レビュー
» 2009年01月21日 12時00分 公開

こいつ、動くぞ!:「VAIO type P」でWindows 7 日本語β版を走らせる (2/3)

[前橋豪,ITmedia]

手軽にVista環境を移行できるアップグレードインストール

 VAIO type Pの特徴はハードウェア面のみならず、作り込まれたソフトウェア面にもあることは以前掲載したレビュー記事で触れた通りだ。VAIO独自の機能はクリーンインストール後に追加することが難しいと予想される。そこで、まずは既存の環境をそのまま持ち越せるアップグレードインストールを試してみた。

 アップグレードで最初に問題となるのは所用時間だろう。インストール作業は途中数回の再起動を挟んで自動的に行われるため、ユーザーは作業の終盤に訪れるプロダクトキーの入力段階までただ待っていればいいのだが、VGN-P70H/WはCPUやHDDが低速なためか、インストールと初期設定が済んで使用可能になるまで3時間程度もかかってしまった。後述するカスタムインストールの所要時間とは大違いだ。

 とはいえ、インストールが完了したVAIO type Pは、Vista環境で登録されていた壁紙やガジェット、ワイヤレス通信のユーティリティがしっかり引き継がれ、一見してOSを乗り換えたことが分からないほどだった。デバイスマネージャを確認しても動作に問題があるデバイスは見られず、付属ソフトウェアの「VAIOリカバリセンター」のVAIOハードウェア診断ツールを実行しても問題は検出されない。輝度や音量の調節などFnキーとファンクションキーを組み合わせたショートカットキーも有効だ。ネットワークや電源プランの設定も継承され、ワンセグの視聴まで可能だった。試用中に発生した問題は後述するが、全体的に無事に引っ越しができているというのが第一印象だ。

アップグレードインストール後のデスクトップ画面(写真=左)。一見、Vistaと同じようだが、タスクバーの違いに注目だ。Windows 7ではサイドバーが廃止され、ガジェットを任意の場所に置けるようになったが、横長画面のVAIO type Pでは従来通り右端に置くのが使いやすかった。ワンセグ視聴・録画ソフトの「VAIO モバイル TV」は正常に動作した(写真=右)。なお、インスタントモードも利用できた

Windows 7 日本語β版でのデバイスマネージャ画面。ソニー独自のデバイスも含めて、問題のあるデバイスは見られない

 使い勝手についても、なかなか良好だ。Windows 7にはウィンドウをデスクトップの左右端にドラッグすると左半分/右半分の画面サイズに拡大表示する機能が追加されたが、2つのウィンドウを手軽に並べて表示できるのは、1600×768ドットの高解像度8型ワイド液晶ディスプレイを備えたVAIO type Pと相性がいい。タスクバーのアイコンを右クリックすることで、アクセスしたWebサイトや使用したファイルの履歴をポップアップ表示する「ジャンプリスト」機能も画面の情報量が多いVAIO type Pでは余裕を持って扱える。

ウィンドウを右にドラッグすると、デスクトップの右半分が青みがかって表示される(写真=左)。ここでウィンドウを離すと、画面の右半分サイズに拡大表示される仕組みだ(写真=右)

ジャンプリスト機能により、タスクバーのIEアイコンを右クリックすると、Webサイトの履歴が表示される(写真=左)。新しいウィンドウのドラッグ機能を使えば、2つのウィンドウを手軽に整列して表示できる(写真=右)

 ただし、Vistaと比較してパフォーマンスの向上が見られるかと問われると微妙なところだ。ウィンドウやメニュー表示のレスポンスが早い場面もあったが、明らかな高速化を体感できるわけではない。試しに、OSの起動やシャットダウン、スリープや休止状態への移行と復帰の時間を何度か計測してみたが、Vistaの状態とほとんど変わらず、少し遅くなることもあった(Vistaでの動作時間の計測結果はこちら)。

 Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは、プロセッサが足を引っ張り「1.9」にとどまり、やや物足りない結果だ。Vista環境よりスコアが低下しているのは、Windows 7 β版では最高スコアがこれまでの「5.9」から「7.9」へ引き上げられるなど、スコアの基準が見直されたからと思われる。また、Windows 7環境でデバイスが正常に認識されていない可能性も否定できない。まだ最終版に近いβ版ではないので、現状での厳密な性能比較はあまり意味がなさそうだ。各種ベンチマークテストプログラムによる性能比較に関しても、現状のβ版上で正常なスコアが算出されるのか検証する時間がなかったため割愛した。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア。左がVista Home Basic(SP1)でのスコア、右がWindows 7 日本語β版でのスコア。左の画面でグラフィックスのスコアが「5.9」と最高点をマークしているのは、VistaのWindowsエクスペリエンスインデックスがIntel SCHのグラフィックススコアを正しく表示できない問題によるもので、妥当な値ではない

 VAIO type Pのウリの1つは、HD映像のハードウェアデコードによる再生支援機能を備えていることだが、Windows 7 日本語β版でのアップグレードインストールで同機能は引き継がれなかった。VistaのWindows Media Player 11でコマ落ちせずに全画面再生できる1080/24pのWMV9ファイルをWindows 7 日本語β版のWindows Media Player 12で試したところ、かなりコマ落ちしてしまう。将来的にWindows 7に最適化されたドライバが提供されれば、Vistaと同様の動画再生能力を獲得できると思われる。

 YouTubeやニコニコ動画の使い勝手はVista環境とそう変わらないが、コンテンツによってはVista環境よりスムーズに再生できる場合もあった。なお、Yahoo! 動画やGyaOはWindows 7が再生環境に適合せず、コンテンツを再生できなかった。

1080/24p(8Mbps)のWMV9ファイルを再生した場合のCPU使用率。左がVista(SP1)、右がWindows 7 日本語β版の場合だ。Windows 7 日本語β版では85〜100%程度と高く、Windows Media Player 12上で動画再生支援機能が正常に働いていないようだった

ニコニコ動画でOn2 VP6/320×240ドット/60fps/300kbpsの動画を再生した場合のCPU使用率。左がVista(SP1)、右がWindows 7 日本語β版の場合だ。どちらも70〜90%くらいを推移しており、さほど違いが見られない

 もちろん、Windows 7 日本語β版ですべてのソフトウェアが動作したわけではない。例を挙げると、「マカフィー・PCセキュリティセンター」は互換性に問題があり、正常に動作しなかったためアンインストールを余儀なくされた。また、今回試した限りでは、位置情報検知機能の「VAIO Location Search」やVAIOアップデート、プログラマブルボタンによるウィンドウ整列機能は動作しなかった。現状のVAIO Location SearchツールバーやVAIOアップデートについては、Internet Exploer 8で利用できないようだ。そのほか、グラフィックス機能に何らかの問題があるようで、「デスクトップ ウィンドウ マネージャー」のエラーが起動するたびに表示されるのは気になった(特に実害はなかったが)。

 このようにWindows 7 日本語β版のアップグレードインストールは、一部に不具合があったものの、OSの基本動作に大きな問題は発生せず、十分実用できるだけの安定性と操作性が得られた。次は、VAIO type PにWindows 7 日本語β版をカスタムインストール(新規インストール)してみよう。

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