“手書き”できるビデオ編集ソフト――「Ulead VideoStudio 12」発表ファイル変換も高速に(2/2 ページ)

» 2008年03月12日 11時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]
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手書き合成でホームビデオの表現力をアップ

 続いて、同社マーケティング部 部長の今澤浩之氏がVideoStudio 12の新機能について解説した。目玉となる手書き合成機能は、専用のペイントツール「ペインティング・クリエーター」で作成したイラストや文字を、自由に素材と合成できるというもの。ペインティング・クリエーターには、「アニメーションモード」と「スチルモード」の2つのモードが用意されており、前者では手書きした内容を動画ファイルとして、後者では静止画ファイルとしてライブラリに登録できる。これらをタイムライン上に配置することで、素材となる動画や静止画と合成する仕組みだ。

 手書き合成機能はペンタブレットの筆圧感知にも対応しており、手書きらしい線の強弱がつけられるほか、クロスフェード効果で映像からイラストへ、またはその逆へ変化するような合成も行える。「子供を撮影したビデオに手書きの文字やイラストを入れることで、オリジナリティあふれる作品にできる。絵日記風のビデオを作成したり、結婚式のビデオにみんなで寄せ書きしたりといった活用も提案したい」(今澤氏)。

マーケティング部 部長の今澤浩之氏(写真=左)。手書きのイラストや文字を、映像や音声と合成できるペインティング・クリエーター(写真=中央)。アニメーションモードでは、ユーザーが描いた順番通りにイラストや文字を再生して合成できる。手書き合成機能を生かし、絵日記風のビデオクリップを作成することも可能だ(写真=右)。

 「おまかせモード」で作成できるスライドショーには、新たに顔認識機能を搭載。顔の位置を中心に、より自然なパン&ズームの効果が適用できるようになった。また、解像度1920×1080ドットのフルハイビジョン対応テンプレートが追加されている。

 「編集モード」では、ウィンドウやサムネイルの表示サイズが可変になったほか、Windows標準のビデオ/ピクチャ/オーディオフォルダ内に保存されたファイルをライブラリで表示可能だ。また、作業途中で保存したプロジェクトファイルは、通常の動画ファイルと同じように別のプロジェクトファイルのライブラリへ追加し、タイムラインへ挿入できるようになった。素材の入力は、新たに日立製作所のBlu-ray Discビデオカメラ「DZ-BD7H」「DZ-BD70」に対応している。

 タイトルトラックは、従来から1本増えて合計2本を用意。これにより、複数のタイトルを時間差で表示するアニメーションなどを作成しやすくなった。また、タイトルアニメーションも新たに10種類のサンプルが追加されている。ビデオトラックは7本、オーディオトラックは2本を利用できる。

 ライブラリ上のビデオクリップについては、タイムライン上に配置せずに簡易編集できる機能が加わった。任意のビデオクリップをダブルクリックすると小さな編集ウィンドウが起動し、フレーム単位でトリムが行える。

スライドショーの作成機能は顔認識により、自然なパン&ズームが可能だ(写真=左)。タイトルトラックは2本に増え、文字の合成が容易になった(写真=中央)。ビデオクリップは、タイムライン上に配置せずにトリムできる(写真=右)

 オーバーレイ機能も従来バージョンから強化され、オーバーレイトラックへのエフェクト効果や、オーバーレイトラックに配置したビデオクリップへのトランジション効果を適用できるようになった。また、オーバーレイトラックの編集時はユーザーが作業中のビデオトラックを見失わないように、編集画面にトラック番号が表示される。

MPEGオプティマイザではファイルサイズの指定による変換設定が可能。ファイル出力機能は、YouTubeへのアップロードにも対応する

 ファイル出力機能においては「MPEGオプティマイザ」を引き続き採用する。これは、MPEG形式で保存する場合に各素材のエンコード設定を表示することで、どの素材にビットレートの設定を合わせれば、何%の変換時間短縮が図れるかを確認できる機能だ。素材に多く使われているエンコード設定と同じ設定で出力すれば、再エンコードする部分を極力減らす「スマートレンダリング」の適用範囲が増え、処理時間を短縮しつつ画質の劣化を防ぐことができる。

 VideoStudio 12では、このMPEGオプティマイザ使用時にファイルサイズを基準とした変換設定が可能になった。例えば、「800」と入力すると、ファイルサイズは800Mバイト以下になり、その場合の映像ビットレートも設定ウィンドウに表示される。

 ディスクへの書き出しに関しては、AVCHD形式やHD Rec形式でのディスク作成に対応している(HD Rec形式のディスクは再生互換性を検証中)。Blu-ray DiscやHD DVDへの書き出しは行えないが、今後はVideoStudio 12で作成したプロジェクトファイルのインポート機能を同社製オーサリングソフト「DVD Movie Writer」シリーズの最新版に追加する計画があるという。

 VideoStudio 11の上位バージョン「Ulead VideoStudio 11 Plus」は、Blu-ray DiscやHD DVDのディスク作成に対応しているが、今後の製品では開発リソースをBlu-ray Disc関連機能に集中し、HD DVD関連機能はタイミングを見て省いていく方針という。

 そのほか、タイムライン上でファイルを移動する際に移動先のタイムラインを表示したり、オーディオファイルをタイムライン上に重ねて配置した場合にクロスフェード効果が自動適用されるなど、細かな機能強化も見られる。

 なお、Ulead Video Studioシリーズは、もともと台湾Uread Systemsが開発したソフトだ。2006年に同社を傘下に置く米InterVideoがカナダのCorelに買収されたため、現在はブランド名として“Ulead”を残した形でコーレルの製品ラインアップに加わっている(日本法人は2007年1月にコーレルとインタービデオが合併)。

Ulead VideoStudio 12の対応フォーマット
入力 ビデオ AVI、MPEG-1、MPEG-2、HDV、AVCHD、MPEG-4、QuickTime、Windows Media Format、DVR-MS、MOD、TOD
オーディオ Dolby Digital Stereo、Dolby Digital 5.1、MP3、MPA、QuickTime、WAV、Windows Media Format、AAC
イメージ BMP、CLP、CUR、EPS、FAX、FPX、GIF、ICO、IFF、IMG、JP2、JPC、JPG、PCD、PCT、PCX、PIC、PNG、PSD、PXR、RAS、SCT、SHG、TGA、TIF/TIFF、UFO、WMF
ディスク DVD、Video CD(VCD)、Super Video CD(SVCD)、AVCHD、BDMV
出力 ビデオ AVI、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、MPEG-4 AVC/H.264(Baseline、Main profile 640×480ドットまで)、QuickTime、Windows Media Format
オーディオ Dolby Digital Stereo、Dolby Digital 5.1、MPA、WAV、Windows Media Format、AAC
イメージ BMP、JPG
ディスク DVD、Video CD(VCD)、Super Video CD(SVCD)
メディア CD-R/RW、DVD-R/RW、DVD+R/RW、DVD±DL

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