「VAIO P」2010年夏モデル徹底検証(前編)――新世代ポケットスタイルPCの実力は?一般向けの先行予約販売を開始(2/5 ページ)

» 2010年05月17日 11時30分 公開

ボディサイズはそのままに、バッテリー駆動時間を延長

片手で本体を縦に握れる、奥行き19.8ミリのボディは健在だ

 デザインが大きく変わった一方、本体サイズは完全に据え置きで、重量もほぼ同じとなっている。これは、従来からVAIO Pのウリだったキーボードの打ちやすさと携帯性の絶妙なバランスを考慮すると、このサイズがベストと判断したからという。つまり、前のページで紹介した新しいキャリングケースなどは、従来モデルと組み合わせてもジャストフィットする。

 具体的な本体サイズは245(幅)×120(奥行き)×19.8(高さ)ミリと、小さいながらも横幅いっぱいにタッチタイプ可能なサイズのキーボードを敷き詰めており、ソニーはこれを“ジャストキーボードサイズ”と呼ぶ。

 重量は標準仕様モデルが約619グラム、仕様をカスタマイズできるVAIOオーナーメードモデルが約595〜781グラムと実に軽い。従来のWindows 7搭載モデルは標準仕様モデルが約609グラム、VAIOオーナーメードモデルが約588〜757グラムだったことから、後述するさまざまな変更点によって若干重くはなったものの、持ち比べて違いは感じないレベルに仕上がっている。

左が新モデル、右が従来モデルの天面。フットプリントはまったく同じだが、新モデルでは四隅の丸みが減っている

 ボディサイズが変わらないのに、バッテリー駆動時間が延びているのはありがたい。従来モデルはデータストレージに1.8インチHDDとSSDを採用していたが、新モデルではSSDに統一したため、実装面積が小さくて済むようになり、そのぶん内部パーツの配置を最適化して基板の奥行きを約6ミリ削ることで、バッテリーの容量を増やしている。

左が新モデル、右が従来モデルの底面。新モデルではバッテリーの面積を広げているのが分かる。SONYロゴやバッテリーの凹凸も省かれ、よりシンプルな外観になった

 従来モデルと比較した場合、標準バッテリーは7.4ボルト 2100mAh/16ワットアワーから7.4ボルト 2500mAh/19ワットアワーへ、オプションのLバッテリーは7.4ボルト 4200mAh/31ワットアワーから7.4ボルト 5000mAh /37ワットアワーへと容量が増えた。

 これに加えて、電源回路の見直しや各デバイスの省電力化、ソフトウェアの最適化なども行うことにより、公称の駆動時間は標準仕様モデルが標準バッテリー装着時で約1.5時間増の約5.5時間、Lバッテリー装着時で約3.5時間増の約11.5時間、VAIOオーナーメードモデルが標準バッテリーで約1〜1.5時間増の約5〜6時間、Lバッテリーで約2〜4時間増の約10〜12.5時間と、大幅なスタミナアップを果たしている(バッテリー駆動時間のテストは後編で実施)。

 なお、Lバッテリーを装着すると、本体の厚みは27.3ミリに増し(突起部除く)、重量は135グラムほど増える。また、Lバッテリーのカラーはブラックだけなので、VAIO Pのカラフルな薄型ボディと外出先での長時間駆動を両立させたいならば、Lバッテリーを選ぶのではなく、標準バッテリーの予備を携帯するのも手だ。

標準バッテリーの容量は7.4ボルト 2500mAh/19ワットアワー。駆動時間は標準仕様モデルで約5.5時間、VAIOオーナーメードモデルで約5〜6時間だ
Lバッテリーのカラーはブラックのみ。容量は7.4ボルト 5000mAh /37ワットアワーだ。駆動時間は標準仕様モデルで約11.5時間、VAIOオーナーメードモデルで約10〜12.5時間をうたう

 付属のACアダプタはサイズが36(幅)×76.4(奥行き)×25.5(高さ)ミリ、重量が電源ケーブル込みで約153グラム(実測値)とコンパクトにまとまっている。VAIOオーナーメードモデルでは、コンセントに直接装着できるウォールマウントプラグアダプタも追加可能だ。ACアダプタにウォールマウントプラグアダプタを装着した場合、奥行きが約37ミリ増え、重量は約134グラム(実測値)となる。

小型軽量のACアダプタが付属。VAIOオーナーメードモデルではウォールマウントプラグアダプタの追加も可能だ
ACアダプタにウォールマウントプラグアダプタを装着した様子。電源ケーブルを利用するより、かさばらず持ち運びやすい

小型ボディにデュアルポインティングデバイスを内蔵

 ボディサイズを維持しながら、ポインティングデバイスをもう1つ追加しているのも新型VAIO Pの大きな進化点だ。従来から搭載していたキーボード側のスティック式マルチポインティングデバイスに加えて、液晶ディスプレイ側の下部にタッチパッドを新設している。具体的には画面右下に小型のタッチパッド、画面左下に左右のクリックボタンを配置した。

 これにより、本体を両手で抱えた状態で使用する場合、タッチパッドを右手親指で、左右のクリックボタンを左手親指で扱うことで、従来モデルより操作がしやすくなっている。この操作方法をソニーは「モバイルグリップ・スタイル」と呼んでおり、2003年発売のミニノートPC「VAIO U(PCG-U101)」などで採用していたが、今回久しぶりに復活した形だ。

画面左下には左右のクリックボタンが並ぶ。各ボタンは約7(横)×8(縦)ミリと小さいが、適度な反発があり押しやすい
画面右下に小型のタッチパッドを装備。液晶フレームとシームレスにつながっている。その上にはWebカメラとマイクが配置されている
モバイルグリップ・スタイルの採用で、立ったままでも安定してマウスポインタが操作できるようになった

 タッチパッドはシングルタップでシングルクリック操作、ダブルタップでダブルクリック操作が行えるほか、左右のクリックボタンを押しながらタッチパッドを上下になぞることで縦スクロール操作もこなす。タッチパッドはサイズが約16×16ミリと小さいため、1600×768ドットの高解像度画面を大きく移動するには指を何度も往復する必要があるが、感度は良好で操作性はまずまずだ。ただし、液晶ディスプレイ面は光沢仕上げなので、タッチパッドとボタン周辺に指紋が付着しやすいのは気になった。

 もっとも、本体を両手で抱えたままマウスポインタを操作できるタッチパッドの追加によって、VAIO Pの利便性が大きく向上したのは確かだ。移動中に立ち止まって地図情報を確認する場合や、電車やバスの中で使う場合、ソファなどに寝ころんで利用する場合など、このモバイルグリップ・スタイルが役立つシーンは多い。従来モデルでは、こうしたときに片手で本体を持ちながら、片手でスティックを操作していたため、長時間の利用は厳しいものがあったが、モバイルグリップ・スタイルならばある程度長い時間使い続けることができるだろう。

モバイルグリップ・スタイルでの操作が可能になった。動画はAtom Z550+128GバイトSSD搭載機で撮影
Sony Style(ソニースタイル)

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