GeForce 9800 GX2との比較対象にしたのは、AMD(ATI Technologies)の最新デュアルGPUカード「Radeon HD 3870 X2」と、NVIDIAのハイエンドGPUとして君臨するGeForce 8800 GTX、そして、その2枚差しによるNVIDIA SLI構成だ。アーキテクチャとしてはRadeon HD 3870 X2と、ハイエンドGPUのNVIDIA SLI構成としては2枚差しのGeForce 8800 GTXと、ハイエンドGPUを搭載した1枚のグラフィックスカードとしてはGeForce 8800 GTXとそれぞれ比較することになる(ただし、実売価格帯はそろっていないことに注意)。
さすがにデュアルGPUカードのGeForce 9800 GX2だけあって、単体構成のGeForce 8800 GTXに対しては、すべてのベンチマークテストで圧倒的な差をつけている。また、デュアルGPUカードであるRadeon HD 3870 X2にも大きく差をつけるだけでなく、実売価格が上のレンジになるGeForce 8800 GTXのNVIDIA SLI構成に対しても、Company of Heroes、そしてCrysisで上回る結果をたたき出している。
その一方で、Enemy Territory-QUAKE Wars Demoでは、GeForce 8800 GTXのSLI構成をわずかに下回り、3DMark06では、GeForce 8800 GTX のSLI構成を下回るだけでなく、項目によっては軽負荷時でRadeon HD 3870 X2にも逆転される局面が見られた。また、F.E.A.R.では、低解像度条件でGeForce 8800 GTXのSLI構成に大きく差をつけられ、フィルタ設定によってはRadeon HD 3870 X2にも差を縮められている。
このように、GeForce 9800 GX2のベンチマークテストの結果は、テストの種類によって傾向がかなり変わってくる。特に、マルチGPU構成でいい結果を示しやすい3DMark06においてふるわなかったのが気になるところだ。CrysisとCompany of Heroesという、DirectX 10に対応したゲームタイトルで良好な結果を出しているあたりは、実際の利用場面において優れた性能を発揮することも期待できるが、特定のゲームタイトルに対してチューニングが進んでいる可能性も捨てきれない。
単体のグラフィックスカードとしては「条件付」ながら突出した性能を発揮するGeForce 9800 GX2は、Radeon HD 3870 X2もそうであったように、「単体の」グラフィックスカードとして高く評価できるかもしれない。ただ、高めに設定されている実売価格が気になるところだ。ただ、これも、絶対性能を最優先するユーザーなら価格を気にせず購入する傾向があるため、それほど問題とはならないはずだ。
それよりも、これまでのデュアルGPU搭載カードと同じように、単体GPUの新世代ハイエンドモデルが近いうちに登場する可能性を考えなくてはならない。GeForce 9800 GX2が末永く使ってもらえるデュアルGPUカードとなるか否かは、この先、実売価格がどのあたりに落ち着いてくるのかと、次世代ハイエンドGPUの登場時機とその性能に強く依存しているといえるだろう。
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