スペック以上に大変身した第2世代の“S10”──カジュアルなIdeaPad S10-2を楽しむ(2/2 ページ)

» 2009年08月18日 12時00分 公開
[石川ひさよし(撮影:矢野渉),ITmedia]
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オーソドックスな構成なったインタフェース

 インタフェースもIdeaPad S10-2では大きく変更されている。IdeaPad S10eは、その製品発表会でレノボ・ジャパンが訴求していたように豊富なインタフェースが特徴で、Netbookではあまり例を見ないExpressCardスロット(/34に対応)も搭載していた(IdeaPad S10eの製品発表会については「レノボ・ジャパンがコンシューマー市場に参入した理由」を参照のこと)。IdeaPad S10-2では、ExpressCardスロットがなくなったが、その代わりにUSB 2.0を3基搭載したほか(IdeaPad S10eは2基)、4-in-1カードリーダー、アナログRGB出力、有線LAN(100BASE-TX/10BASE-T対応)、ヘッドフォン/マイク端子という構成を採用している。インタフェースの配置も、有線LANが左側面奥に、カードリーダーが前面右寄りにそれぞれ移動した。

IdeaPad S10-2の前面(写真=左)と背面(写真=右)。前面右寄りにある4-in-1カードリーダーはプッシュプル式で、使わないときはダミーカードを挿入する。SDメモリーカードを差したところちょっとはみ出してしまうので、カードを差したままの持ち歩きは不安に感じるかもしれない

IdeaPad S10-2の左側面(写真=左)と右側面(写真=右)。USB 2.0が従来の2基から3基に増え、有線LANの位置が従来の右側面から左側面奥に移動した

 IdeaPad S10-2とIdeaPad S10eのバッテリーは、搭載場所も形状も似ているが、端子の位置やガイドレールの形状が異なるため流用はできない。IdeaPad S10-2のACアダプタは小型になっただけでなく、本体のボディカラーに合わせたカラーが付属する。なお、ケーブルコネクタの形状が日本で主流の“メガネ”型でなく“三つ葉”型である点は注意しておきたい。

IdeaPad S10-2のACアダプタは、本体のカラーに合わせたタイプが付属する(写真=左)。右がIdeaPad S10-2のACアダプタで左はIdeaPad S10eのもの。IdeaPad S10-2ではわずかに小型になっている(写真=右)

平均的な構成ながら、最大メモリ容量はアップ

 内部の構成は、CPUがAtom N270(動作クロック1.60GHz)、メモリがDDR2で1Gバイト、ストレージには160GバイトのSerial ATA接続HDDを搭載する。標準の構成ではIdeaPad S10eと変わらないが、唯一異なるのがメモリの構成だ。IdeaPad S10-2はSO-DIMMスロット1基を備え、ここに1Gバイトモジュールが装着されているのに対し、IdeaPad S10eでは512Mバイトをオンボードに搭載し、これとメモリスロットに差した512Mバイトを組み合わせていた。このため、最大メモリ容量がIdeaPad S10eで1.5Gバイトだったのに対して、IdeaPad S10-2では2Gバイトまで搭載できるようになった。CPUパワーが限られているNetbookでは、搭載できるメモリの容量が性能に大きく影響する。その意味で、IdeaPad S10-2で2Gバイトまで搭載できるようになったことは、大きな変化といえるだろう。

 利用できる無線接続もIdeaPad S10-2とIdeaPad S10eで異なっている。ただし、こちらはダウングレードといえる変化で、IdeaPad S10eではIEEE802.11b/gに加えてBluetooth v2.1+EDRが搭載されていたのに対して、IdeaPad S10-2はIEEE802.11b/gのみとBluetoothがなくなってしまった。Bluetooth自体はUSBアダプタで比較的安価で簡単に追加できるが、本体に内蔵されていれば使いやすいのも事実だ。

IdeaPad S10-2とS10eは処理性能も同等スペック

  IdeaPad S10-2 IdeaPad S10e
PCMark05:PCMarks 1486 1466
PCMark05:CPU 1492 1478
PCMark05:Memory 2343 2337
PCMark05:Graphics 553 562
PCMark05:HDD 4476 3789
FFXI Benchmark:Low 1450 1446
FFXI Benchmark:High 1025 1016

 IdeaPad S10-2もIdeaPad S10eも、CPUやメモリ、チップセットといったシステム構成がほぼ共通であることは先に紹介したとおりだ。そのため、ベンチマークテストで性能を検証してもその結果はほとんど変わらない。多くのNetbookがそうであるように、IdeaPad S10-2はWindows XP Home Edition(SP3)を動かすのに十分な性能を有している。そして、3Dゲームを楽しむにはやや力不足というのもほかのNetbookと同様だ。

 IdeaPad S10-2とS10eでPCMark05のHDD関連テストの結果に違いが出ているが、これは、IdeaPad S10-2に搭載していたWesten Digitalの「WD1600BEVT」(Scorpio Blue)とIdeaPad S10eに搭載されていた日立グローバルストレージテクノロジーズの「HTS543216L9SA00」というデバイスの違いが影響している可能性がある。

確実に改善されたバッテリー駆動時間

バッテリー駆動時間計測(BBenchにて計測)
S10-2 Low Power 60分
Balance 54分
Performance 54分
PowerSaving 75分
S10e Low Power 50分

 IdeaPad S10-2で改善されたというバッテリー駆動時間の計測には、海人氏作のバッテリーベンチマークツール「BBench V1.01」を使用した。このベンチマークは、一定時間ごとにキーバインドを送り、Webページを巡回するというものだ。ただし、評価作業の時間が限られていたため、今回は100%充電状態からBBenchを実行してバッテリー残量が80%になるまでの時間を計測した。

 IdeaPad S10シリーズには省電力ユーティリティが用意されていて、4つのモードに切り替えられるが、IdeaPad S10-2では4つのモードそれぞれで、また、IdeaPad S10eでは「Low Power」に設定して計測している。なお、バッテリー駆動時間が最大となる「Power Saving」モードでは、LANとUSB 2.0の電源がオフになるためBBenchのWeb巡回が行われないなど、条件が整合していない。参考値として扱ってほしい。

 Low PowerモードにおけるBBenchの結果は、IdeaPad S10-2が60分に対してIdeaPad S10eは50分と、IdeaPad S10-2でバッテリー駆動時間が改善されているのが確認できた。

システムの構成は共通ながら、デザイン、携帯性、使い勝手が確実に向上した

 システム構成、インタフェースなどを比べる限り、IdeaPad S10-2はオーソドックスなNetbookと評価されるかもしれない。Netbookという、スペックに一定の枠が規定されているカテゴリーではやむを得ないところであるが、それだけに、デザインやバッテリー駆動時間といったところで違いをアピールするしかない。IdeaPad S10-2は、その部分で大きく生まれ変わった。IdeaPad S10-2とIdeaPad S10eはしばらく併売される予定だが、デザインの好みが優先せず、実売価格の違いをクリアできるのであれば、IdeaPad S10-2を選ばない理由はないだろう。

製品名 IdeaPad S10-2 IdeaPad S10e
OS Windows XP Home Edition SP3 日本語版
CPU Atom N270(1.6GHz)
メモリ PC2-5300 1GB×1(最大2GB) PC2-5300 オンボード512MB+512MB×1(最大1.5GB)
チップセット Intel 945GSE Express
グラフィックス Intel GMA950(チップセット内蔵)
ディスプレイ 10.1型ワイド
解像度 1024×600ドット 1024×576ドット
HDD 160Gバイト HDD(5400rpm/Serial ATA/2.5インチ)
ネットワーク 100BASE-TX/10BASE-T、IEEE802.11b/g
カードスロット 4-in-1カードリーダー ExpressCard/34、4-in-1カードリーダー
サイズ 258(幅)×195(奥行き)×18〜42(厚さ)ミリ 250(幅)×196(奥行き)×22〜36(厚さ)ミリ
重量 約1.2キロ(最大構成) 約1.38キロ(最大構成)
バッテリー駆動時間 約6時間 約5.3時間
Bluetooth なし Bluetooth v2.1+EDR

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