NVIDIAが2009年11月に投入した「GeForce GT 240」は、GeForce GT 220世代のメインストリーム向けラインアップに位置するGPUだ。NVIDIAのリテール向けで初めて40ナノメートルプロセスルールを採用したGPUとして注目を集めたが、具体的なスペックでも、GeForce 9600 GTで対応していなかったDirectX 10.1をサポートし、NVIDIAとしてはグラフィックスメモリにGDDR5を初めて採用する。
とはいえ、GeForceのミドルレンジからバリュークラスにおけるラインアップをチェックしてみると、上にはGeForce GTS 250、下にはGeForce GT 220、同210とそろっているこのレンジに、なぜ、新しいGPUが投入されたのか? という疑問も出てくる。ここでは、そんな“微妙な立ち位置”にいるGeForce GT 240の意味を多角的に検討してみたい。
GeForce GT 240は「GT215」コアを採用したデスクトップ向けディスクリートGPUだ。同じレンジとしてGeForce GT 220、GeForce 210の上位に当たる。GeForce GT 220から統合型シェーダーユニットの数が増えて96基になった。GeForce GT 240の上位にはGeForce GTS 250が存在するが、GeForce GTS 250が旧世代のコアを利用している。そのため、GeForce GT 240はGeForce GTS 250が対応しないDirectX 10.1をサポートするなど、一部のスペックで逆転現象が起きている。
NVIDIAは、GeForce GT 240をGeForce 9600 GTの後継と位置付ける。両者を比べると、DirectXのサポートや搭載する統合型シェーダーユニットの数でGeForce GT 240が勝るものの、動作クロックはGeForce 9600 GTより低く抑えられているほか、ROPsの数もGeForce 9600 GTが多い。また、グラフィックスメモリのバス幅はGeForce GT 240で128ビットと半減した。Geforce GT 240搭載グラフィックスカードには、GDDR5搭載モデルとDDR3搭載モデルが用意されるが、GDDR5メモリを採用したモデルは、バス幅が半減しても転送レートの向上でなんとか帯域を維持できるが、安価なDDR3メモリ搭載モデルでは帯域も半減することになる。
GPU | GeForce GTS 250 | GeForce GT 240(DDR3) | GeForce GT 240(GDDR5) | GeForce GT 220 | GeForce 9600 GT |
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プロセスルール | 55ナノメートル | 40ナノメートル | 40ナノメートル | 40ナノメートル | 65ナノメートル |
統合型シェーダユニット | 128基 | 96基 | 96基 | 48基 | 64基 |
コアクロック | 738MHz | 550MHz | 550MHz | 625MHz | 650MHz |
シェーダクロック | 1836MHz | 1340MHz | 1340MHz | 1360MHz | 1625MHz |
DirectXサポート | 10 | 10.1 | 10.1 | 10.1 | 10 |
メモリ | GDDR3:512MB/1GB | DDR3:512MB/1GB | GDDR5:512MB/1GB | DDR3:512MB/1GB | GDDR3:512MB/1GB |
メモリバス幅 | 256ビット | 128ビット | 128ビット | 128ビット | 256ビット |
メモリクロック | 1100MHz | 1000MHz | 850MHz | 790MHz | 900MHz |
メモリ帯域幅 | 70.4GB/sec | 32GB/sec | 54.4GB/sec | 25.3GB/sec | 57.6GB/sec |
ROPs | 16基 | 8基 | 8基 | 8基 | 16基 |
テクスチャユニット | 64基 | 32基 | 32基 | 16基 | 32基 |
最大消費電力 | 150ワット | 70ワット | 70ワット | 58ワット | 96ワット |
今回の検証で用いたGeForce GT 240搭載グラフィックスカードは、MSIの「N240GT-MD512-OC/D5」だ。クーラーユニットは、オリジナルファンを採用した2スロット厚タイプを搭載する。グラフィックスメモリにはGDDR5メモリを採用してオーバークロックも施された。また、ミドルレンジのモデルながら、Hi-C CAPタイプの固体コンデンサと「リッドステートチョークコイル」を実装する。リッドステートチョークコイルは、コイル鳴きのないチョークコイルとしてハイエンドモデルで採用する例が多い。
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