米Appleが10月14日(現地時間)に開催したMacBookファミリー新製品発表会の現地リポート。後編にあたる本記事では、新型MacBook共通で導入された新フィーチャー「Mini DisplayPort」と、同コネクタを使用するシネマディスプレイの最新版「24型LED Cinema Display」の話題を扱っていく。
ボディデザインそのものが一新されたMacBookとMacBook Proに比べ、今年1月に登場したばかりの新製品「MacBook Air」のアップデート内容は地味だ。
しかし、筐体こそほとんど変更がないものの、MacBookとMacBook ProがGeForce 9400Mを統合したNVIDIA製チップセットを採用したタイミングに合わせて、MacBook Airも同様にアーキテクチャを変更したほか、外部ディスプレイ出力ポートが従来のMicro-DVIから今回のメインテーマである「Mini DisplayPort」に変更されている。
まず、MacBook Airで最も目を引くのがチップセットの変更だ。ラインアップの位置付けとしてはMacBook Proクラスの製品ながら、その薄さを実現するためにスペックがかなりの部分で犠牲になっていたのがこれまでのMacBook Airだった。
低電圧版の小型パッケージを採用するために、CPUの動作周波数がほかの製品に比べて低いほか、Intel GM965内蔵グラフィックスのIntel GMA X3100は(外付けGPUに比べると)性能が低い、ストレージの拡張性が低いなど、パワーユーザーにとっての不満はこのあたりに集中する。それが今回のアップデートでパフォーマンスが大幅に強化され、この面での不満が少なくなったのがポイントだ。
例えば、新MacBook AirではCore 2 Duoの動作クロックが1.6GHzまたは1.86GHzの選択方式だが(クロックは以前とほとんど変わらず)、プロセスルールが45ナノのPenryn世代に変更されているほか、FSBが1066MHzと従来の800MHzから上昇しており、ロジックボードに実装されているメモリも1066MHzのDDR3 SDRAMにグレードアップしている。
また、ストレージ容量も従来の80GバイトHDD/64GバイトSSDの2択から、120GバイトHDD/128GバイトSSDの2択となっている。SSDとHDDの容量が逆転しているのは面白い傾向だが、1月の発表時には高根の花だったSSDモデルの値段が2499ドルまで下がり(発表当時は3000ドルオーバー)、さらにグラフィックス強化とストレージ容量倍増のオマケつきだ。
次はインタフェースに関する不満だろう。旧モデルのMacBook Airに搭載されたコネクタは、USB 2.0×1、mini-DVI×1、ヘッドフォン端子×1のみだった。イーサネットポートもなく、有線LANについてはUSB端子を使用する仕様だ。この点は新型MacBook Airでも変わらず、ユーザー側の工夫で対処するしかない。
ただ1点のみ変更されているのが外部ディスプレイ出力で、従来のMicro-DVIに代わり、Mini DisplayPortを搭載した。これは新型MacBookやMacBook Proに新搭載されたものと同じ形状で、ラインアップの一新に合わせてMacBook Airにも採用されている。Micro-DVIが(変換コネクタで対応できるが)独自形状だったのに対し、Mini DisplayPortでは全モデルで共通化が行われている。つまり同ポートに対応したディスプレイがあれば、MacBook間で外部ディスプレイを使い回せるわけだ。
そこで登場したのが、Mini DisplayPortを採用した24型「LED Cinema Display」である。
画面サイズの限られるノートPCにおいて、在宅時などに大画面ディスプレイで利用したいという要求はあるだろう。外部ディスプレイをプライマリに設定してもいいが、セカンドディスプレイとして活用できれば、本体のディスプレイと合わせて2画面を活用できて便利だ。今回の24型LED Cinema Displayは、こうした用途を狙った製品である。
新型Cinema Displayの外観は、まさにiMacのそれに酷似している。外見上の大きな違いはCinema DisplayにiMacのような背面のふくらみがなく、薄型のフラットな形状になっている点だ。一方、内部はバックライトがLEDベースのものになり、従来のCinema Displayにはなかった内蔵ステレオスピーカーや、iSight+マイクといった機構も備える。なお、iSightはMacBookの内蔵iSightよりもより解像度の高いものになっている。
Cinema Displayの最も大きな特徴は、MacBookファミリーとのコンビネーションでの利用が前提になっている点だ。従来まではMac ProやMac mini用のオプションといった印象が強かったが、ここで初めてノートPCとの併用が前面に押し出されている。
その秘密は出力端子にあり、Cinema Display用の電源コネクタや映像入力ケーブルに加えて、USBケーブルとMagSafeのケーブルが出ている。映像入力とUSB、MagSafeは1本のケーブルにまとまっており、先端のほうで3本に分岐する。その用途は明らかで、ノートPC、つまりMacBookファミリーとの接続を行うためだ。
MagSafeはMacBookの電源ケーブルになり、USBケーブルを接続することでCinema DisplayがUSBハブになる。またの映像入力ケーブルはMini DisplayPortに接続しMacBookからの信号を受信して大画面に表示できる。新型MacBookの場合、すべての端子が本体左側に集まっているため、3本のケーブルを順番に接続すれば、あっという間にMacBookとCinema Displayの接続が完了する。まさに新型MacBook向けにあつらえられた製品だと言えるだろう。
※記事初出時、旧MacBook Airに搭載されているMicro-DVIポートを、mini DVIと記述しておりました。おわびして訂正いたします。
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