アイ・オー・データ機器の「ETG-DS/US」は、手元にあるUSB接続のPC周辺機器をLAN経由で使用できる“USBデバイスサーバ”と呼ぶカテゴリの製品だ。
USBデバイスサーバとは何か。PCに専用ユーティリティソフト「net.USBクライアント」をインストールすることにより、本製品に接続したUSB機器──具体的にはHDDや光学ドライブ、プリンタ、テレビチューナーユニット、Webカメラなどを、ネットワーク上の各PCから共有して利用できるものとなる。
この技術については「USB機器をすこぶる簡単に無線化する“net.USB”とは」を参照願いたいが、要は、USBから伸びるケーブルをLAN回線に置き換えてしまうものと考えるとよいだろう。普通のUSB機器をPCでなく、LANに接続されたETG-DS/USにつなぐと、あたかもLAN接続型のHDD(NAS)のようにネットワーク接続対応機器に変わる。信号をLAN回線経由で送受信するので、無線LANルータを併用するなら手元のUSB機器を簡単にワイヤレス化できてしまうメリットもあるわけだ。
今回はこのETG-DS/USへ手元にあるUSB機器を接続し、動作の可否と挙動をチェックしていこう。
検証に入る前に、まずは設置方法と使い方をざっとおさらいしておこう。設置準備は、家庭内LANのハブに本機をLANケーブルで接続し、利用したいPCにユーティリティソフト「net.USBクライアント」をインストールしておくだけ。任意のUSB機器をETG-DS/US本体のUSBポートに接続すると、PCの「net.USBクライアント」側で認識され、それが使えるようになる。対応OSは64ビット/32ビット版Windows 7/32ビット版Vista/XP、Mac OS X 10.4〜10.6(2010年1月現在)。Windows用以外にMac OS対応のnet.USBクライアントも用意されるが、今回は所有機器の都合で、Windows PC環境のみで検証することをお許し願いたい。
マウント後は、もう普段と同じ感覚で使用して大丈夫だ。例えば、HDDなどのストレージ機器はネットワークストレージではなくローカルディスクとして、同様にマウスやキーボード、スピーカーといった機器も、PCのデバイスマネージャで確認すると、それぞれのUSB接続として認識されている。PCには「いつものUSB機器ですよ」とだまして認識させているわけで、これはなかなか面白い挙動である。
なお、本体にはUSBポートが2基あるが、バスパワー供給できるのは1台のみとなる。そもそも本機を使うユーザーであれば2基だけではおそらく足りないと思うので、適当な数のセルフパワー型USB増設ハブはあらかじめ用意しておいてほしい。USBハブの多段接続はサポートされないが、USB機器は最大15インタフェース分接続できる(最大15台ではないことにも注意したい)。
1つ注意したいのは、ETG-DS/USを用いて接続したUSB機器1台につき、同時に1台のPCでしか利用できないことだ。net.USBクライアント自体は自宅内のPCすべてにインストールできるが、同時に使用できるのは1つだけ。誰かが別のPCで使用中なら「すみませんが、これを使いたいのでアンマウントしてもらえませんか」と、マウント中のnet.USBクライアント(のPC)にメッセージを送る機能を利用して、アンマウントしてもらうことになる。そのようなわけで、例えばETG-DS/USにUSB接続型のHDDを接続した場合、NASのように複数台のPCから同時に使用する──というややハードな使い方には適していないが、家庭内など比較的少数のPCで運用するなら適宜切り替えながら使うようにするとよいだろう。
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