日掲載したPhenom 9600のレビューPhenom 9900のプレビュー記事の評価作業において、初期サンプルの各ベンダーAMD 790FXマザーで動作不調が相次ぐ中、M3A32-MVP Deluxeは比較的安定した動作を見せたと多くのライターが評価したモデルだ。

 しかし、初期サンプルであったため、今回のオーバークロック作業ではいくつか制約があった。最も影響を受けたのがFSBとクロック倍率の設定で、最新のBIOS「0701」を適用した状態では、BIOSで指定してもWindows XPで使えるユーティリティツールで設定しても変更したFSBとクロック倍率が反映されなかった。この問題はBIOSを「0603」に戻すことで解決したが、その古いBIOSではメモリクロックが533MHz以外に設定できない問題が発生した。今回の検証はCPUのオーバークロックがメインなので、メモリクロックの問題は無視し、BIOS「0603」で作業を続けている。

 のちほど、ベンチマークテストの結果が示されるが、そういう事情から、結果の“値”ではなく、オーバークロックによって結果が“どれだけ伸びるのか”の参考にとどめていただきたい。

 Athlon 64 X2 5000+ Black Editionのレビューでは、WindowsからFSBとクロック倍率を設定できるツールとしてNVIDIAの「nTune」とオンラインソフトの「Crystal CPU ID」(ver.4..13.2.343)を使ったが、今回は、AMDが「Spider」プラットフォームのチューニングツールとして開発した「AMD Over Drive」を使用した。このツールはバージョンアップが頻繁に行われており、今回は、2007年12月末の時点で最新の2.10を使ってFSBとクロック倍率、(そして、後ほど説明する一部の条件においては)電圧設定を行った。

オーバークロックの設定に使ったAMD OverDrive。「Performance Control」→「Clock/Valtage」でFSBクロックと倍率、駆動電圧を設定できる。AMD OverDriveは2.10を用いたが、HyperTransportの倍率設定が最大で9倍であったりと、設定内容に若干の制約がある
AMD OverDriveのStatus Monitorでは、Phenomに実装されている4つのコアごとにクロックと負荷率、温度などが監視できる。PCMark05 Multithred #2が止まるとき、File Decomressionが最初にハングアップするため、1つのコアで負荷率が下がっている

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