国産ゲーミングマウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」の実力を試すニッポンの本気(3/3 ページ)

» 2008年02月21日 12時30分 公開
[瓜生聖,ITmedia]
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制動性能を左右する重量とマウスパッド

 マウスのフィーリングを決定づける要素の1つに、マウス底面のすべり具合がある。ゲーミングマウスの中には底面のマウスソール(マウスフィート)が交換可能になっていて、自分の好みのすべり具合に調整できるものもあるが、DHARMA POINTではマウスソール側ではなく、別売の専用マウスパッドを2種類用意することでユーザーの要求に応えた。この専用マウスパッドはどちらも奥行き30センチ、横幅40センチの特大マウスパッドだが、表面加工がまったく異なっている。

 ハードタイプの「DRTCPW40H」は、初動摩擦係数の軽減が念頭に置かれており、ハイセンシ向けとされている。表面の特殊PP層サーフェスのすべりがよく、とにかく軽く、本当によくすべる。あまりにもよくすべるのでローセンシスタイルに属する筆者の場合、気がついたら小指をマウスパッドに接触させてすべりを軽減させていたくらいだ。特殊PP層の下はレーザーの反射効率を高めるアルミ蒸着層、その下がクッションとなる天然発泡ラバー層の3層構造でできており、ハードタイプとはいうものの、端を持つと自重で曲がるくらいのやわらかい素材になっている。

 一方、ソフトタイプの「DRTCPW40S」は制動性重視型でローセンシ向けとされる。表面がナイロン層、その下がクロロプレンラバー、低反発ウレタン、すべり止めラバーという構造になっており、極端に表現すると「ふかっ」とした感覚があるが、マウスを動かしている状態から停止させるときにすべりすぎず、目的のポイントでぴたりと止めやすい。その半面、初動はハードタイプに比べてやや勢いを必要とする。もっとも、ローセンシではいったん動かし始めるとハイセンシよりも大きく、速度をつけてマウスを動かすことになるので問題にはならないだろう。

ハードタイプとソフトタイプの2種類がある。ともに400×300ミリの特大サイズのため、キーボードの横に並べるとかなり幅を必要とし、キーボードの手前に置くとキー操作が遠くなるため、人によってはこのサイズを持てあましてしまうかもしれない

 個人的な感想としてはハイセンシ+ハードタイプはちょっとピーキー過ぎるという感じで、ハイセンシであってもマウスパッドはソフトタイプのほうが使いやすいかな、という印象だ。逆にローセンシ+ハードタイプはやはり制動性に危うさがある。ローセンシのユーザーはソフトタイプ、ハイセンシのユーザーでマウス制御を極めたいユーザーは、ハードタイプ、それ以外の人は初動と制動、重視するポイントを念頭において判断するといい。

複数キーの同時押しに対応したゲーム向けキーボード

 アーケードゲームなどによく見られたシューティングゲームのPC移植版では、キーボードはあくまでジョイスティックの代用品だ。そのため、ジョイスティックないしはゲームパッドを持っている場合には、一般的にはそちらを利用したほうがいい。ところがPC発のFPSでは最初からキーボードを前提としており、ゲームパッドを利用する人は少数派だ。

 これはマウスを併用する以上、ゲームパッドやジョイスティックも片手で操作しなくてはならないことによる制約が大きいためだろう。左手の操作は移動だけでなく、しゃがみやジャンプ、装備の変更、リロードなども含まれる。おそらく少なくても9つ、通常はそれ以上のキーを片手で操作するのではないだろうか。これをジョイスティックでは実現するのは困難だ。ゲームパッドではバインド方法によってはできなくもないが、それでも本来両手持ちを前提としたデザインのものを左手のみで操作することは一般向けとは言い難い。

 そういった事情から、現在の左手用コントローラはキーボードが主流となっている。ただし、ゲーム用にカスタマイズしたキーボードというジャンルもある。「Cyber Snipa Game Pad」や「Wolfking Warrior」など、キーボードの左手で操作する部分のみを取り出した左手用キーボードと、ゲーム用レイアウトを採用したフルキーボードに大別できるようだ。

 このような左手用キーボードの場合は、あまり場所を取らないために大判のマウスパッドを使用しやすいというメリットもある。もっとも、それだけで普段のPCオペレーションをすべてまかなうわけにもいかないので、キーボードはキーボードで別に用意しておかなければならない。

 一方、FPSをこれから始める、始める「かも」しれないというユーザーや、さまざまな事情によりFPSに特化したコントローラを購入することになんとなく引け目を感じるようなユーザーの場合は、FPS「向き」のフルキーボードを検討するのがいい。ここでポイントになるのが複数キーの同時押しの対応だ。

 意外に知られていないことだが、低価格からバリュークラスあたりまでのキーボードは複数キーの同時押し対応に制限がある場合が多く、たいてい2〜3キーまでしか認識できない。そういったキーボードをFPSで使う場合、例えば暗視スコープをオンにしてしゃがんだまま右斜め前方に移動しながら、その間にリロードする、というような行動はできないということだ。これだけ聞くと「そんな同時にやらないのではないか」と思うかもしれないが、実際には「暗視スコープをオン」にした状態で「しゃがんだまま右斜め前方に移動」までが1つのアクション、それを継続しながらリロードする、という操作になるため十分あり得るシナリオだ。リロードしたつもりができていない、あるいはリロードするためにいったん停止しなければならないことがハンデになることは明らかだろう。

 高級キーボードではすべてのキーの同時押下を検出できるNキーロールオーバーに対応したものも多いが、1万円以上という価格はゲームよりもむしろ普段使いでのフィーリングを重視したチョイスにならざるを得ない。

黄色で示した21キーが同時入力に対応した部分

 そこに登場したのがFPS“対応”キーボード「GMKB109」だ。Nキーロールオーバーではすべてのキーに逆流防止用のダイオードを入れなければならず、それがコスト高の要因となっていたが、GMKB109では21キーに限定して同時押しに対応することで約3000円という低価格を実現している。

 また、“対応”とあえて書いた理由は、特殊レイアウトやマクロ対応、なんらかのインジケータなどの「ゲーム用キーボード」的なフューチャーがまったくないためだ。見た目、価格とも普通のキーボードでありながら、ピンポイント的にゲーム用に強化されたキーボードというわけだ。

 実際の使い勝手はというと、正直なところ価格なり、ではある。打鍵感はラバードームを採用したメンブレンの特徴そのもので、ふにゃっとした感触ではあるもののやや重たく、ストロークが深い。もっとも、幅広キーの端を押した場合などのキー認識の確実性、耐久性の向上など、メーカー製PC付属のキーボードを使っているユーザーが買い替えるには手頃なクラスの製品となっている。

ニッポンの本気

 DHARMA TACTICAL MOUSEを使った感想は、後発なだけあってよくリサーチしており、他社製品のマウスで出てきた不満点などをていねいにつぶしてきたな、という印象だ。ハイセンシティビティ・ローセンシティビティ両方にそれぞれ専用のマウスパッドを用意したり、マウス本体に記録できるマクロが3モード分可能であること、モード変更ボタンまでマクロに利用できる柔軟なカスタマイズ性など、じっくりと考え抜いて作られている。

 また、ホイールの重さも、このマウスの方向性をよく表している。正直なところ、このホイールの重さは一般アプリケーション用としてはちょっと使いづらい。だが、FPSを考えた場合に、一刻を争う操作としてはあまり利用されることのないホイールを、センター押下、左右チルトの3ボタンと割り切る潔さはメーカーの真剣さ、本気度を感じさせる。

 ラインアップとして光学式の投入も予定されているということや、当初から2種の専用マウスパッドを用意したところからも、今後も妥協のない、そしてユーザーのフィードバックを重視した製品作りをしてくれるのではないかとおおいに期待できる。モノづくりに対して、徹底的なこだわりのオタク気質を持つ“ニッポンの本気”とも言える製品だ。

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