「VAIO type P」でWindows 7 日本語β版を走らせるこいつ、動くぞ!(3/3 ページ)

» 2009年01月21日 12時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]
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カスタムインストールかつVistaとのデュアルブート環境を作る

 前述の通り、VAIO type PにWindows 7 日本語β版を導入する際にカスタムインストールを選ぶと、クリーンインストールが行える。当然、付属ソフトウェアやデバイスドライバは引き継がれないが、アップグレードインストールと異なり互換性のないソフトウェアなどがシステムに残る心配がなく、システムに負荷をかけるユーティリティなども一切入らないため、素の状態のWindows 7を試せるのがポイントだ。

 とはいえ、VAIO type P用に作り込まれたソフトウェア環境をすべて無駄にしてしまうのは惜しいので、ここではVistaがプリインストールされたドライブにWindows 7 日本語β版をクリーンインストールすることはやめ、Cドライブのみで構成されるVAIO type PのHDDパーティションを分割してVistaとWindows 7のデュアルブート環境を構築してみた。

 まずは手始めにHDDのパーティションを分割する。付属ソフトのVAIOリカバリセンターではパーティションを分割してリカバリできるが、Vista用のCドライブに最低でも40Gバイトの容量が必要となり、60GバイトHDD搭載のVGN-P70H/WではWindows 7日本語β版用に8Gバイトのパーティションしか確保できない。β版の推奨ハードウェア最小要件は16GバイトのHDD空き容量なので、今回はVista標準のパーティション分割機能を使用し、Windows 7用に20GバイトのDドライブを作成した(パーティションの分割手順はこちら)。

Vistaでは「コンピュータの管理」の「ディスクの管理」から、パーティションの分割が行える。標準では7.25GバイトのHDDリカバリ用領域と、48.64GバイトのCドライブに分けられている(写真=左)。パーティションを分割するには、分割したいパーティションを右クリックして「ボリュームの圧縮」を選択し、開いたウィンドウの「圧縮する領域のサイズ」に、分割したいパーティションの容量を入力する(写真=中央)。Windows 7 日本語β版用にCドライブを分割し、20GバイトのDドライブを作成した例(写真=右)

電源スイッチを入れるとこのような画面が表示され、起動するOSを選択できる

 作成したDドライブをフォーマットし、Windows 7 日本語β版をカスタムインストールしたところ、インストール作業は40分程度で済んでしまった。Vistaからのアップグレードインストールと比較すると、クリーンインストールはさすがに高速だ。この方法でWindows 7 日本語β版をインストールすると、起動時に使用するOSをWindows 7かVista(SP1)かで選べるようになり、容易にデュアルブート環境が構築できる。この状態でインスタントモードも利用可能だった。

 インストール直後は画面解像度が1024×768ドットのフルスクリーン拡大表示となっていたが、Windows Updateで自動的にIntel GMA 500のドライバをアップデートして再起動すると、1600×768ドットで正しく表示された。

Windows 7 日本語β版のインストール直後は1024×768ドットのフルスクリーン拡大表示となり、アスペクト比が横にのびている(写真=左)。再起動後は1600×768ドットの解像度が自動的に選択され、正常な表示になった(写真=右)。アップグレードインストールとは異なり、標準ではデスクトップ上にガジェットなどが配置されず、シンプルな画面構成だ

 デバイスマネージャを見ると、ワンセグチューナー(CXD9192)、イーサネットコントローラ、そしてもう1つ不明なデバイスのドライバが入っていない状態だが、そのほかはWindows 7 日本語β版に標準で用意されたドライバと、WindowsUpdateで入手できたソニー製ドライバ「Sony Programmable I/O Control Device」でまかなわれていた。

デバイスマネージャを見ると、Windows 7 日本語β版に標準で用意されたドライバでほとんどのデバイスが認識できていた。ただし、3つほどドライバが入らなかったデバイスがある

 ここで注目したいのは今回デュアルブート環境を構築したことだ。VistaがインストールされたCドライブの「\Windows\Drivers」にはVista用の各種ドライバが格納されているので、Windows 7日本語β版用のデバイスマネージャから参照して適用することで各デバイスは正しく認識された。不明なデバイスの正体は独自デバイスの「Sony Firmware Extension Parser Device」だ。

 同様にソニー標準のVista用ドライバのうち、Windows 7 日本語β版に適用できるものをすべて適用したところ、アップグレードインストール時のデバイスマネージャとほとんど同じ状態となった。起動時にはアップグレードインストールと同じく「デスクトップウィンドウマネージャー」のエラーが表示されるほか、Fnキーとファンクションキーを組み合わせた一部のショートカットキーや、2つのプログラマブルボタンは利用できないが、実用面で大きな問題ではない。

デバイスマネージャで各デバイスのプロパティを起動し、C:\Windows\DriversにあるVista用ドライバを一通り適用した例。Intel SCH関連や、スティック型ポインティングデバイスのアルプス電気製ドライバも入り、プレスセレクトなどの機能も利用可能になった

 こうしてWindows 7 日本語β版をクリーンインストールして一通りの環境を整えてみたところ、アップグレードインストールとは違った快適さが得られた。レスポンスを鈍化させるソフトウェア類が入っていない素の状態ということもあり、OSの起動や基本動作は軽快さが増し、ウィンドウやメニュー表示の待ち時間が短くなっている。

 試しにデュアルブート環境でVistaとWindows 7の起動時間を何度か計測したところ、平均値は電源スイッチを入れてからOS選択の画面が起動するまでが約14秒で、そこからデスクトップ画面にガジェットが表示されるまでの時間はVistaが約1分46秒、Windows 7が約1分9秒だった。なお、アップグレードインストール時とドライバ構成が変わっていないこともあり、HD映像再生のパフォーマンスは同様だ。

製品版への期待が膨らむWindows 7 日本語β版

 以上、VAIO type PでWindows 7 日本語β版をざっと試してみた。メニューにはところどころ英語表記が見られるなど、まだまだβ版らしい部分も多いが、発売から2年が経過したVistaをベースに改良したOSだけあって、基本動作で致命的なトラブルが発生するようなことはなく、評判通りに安定していた。

 Windows 7は要求スペックの高さが批判されたVistaへの反動から、操作の軽さにも配慮されており、β版を試した限りでは、VAIO type Pのような基本スペックが控えめなミニノートPCでも十分動かすことができた。この調子でVistaより軽快に動作し、機能面も充実したWindows 7を製品化できれば、VAIO type PやWindows XPを搭載したNetobookの価値はより高まるだろう。

 Windows 7はあと1年前後で発売される予定(早ければ年内発売ともいわれている)だが、その際にはぜひVAIO type P現行モデルのポテンシャルをより発揮できるように、各種ソフトウェアのWindows 7対応版を提供してほしいものだ。

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