バイト単価の安さ、容量の大きさ、アクセス速度の速さなどから光学メディアに対するHDDのアドバンテージはさらに大きくなってきている。仮想ドライブにISOイメージファイルをマウントするソフトはAlchol 52%、Virtual Clone Driveなどフリーソフトで容易に手に入る。OSが立ち上がってしまえば選択肢は幅広い。しかし、OS以前、BIOSレベルで光学ドライブとして認識されない限り、ブートメディアとして利用できないISOファイルは完全な置き換えとはならない。
通信環境が高速化された現在、インストールメディア、ブートメディアをISOファイルにしてネットで配布するケースはますます増加している。マイクロソフトの開発者/評価者向けの製品、MSDNやTechNet Plusもサブスクライバダウンロードサイトを用意してISOファイルがダウンロードできるようになっている。特にTechNet Plus Directはメディアでの提供がなく、提供手段はISOファイルダウンロードのみ。このため今までOSの場合はダウンロード後、DVD-Rなどに焼いてから使用しなければならなかった。
また、光学メディアは使用容量が多かろうが少なかろうが、1枚は1枚だ。DiskStakkaは1台あたり100枚のメディアを収納できるが、それがすべて1層DVDであったとしても一般にはデータの総容量は470Gバイトにはならない。筆者もCDからDVDに、DVDからBDへと容量の大きなメディアに複数メディアのイメージをまとめることでDiskStakka3台分のスロット300席を使い回してきたという経緯がある。イメージバックアップソフトやマザーボードのBIOSアップデート用に作成するブートメディアはわずかな容量しか使わないものの、それでも1枚分の費用、物理的占有面積が必要になる。使うときだけ書き換え型メディアに焼くという方法もあるが、それには手間がかかる。一方、UMA-ISOを使えば小容量の仮想DVDメディアを作成することにためらう必要がなくなるのだ。
さて、ここまで読んで「ブートメディアと言っても結局インストールのときの1回しか使わないし、Windowsのインストールなんて5年に1回くらいしか行わないよ」という人もいるだろう。しかし、世の中には実に多くのLive CDが存在している。
Live CDとはHDDへのインストールを必要とせず、CDからのブートで利用できる各種OSディストリビューションやユーティリティの総称だ。ここではDVDを利用したLive DVD、USBフラッシュメモリのLive USBも含めてLive CDとしている。Live CDではLinuxやFreeBSD、Windows PEなどをベースとし、収録アプリケーションを厳選することで軽量化したり、自動化したりしたものが多い。目的別軽量パッケージと言ってもいいだろう。
だが、逆に目的ごとに存在するがゆえに、さまざまな用途を想定するとメディアを何枚も持ち運ばなければならないという問題がある。それらを1枚にまとめると今度は「特定目的に特化した軽量化」が図れなくなってしまう。だが、UMA-ISOの持つ「複数のISOファイルから自由にマウントするイメージを選択できる」という機能は、複数のブートメディアを簡単に持ち歩けるということでもある。USBフラッシュメモリをマルチブートで使うように設定することもできるが、UMA-ISOを使えばおのおののISOファイルをコピーするだけで簡単にマルチブートメディアが完成する。
ここではエンジニアのたしなみとして持ち歩くにふさわしいものから、PCをデジタル家電化してしまうディストリビューションまで、UMA-ISOで持ち運びたいLive CDをいくつか紹介していこう。
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