Lynnfieldで使えるR.O.G.マザー!──「Maximus III Formula」の新機能で遊ぶイマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2009年09月28日 19時23分 公開
[寺崎基生,ITmedia]

Intel P55 Expressで実現したR.O.G.マザーの新機能

 Maximus III Formulaの機能をチェックする前に、LynnfieldとIntel P55 Expressチップセットについておさらいしておこう。Intel P55 Expressチップセット(以下P55)は、Lynnfieldコアを採用する「Core i7」、ならびに「Core i5」に対応するチップセットで、従来の“Bloomfield”コアを採用したCore i7に対応するIntel X58 Expressチップセットの下位モデルに位置づけられる。Lynnfieldコアが対応するCPUソケットはLGA1156で、Bloomfieldコアで使われるLGA1366よりピン数が少ない。ピン数が違うので、BloomfieldとLynnfieldの両者に互換性はない。

 BloomfieldとLynnfieldは、ともにメモリコントローラをCPUに統合するが、BloomfieldがDDR3のトリプルチャネル、LynnfieldはDDR3デュアルチャネルと、サポートするメモリバスの仕様が異なる。また、チップセットとCPUを接続するバスも、BloomfiledはQPIを採用していたが、LynnfiledはIntel 4シリーズ世代のチップセットでノースブリッジとサウスブリッジの接続に使われていたDMIを使っているという違いもある。また、Bloomfieldに対応するIntel X58 Expressまではチップセットのノースブリッジ側に統合されていたPCI ExpressのインタフェースもLynnfieldではCPU側に統合された。

 同じ「Core i7」でも、BloomfieldとLynnfield(加えて、それぞれに対応するプラットフォーム)にはこれだけの違いがある。ユーザーにとっては、まったく別のCPUと認識してもいいぐらいだ。R.O.G.シリーズでLynnfield対応マザーボードを選ぶ場合、現在のところ、LGA1156とIntel P55 Expressを搭載するのは「Maximus III Formulaが唯一の選択となる。

拡張スロットやメモリスロット、ヒートシンクなど、レッドカラーでまとめた「Maximus III Formula」が、アグレッシブなイメージをユーザーに与える

USBが9基、IEEE1394、eSATA、LAN、PS/2に、機能ボタンが2基という構成のバックパネル。サウンドがオンボードでないためスッキリした印象だ(写真=左)。これもR.O.G,シリーズの定番となってきた、PCI Express接続のサウンドカード「SupremeFX X-Fi」がMaximus III Formulaでも採用された(写真=右)

 Lynnfieldに対応するMaximus III Formulaに搭載されたLGA1156は、レバーを起こすとCPUを押さえるカバーがスライドして、先端のピンから外れて開く仕組みになっている。CPUを取り付けるときは、CPUをセットしてからカバーを先におろし、先端をピンにかけながらレバーを倒す。このとき、カバーは少しスライドしながらCPUに密着する。CPUがしっかり装着されていないと、カバーの先端をピンに引っかけることができないなど、装着ミスを防ぐ構造が施されている。

 Maximus III Formulaのメモリソケットも新しい形状になっている。これまでのDIMMソケットは、メモリスロットの両端にロック用のラッチがあり、両側のラッチを開いてメモリを脱着していた。ところが、Maximus III FormulaのDIMMソケットは、可動ラッチは片方のみで、もう片方は固定式になっている。メモリを装着するときは、片方のラッチを開いてから、固定されている方向にメモリモジュールを差し込み、そのまま、メモリを押さえつけるようにラッチを閉じる。ただ、この作業の最後にはメモリスロットの両側を同時に押しつける動作が必要だった。

 CPUソケットの周りには、これまでのマザーボードでは見たことないほど多数の電源回路用モジュールが並んでいる。従来のマザーボードで見慣れたチョークコイルが見あたらないため、「EMC R51KU」と刻印されているパーツを数えてみると、19個実装されていた。ASUSが明らかにしている仕様によると、Maximus III Formulaの電源回路は、16フェーズのCPU電源回路+3フェーズCPU Vtt回路で構成されている。16フェーズ電源回路は、すでにレビューで紹介しているIntel X58 Express搭載モデル「Rampage ? Extreme」でも採用しているが、Maximus III Formulaのコンデンサ群はそれを上回るほど圧巻だ(RAMPAGE III FORMULAのレビューは写真で予習するX58マザー(その4)──ゲーマーもクロッカーも満足のASUS「Rampage II Extreme」を参照のこと)。

 メモリスロットの脇にも3フェーズの電源回路が載っているが、これは、メモリの駆動電力もマルチフェーズ化するためだ。このように、マザーボードの各部で多フェーズ化する仕様をASUSでは「Extreme Engine Power Design」という名称で呼んでいる。

CPUソケットはLGA1156を採用する。そのソケットの周りには、背の低いコンデンサがぎっしりと並ぶ。「Extreme Engine Power Design」と呼ぶシステムで、CPU電源回路が16フェーズ、CPU Vtt回路が3フェーズという構成となっている(写真=左)。ヒートシンクの下には多数のレギュレータがあるが、ベンチマークテストを行った直後でもそれほど熱くならなかった(写真=右)

メモリ電源回路も3フェーズ化されている(写真=左)。コンデンサは、すべて固体タイプであるのはもちろん、背が低いタイプを採用するなど、大型のCPUクーラーでも干渉しにくい工夫が施されている(写真=右)

Energy Processing Unitと呼ばれて久しい、ASUS独自の省電力化コントローラ(写真=左)。Phase Extension Moduleによって、16フェーズの電源回路を、負荷に応じながら有効フェーズを変更する(写真=右)

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